労働安全衛生

漏電による火災の防止がバングラデシュの工場にもたらす安全性の向上

2017年02月06日

工場を視察中のシャハジャジ・スルタナさん

 ILOは米国労働省の任意資金協力を受けて2013年からバングラデシュで防火及び一般的な建物の安全性向上を図るプロジェクトを実施してきました。衣料工場における火災の75%近くが漏電を原因とすることが判明しているため、プロジェクトは2016年末に電気安全性専門研修を開催しました。火災検査官や労働監督署、産業団体の代表315人が参加した3日間の研修は電気の安全性を脅かす潜在的な危険についての意識を高め、火災報知器その他の警報システムの設計に関する理解を育むだけでなく、配線略図についての基礎的な理解を得る助けにもなりました。教室での座学を補足するものとして現場視察も行われたため、研修参加者には工場環境で新たな技能を実践する機会も与えられました。

 研修参加者の1人であるシャハジャジ・スルタナさんは、実働消防・検査班で働く5人の女性の1人です。女性が現場に出ることが許されなかった1992年に電話交換手として消防局に採用されたスルタナさんですが、徐々に頭角を現し、既に14年余りの現場経験があります。2015年に倉庫検査官に昇進してから、既に国内全土で約500の事業所の火災に対する安全性検査を行っています。今回の研修参加によって、スルタナさんは漏電による火災発生の危険を減ずる方法について多くのことを学び、今はより批判的な目で重要な電気設備を評価できるようになりました。

 スルタナさんは、例えば、1階に設置すべき変電設備を上階に設置している工場を複数発見したことや、しばしば接地が正しく行われていない事例に経営陣の注意を喚起したことなどを挙げ、研修で得た新たな知識が活用されていることを報告しています。さらに、火災分野の担当者は典型的に幾つかの危険を特定する技能も知識もなかったため、標準的な検査項目リストでは電気分野があまり詳しくなかったものの、研修に照らし合わせて新たな検査項目が追加され、チェックリストの改善が図られたことも報告しています。

 バングラデシュ消防・市民防衛局のアリ・アフメド・カーン長官も、衣料部門の火災の主な原因が電気短絡であることを指摘した上で、「訓練は消防業務に携わる者にこのリスクを低減し、衣料品工場だけでなく、全産業にわたって建物と労働者の安全性に関する国内法典・基準の遵守を確保できるよう技能を備えさせるだろう」として、研修の重要性を強調しています。

 職場における予防文化を世界的に構築することを目指すILO労働行政・労働監督・労働安全衛生部の取り組みの一つである「バングラデシュ防火・一般的建物安全性向上プロジェクト」は、既製服産業の建物及び火災に対する安全性改善に焦点を当てて活動を展開してきました。国内外の関連する利害関係者やパートナーとの緊密な協力・調整を図って実施されてきたこのプロジェクトは、労働・火災・建物関係の国際基準と好事例に沿って、防火及び一般的な建物の安全性に関する関連する法規の執行向上をもたらすことが期待されています。

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 以上はILO労働行政・労働監督・労働安全衛生部によるダッカ発英文記者発表の抄訳です。