海上の労働に関する条約

船員の保護に向けた安全衛生指針を新たに採択

2014年10月22日

 2006年に採択され、日本も批准する「海上の労働に関する条約」には、第4.3規則及び関連する規範として、「船舶における船員の労働環境が職業上の安全及び健康を促進するよう確保すること」を目指して、健康及び安全の保護並びに災害の防止についての規定が盛り込まれています。このたび、その規定の実施において政府を支援する指針が新たに作成されました。

 政府、船舶所有者、船員のそれぞれを代表する各6人の専門家に加え、他に42カ国の政府や政府間機関、非政府組織(NGO)からのオブザーバーなどを含む計102人が参加し、10月13~17日にジュネーブのILO本部で開かれた「海上労働安全衛生専門家会議」で採択された指針は、国内法その他の措置に反映されるべき補足的実務情報の提供を意図しており、肉体的に過酷な労働条件、危険が潜在する業務、隔離環境、長時間労働、厳格な組織構造、高度のストレスと疲労といった海上労働環境の特殊性に対応し、薬物・アルコールの乱用、暴力、嫌がらせ、感染症などの分野も含み、船員の労働安全衛生に係わるあらゆる分野を取り上げています。指針には災害防止及び疾病予防の実務、その実行、訓練、非常事態及び災害への対応に係わる政府、船舶所有者、船員の責任が詳細に記されています。

 船舶所有者グループから副議長を務めた英国海運会議所のティム・スプリンゲット雇用・法務部長は、海上の労働に関する条約の遵守促進に効果的に寄与するであろう指針についての合意の達成という会議成果に満足を示しました。カナダ国際海員組合のパトリス・カロン執行副会長もまた、多くの課題に直面すると考えられる海事部門での労働安全衛生の実行を支援するであろう指針が採択されたことへの喜びを表明し、「リスクの最小化」は船員その他船上で働く人々の基本的懸念事項であることを強調しました。政府側グループを代表してコメントを述べた英国海事沿岸警備庁のジュリー・カールトン船員安全健康部長は、労働安全衛生基準を損なわずに船員を保護する柔軟性を提供するこの成果文書が、各国が条約に沿って労働安全衛生の枠組みを設定または見直す際に有用な資料になるであろうとの見通しを示して会議で達成された合意を喜びました。

 労働安全衛生に関する規定は国際海事機関(IMO)で採択された様々な文書にも含まれていますが、ILOでは労働安全衛生の分野で既に40以上の条約を採択しているほか、海上及び港湾における船上の災害防止に関する実務規程など産業部門毎のものも含む数多くの実務規程、指針、その他の文書を発行しています。ILOの推計では労働災害や業務関連疾病で命を落とす人の数は毎年230万人を超え、これは1日当たり6,300人に相当します。家族や地域社会にとっての損害は計りしれませんが、労働安全衛生慣行のまずさに起因する経済的負担は毎年世界全体で国内総生産の4%に達していると見られます。会議では、労働安全衛生措置を経済的コストではなく、船員の安全と健康の継続的な向上に向けた投資と見るべきことが強調されました。

* * *

 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。

Related content

2006年の海上の労働に関する条約(改正)

2006年の海上の労働に関する条約(改正)

海上の労働安全衛生専門家会議

海上労働

海上の労働安全衛生専門家会議