LO新刊:欧州の技能ミスマッチ

欧州の労働市場に見られる相当の技能ミスマッチを明らかにしたILO新刊

2014年10月29日

 このたび発表されたILO統計局の概説資料『Skills mismatch in Europe: Statistics brief(欧州の技能ミスマッチ:統計概説資料・英語)』は、国によるばらつきが著しいものの、欧州の技能ミスマッチは労働者の25~45%に及ぶことを示しています。欧州24カ国について、労働者の実際の就学年数と現在就いている仕事で求められている就学年数との違いで見た技能ミスマッチを調べた報告書は、学歴が低い労働者が25%を上回る国は9カ国に及び、とりわけポルトガルでは労働者の半分以上がこれに該当することを明らかにしています。一方で、学歴が高い労働者の割合はデータが得られるほとんどの国において2012年現在で10~20%の範囲に収まっているものの、国による違いが大きく、オランダ、ポーランド、ポルトガル、スイスなどでは6%未満であるのに対し、キプロスとロシアでは20%を超えています。

 2002~12年の経時的な推移を見ると、世界経済危機の影響もあってほとんどの国(減少したのはアイルランド、イスラエル、ポーランド、スロベニアの4カ国のみ)で学歴が高い労働者の割合が増え(平均3.6ポイント増)、低い労働者の割合が低下する傾向(平均約9ポイント減)が見られます。

 学歴が高い労働者の中では、女性と若者が顕著な割合を占めています。報告書はこの理由として、仕事と家庭生活を両立させるよう女性にかけられているプレッシャー、非標準的な就業形態の女性の割合が高いこと、そしてもしかすると職場内差別の存在などが考えられるとしています。若者の場合も、非標準的な就業者に占める割合が相対的に高いことが、より年長の労働者よりも学歴が高い場合が多く、低い場合が少ないことを説明すると言うことができます。

 報告書の著者の一人であるテオ・スパレボームILO上級経済専門官は、労働者に技能を備えさせるだけでは、それが使用者の需要に合っていない場合、「労働市場における成績を改善するには不十分」と指摘し、報告書が政府及び社会的パートナーに対し、効率的な職業紹介業務と訓練機会の整備、教育訓練制度と仕事の世界の接合強化を呼びかけていることを紹介しています。専門官はまた、解決策の一つとして考えられる、教室と職場研修をつなぐ、若者のための質の高い見習い研修制度は、政府と社会的パートナーとの間のうまく機能する社会対話、官民の費用分担の取り決め、効率的な職業安定業務を要請すると語っています。さらに、技術革新が労働市場の技能需要に直結するため、生涯学習が必要事項となってきており、生涯学習をすべての人にとって現実のものとするために多くの国で職業教育・訓練制度の改革が求められると指摘しています。

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 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。