欧州の社会対話

社会対話の後押し・近代化をEU諸国に呼びかけるILO

2016年05月20日

 ILOガバナンス・三者構成原則局ILO国際研修センターと共に、欧州連合(EU)加盟国が経済危機から脱し始めた2013年以降に焦点を当て、同地域の社会対話・労使関係における新たな動向と好事例を記録し分析することを目的とした「危機後の社会対話:EU28カ国における最善の革新的な慣行プロジェクト」を2015~17年の期間で実施しています。EUの資金・技術協力を受けて展開されているこのプロジェクトは調査研究と知識共有の二つの部分で構成されていますが、このたび、後者の一環として、これまでの研究成果を関係者間で共有する会合が5月20日にパリで開かれました。

 この「危機後の社会対話:EU28カ国における好事例政労使知識共有会議」でこれまでの研究成果を発表したデボラ・グリーンフィールドILO副事務局長は、EU諸国の政府・労使団体代表、国際的に活躍する専門家を前に、政労使間の社会対話はEU諸国における経済と雇用の回復を支え、なかなか解消しない労働市場の不均衡に取り組む上で強力な手段であることを強調しました。

 これまでの研究からは、研究対象国の半分で社会対話は危機時にダメージを受け、危機がゆるんだ2013年以降に回復が見られるものの、これは一部の国に過ぎないことが示されています。また、労働市場の改革圧力が強まっている趨勢が観測されていますが、これはしばしば貧しい人々のためになる緩衝装置として機能する社会的保護政策を弱めるものとなっています。

 グリーンフィールド副事務局長は、「『新たな平常』を社会対話の余地がないものにしようとの主張を私たちは断固拒む必要がある」と強調し、社会対話はILOに付託された任務のみならず、欧州の社会モデルの中核にも位置するものであることに参加者の注意を喚起しました。副事務局長はまた、得られた暫定的な研究成果から、社会対話がより強靱であることが証明された国の方が危機をうまく乗り越えていることが示されている点に光を当て、「政府及び労使団体は、既存の社会対話機構を再び活気づかせる責任がある」として、この機構の再建と新たな協働方法の発見には、真剣な公約と持続可能な協同努力が必要なことを強調しました。さらに、「社会対話機構には経済と仕事の持続可能な回復に向けた創造的な政策提案を育む助けになる可能性がある」として、政労使三者機構や労使の二者機構には、新たな社会・経済契約を形作る上でのその価値を見せつける新たな可能性が危機後に開けたことに注意を喚起して、情報を得た上で、今後の社会対話機構の近代化を図る選択肢に関する話し合いに従事することを政府及び社会的パートナーに呼びかけ ました。

 この研究成果はパリ会合における討議内容を盛り込んで将来的にILOから刊行物として発表されます。

* * *

 以上はパリ発英文記者発表の抄訳です。