第108回ILO総会テーマ別フォーラム
第108回ILO総会テーマ別フォーラム:結社の自由と団体交渉はディーセント・ワークのカギを握る基盤
2019年06月13日
ジュネーブで開かれている第108回ILO総会では七つのテーマ別フォーラムが開かれます。「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の基盤としての結社の自由と団体交渉権の実効的な承認」をテーマに6月13日午後に開かれたフォーラムでは、国際機関の代表や仕事の世界の関係者が1948年の結社の自由及び団結権保護条約(第87号)」と「1949年の団結権及び団体交渉権条約(第98号)」という二つの基本条約が世界中でいかにディーセント・ワークを前進させているかを探りました。フォーラムでは、この二つの条約が過去100年間に演じてきた役割と次の100年に期待される役割に光が当てられました。
出席者らは「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」に示されているように、この中核的なILOの価値が「関係する者自身が自由に、そして機会の均等を基礎として、彼らの寄与により産み出された富の公平な分配を主張すること、及び彼らの人的潜在能力の実現を可能にすること」をいかに保障するかを探りました。事務局を代表して挨拶したムサ・ウマルILO現地業務・パートナーシップ担当副事務局長は、この二つの基本権の実現は包摂的な社会と開かれた民主主義の発展に寄与することを訴えました。
フォーラムは二部構成を取り、「基本原則と授権的権利:経済発展・社会進歩に寄与する結社の自由と団体交渉権」と題する最初の討議では、社会や労働市場、労働者、企業の主な問題に効果的に対処するためにこの二つの権利が用いられた現場からの成功物語が紹介されました。2011年の革命を経て2015年に社会的パートナーである労使にノーベル平和賞が授与されたチュニジアのモハメッド・トラベルシ社会問題大臣は、平和賞の授与は新たに活気づけられたチュニジアの社会対話がいかに内戦を回避する助けになり、同国の民主化と民主機構の構築において大きな役割を演じたかの証拠であるとして、同国の長い社会対話の歴史を紹介しました。チリのバルバラ・フィゲロア中央統一労働組合(CUT)会長は、社会対話は今日の世界において「堅固な民主主義とより強い社会の結束を構築する上での基本的な手段」になっていると説き、チリには今、仕事の世界の課題への取り組みを可能にする対話の余地があり、人々が未来を、例えば、科学技術が経済的な力のある人だけでなく大多数の人々にも利益をもたらすような、希望ある未来と見るのを許している状況を紹介しました。
カニシカ・ウィラシンゲ・セイロン使用者連盟事務局長は、他の地域同様、スリランカの社会も今日、結社の自由や個人の権利、団体交渉、仕事の尊厳などといった基本的な要素で構成されているとして、市民が力を付けて自らの権利を認識し、考えを共有し論じ合う場を求めていると紹介しました。平和的集会及び結社の自由に関する国連の特別報告者であるクレマン・ブール氏は、就労に関わる権利は基本権であると指摘して、労働者が尊厳をもって生き、人間らしい状態で働くことを許し、自国の開発に寄与できるようにする基本的な権利である労働者の権利は基本権であると認めることの重要性を説きました。
「結社の自由と団体交渉の権利行使を可能にする環境を支えるILOの基準適用監視機構」と題する第2部では、就労に関わる基本的な原則と権利の実現を確保する上でILOの基準適用監視機構が果たしている役割について関係者が発表を行いました。ILO総会の基準適用委員会の委員長を務めたこともあるジャン=ジャック・エルミジェ第108回ILO総会議長(スイス連邦経済省経済事務局国際労働局長)は、「人々は規則に従わなくてはならないとの理解の下、労働協約について交渉し、合意する必要性を無視することはできないものの、集団的な労働協約の促進を図ることも重要」と唱えました。総会基準適用委員会のソニア・レーゲンボーゲン使用者側副委員長(カナダ使用者代表)は、仕事の世界の現実を反映する委員会の政労使三者構成は委員会の有効性のカギを握るとして、取り上げられる案件の選定から合意が達成された法的問題、委員会内に存在する多様な見解を表明できる表現の自由、結論の起案、そして政府への勧告に至るまで、三者構成原則が浸透していることを紹介し、「委員会が享受する説得的な性質と道徳的権限はそれによって付与されている」との考えを述べました。同委員会のマルク・レーマンス労働者側副委員長(ベルギー労働者代表)は、基準適用委員会の役割について、「政府に法的義務を課す批准条約の実際の適用を確保すること」とした上で、政労使全てと直接関与した結果が行動可能な合意に基づく結論に反映され、その後結論のフォローアップが行われることを紹介しました。
条約勧告適用専門家委員会からはパナマ出身のグラシエラ・ホセフィナ・ディクソン・カトン委員長が出席し、この管理機構が、粘り強さ、補完性、独立した技術的な観点から活動を遂行するフォローアップという三つの基本的な手段を用いていることを強調した上で、カギを握るのはモニタリングであるとして、世界は静止しておらず、労使関係は硬直的な静止したものではなく、絶えず変化しているため、委員会は国際労働条約との整合性を確保する義務の遂行に当たり、確認作業を続けていかなくてはならないと説きました。
理事会の結社の自由委員会からは5人の委員が出席しました。ザンビア出身のエバンス・カルラ委員長は、結社の自由委員会の影響力について語り、法的義務は非難を与えるのではなく、社会対話を基盤として前進するよう政府を導くことによって執行できるというのが委員会のやり方であると説明しました。労働者側副委員長を務めるイブ・ベイリエ・フランス労働総同盟「労働者の力」(CGT-FO)事務局長は、結社の自由の問題がILOの存在そのものに内在している点への理解を求めました。コロンビア出身のアルベルト・エチャバリア使用者側副委員長は、監視機構から鼓舞されることとして、「実効的に自由を行使できること」を挙げ、自由とは「対立ではなく尊重を意味する」と説き、結社の自由委員会について、「客観的であり、加えて合意形成を図る独立した機関」と表現し、そこに「論拠の力とそれを行使することの重要性」が存在すると指摘しました。日本から政府側委員として委員会に参加する寺本隆信氏は、歩を踏み出して、協力するよう政府を説得するカギを握るのは「相互尊重を伴うコミュニケーション」であるとして、委員会が合意を基盤として機能していることを説明しました。
以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。
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1949年の団結権及び団体交渉権条約(第98号)
1948年の結社の自由及び団結権保護条約(第87号)