ジェンダーと欧州の経済政策
欧州の経済学者調査:男女の意見の大きな違いを発見
2018年02月05日
欧州の経済学者の間では、緊縮政策、高リスク金融取引の規制、再生可能エネルギー、水圧破砕法、北極野生生物保護区における掘削、遺伝子組み換え作物などの幅広い問題に関し、男女による意見の違いが大きい。この度発表された、ILOの専門官が米国の学者と組んで行った調査研究の成果物はこう結論づけています。
ILOのデイビッド・クセラ上級経済専門官と米国ネブラスカ大学リンカーン校のアン・マリ・メイ教授及びメアリー・マクガービー准教授の共著『Gender and European economic policy: A survey of the views of European economists on contemporary economic policy(ジェンダーと欧州の経済政策:現代の経済政策に関する欧州の経済学者の見解調査・英語)』は、18欧州連合(EU)諸国の大学の経済学者を対象とした調査を元に、例えば、雇用保護の強さは経済成長を弱める結果をもたらすとの考えに女性は男性ほど賛同しない一方、EUは遺伝子組み換え作物の栽培禁止を続けるべきとの意見には男性より賛同するといったように、EUの女性経済学者は男性ほどには政府による介入に比して市場による解決策を好まず、環境保護政策を好む傾向が高いことを示しています。また、女性経済学者は平均して、労働市場や高等教育における機会の点で、男性は女性よりも優遇されていると考えがちです。この分野での最も大きな意見の違いは学究世界における機会の平等に関するもので、男性は平等か女性の方が優遇されていると思う傾向が高いのに対し、女性は男性の方が優遇されていると見がちです。
メイ教授とマクガービー准教授には米国の経済学者を対象とした先行研究がありますが、これとの比較では二つの地域における類似点と相違点が明らかになりました。米国では中核的な概念や方法に関しては男女による違いがあまりないのに対し、政府介入と市場解決策の比較の点ではどちらにも男女による意見の違いが見られます。二つの研究が強く一致しているのは、高等教育と幅広い労働市場における男女の雇用機会についての認識の点であり、どちらの地域でも男性は男女の機会は比較的等しいと答えたのに対し、女性はそうは思っていないことが示されました。
欧州の経済学者の男女による見解の違いに関する初の体系的な分析である本調査から得られた結果は、経済学者の集団構成の変化が及ぼす影響の可能性に関する貴重な情報を提供しています。経済学の分野に参入する女性の増加は経済政策に関する異なる意見をもたらし、可能な結果の範囲が拡大されます。メイ教授は、この調査研究から推測されることとして、経済学における集団構成の変化によってこの分野に参入する女性が増え、結果として経済政策が変わるであろうことを指摘しています。クセラ上級経済専門官はこの結果が重要な理由として、経済政策の議論・策定に際して、男女双方を含むことの重要性を示している点を挙げています。
以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。