部門別会合:運輸

炭素排出量ゼロの未来に移行する上で都市乗客輸送システムは決定的に重要とILO会合が結論

2021年09月06日

 運輸業は世界のエネルギー関連温室ガス排出量の25%を生み出し、この部門の公式就業者数は世界全体で730万人に上ります。「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が定める気候変動に関連した目標の達成には、低炭素輸送形態への移行に加え、非公式(インフォーマル)輸送サービスの公式(フォーマル)化と公共交通基盤構造の拡大が決定的に重要です。

 都市乗客輸送サービス・事業は気候変動との戦いを手助けできる可能性があるものの、この産業部門が持続可能で人間らしく働きがいのある仕事を伴った環境に優しいグリーン経済に移行するのを手助けする持続可能な投資が必要です。

 都市交通サービスにおける持続可能なディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の未来について話し合い、前途に横たわる機会と課題を分析することを目的として、政労使の代表が集い、2021年8月30日~9月3日の日程で開かれたILOの「都市交通サービスにおける持続可能なディーセント・ワークの未来技術会合」は以上のように結論づけました。政府、使用者、労働者が安全かつ手頃な料金で誰もが利用でき、持続可能な交通サービスが確保された未来を形作ることへの支援を目指して採択された結論は他にも以下のような提言を行っています。

  • プラットフォーム労働を含む技術進歩とデジタル化の潜在力を最大限に活用した人間らしく働きがいのある仕事と持続可能な企業の創出
  • 都市乗客輸送サービスとこの部門の雇用の継続、改善、拡大に対する支援と社会対話の役割の拡充
  • 持続可能で人間らしく働きがいのある仕事の創出、労働力を引きつけ定着を図る力、事業及びサービスの継続支援、この産業部門に対する持続可能な投資の促進
  • フォーマル経済への包摂的な移行、環境面から見て、より持続可能な経済と社会に向けた公正な移行の円滑化
  • この産業部門へのアクセスを阻む性差に関連した障害の緩和に向けた措置と行動の促進を通じてこの産業部門における女性の就業の積極的な強化
  • 従業上の地位の性質にかかわらず、都市乗客輸送部門で働く全ての人へ社会的保護を拡大し、適切な労働条件と労働安全衛生を確保すること
  • 専門職業化、生涯学習、技能開発、技術・職業教育訓練に関する全国的、地域的、局地的な政策・戦略の策定あるいは強化

 会議の議長を務めたソニア・モハメッド・ジャナヒ・バーレーン商工会議所理事は、都市乗客輸送のサービスと事業について、「未来の持続可能な都市の屋台骨」と表現し、「新型コロナウイルスの世界的大流行からのより良い前向きの立て直しを図る大きな機会が存在する」と指摘しています。政府側副議長を務めたサラ・ガブリエラ・ルナ・カマチョ・メキシコ政府代表も、基本的なサービスであり、衡平性と持続可能性の強力な推進要素である都市乗客輸送サービスは「持続可能な開発目標の達成にとって重要」と説いています。

 都市乗客輸送を管轄する機関、この事業者及び労働者は近年、過小投資と緊縮措置、テロ攻撃や暴力、インフォーマル性、新技術による混乱によって苦闘しています。コロナ禍の甚大な影響はこういった問題をさらに強めることになりました。使用者側副議長を務めたベルギー企業連合(FEB)のクリス・デ・メーステル上級顧問は、技術革新がこの産業部門における持続可能なディーセント・ワークの創出を手助けする可能性を指摘した上で、都市乗客輸送部門に対する人々の信頼を迅速に回復するために新型コロナウイルスに対応する共同努力の必要性を説いています。

 特定の労働安全衛生リスクが広く見られることとインフォーマル性の高さは労働者を特に弱い存在と化していますが、これはしばしば就労に関わる基本的な権利と原則が得られないことに起因しています。労働者側副議長を務めた韓国公共サービス・運輸労働者組合(KPTU)のリエム・ウォルサン国際局長は、都市乗客輸送部門のインフォーマル労働者が様々なディーセント・ワーク上の課題に直面していることを指摘した上で、インフォーマル労使団体代表の能力構築などを通じてフォーマル経済への移行や持続可能なディーセント・ワークへの移行を最もうまく支援できる方法に関し、ILO加盟国政労使との協働に対する希望を表明しています。

 今年6月にILO総会で採択された「人間を中心に据えた回復に向けた行動に対するグローバルな呼びかけ」は、自動車産業の全ての人々のためになる未来を形成し、誰も置き去りにされないことを確保するロードマップを提供することができると考えられます。

 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。