部門別会合

繊維・衣料・皮革・履物産業の安全衛生に関するILO実務規程を採択

2021年10月08日

 2021年10月4~8日に開かれた政府及び労使団体の専門家の会合は、繊維・衣料・皮革・履物産業にとって初のものとなるこれらの産業の安全衛生に関する実務規程を採択して閉幕しました。

 国際労働基準及びその他の産業別指針に基づきまとめられたこの規程は、化学物質、人間工学的な危険や物理的な危険、道具、機械・設備、建物と火災に関する安全性などといった主要なあらゆる危険と危害を除去・削減・管理する方法に関する包括的かつ実践的な助言を提供しています。途上国と新興国にとっては特に重要なものとなるであろうこの新しい規程の恩恵は、世界中で6,000万人以上を数える労働者に及ぶものと期待されます。

 繊維・衣料・皮革・履物産業は新型コロナウイルス危機によって激しく打撃を受け、生産停止を余儀なくされた企業は数千社に及び、その結果、数百万人の労働者が生活の糧を失う事態が引き起こされています。

 会議の議長を務めたユッカ・サカリ・タカラ国際産業保健学会(ICOH)会長は、労働安全衛生の規制、執行、そしてとりわけ促進に費やしてきた自身の50年間の経験に鑑み、「このILOの実務規程の採択は、繊維・衣料・皮革・履物産業の画期的出来事であると個人的に確言できます」と評価しています。労働者側副議長を務めたバングラデシュ繊維・衣料労働者連盟(BTGWL)のアナン・カムルル会長は、1,000人以上が命を失った、2013年に同国で発生した衣料品工場建物の崩壊に触れ、「ラナプラザが二度と起こらないことを確実にしたい」として、「誰もがこの規程の諸規定を行動に移すことを約束したとしたら、バングラデシュであろうとほかのどの国であろうとも、衣料品工場の労働者がもはや二度と命を危険にさらさなくてもよいことを確保できるでしょう」と期待を述べています。

 使用者側副議長を務めたカナダ使用者評議会のジョン・ベケット氏は、「労働安全衛生は世界中の使用者の優先事項の一つ」と位置付けた上で、「この実務規程は、使用者、労働者、政府が繊維・衣料・皮革・履物製造業における労働安全衛生に関する予防文化の前進に向けて協働する実務基盤を提供するでしょう」との確信を示しています。政府側副議長を務めたドイツ法定災害保険・予防機関のバスティアン・フォフマン・エネルギー、繊維、電気、報道機関担当役員は、「国内及び産業部門毎の労働安全衛生制度強化においてILOが演じなくてはならない枢要な役割を認め、支持します」と表明した上で、「使用者、労働者、政府の素晴らしい貢献のお陰で成立したこの安全衛生に関する実務規程によって、今や私たちには、繊維・衣料・皮革・履物産業とそのサプライチェーン(供給網)がすべての人により安全でより明るい未来を確保するために必要な労働安全衛生に関するツールと手法が備わりました」と評しています。

 世界全体では様々な産業部門を合わせて毎年約280万人の労働者が仕事に関連した傷病で命を落としています。加えて、命を落とさないまでも3億7,400万人が労働災害に遭い、1億6,000万人が仕事に関連した疾病に罹患しています。こういった仕事に関連した傷病の結果として、世界の年間国内総生産(GDP)の4%以上が失われています。

 アレッテ・ファン・ルールILO部門別政策局長は、「新型コロナウイルスの世界的大流行は、安全と健康、そしてより良い前向きの立て直しを図りたいと思うならば人間を中心に据えた取り組みがいかに大切であるかを私たち全てに思い起こさせました」と指摘した上で、「これらの産業が立ち直るに当たり、この新しい実務規程が国家または企業内の労働安全衛生マネジメントシステムをまとめる基盤として用いられ、この産業部門のみならずそれ以外でも労働条件の全体的な改善」に寄与することへの期待を表明しています。

 実務規程はILO理事会に提出された後、正式に刊行されます。

 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。