職場コンプライアンス国際会議
国際経済社会評議会同等機関連合の会議で職場コンプライアンスを促進する宣言を採択
2015年10月30日
ILOが2015年10月29~30日にオランダのハーグにおいて国際経済社会評議会同等機関連合(AICESIS)及びオランダ社会経済評議会(SER)と共催した「グローバル・サプライチェーンを含む職場におけるコンプライアンスの促進:経済社会評議会及び類似の社会対話機構の役割」をテーマとする会合は、グローバル・サプライチェーンを含む職場における法令等遵守(コンプライアンス)の促進に向けた宣言を採択して閉幕しました。
宣言は、ILOが基盤とする基本原則の重要性を強調した上で、とりわけ、◇この重要な事項に関する各国レベルの行動の強化、◇グローバル・サプライチェーンを含む職場におけるコンプライアンスの促進に関する国内議論へのさらなる従事、◇職場コンプライアンスの問題取り組みに向けて得られるあらゆる資金・資源の動員、◇労使を中心とする会員機関の役割と能力の向上、◇労使の国内・国際団体、執行機関との協力を通じた、職場コンプライアンス促進に向けたその役割及び能力の強化に対する公約を再確認しています。経済社会評議会の国際組織であるAICESISの活動としては、各国機関同士の情報・好事例の共有円滑化、経済社会評議会の能力強化に向けた各国レベルでの具体的なイニシアチブを通じた宣言のフォローアップ、経済社会評議会と労働法執行機関間の効果的な協力活動の記録が提案されています。ILOに対しては、総合的な職場コンプライアンス戦略の策定・実行に関する政労使間の経験交流の円滑化、職場コンプライアンスに関する世界的動向やグローバル・サプライチェーンにおける動向の分析、この問題に関する能力強化を目指した経済社会評議会の戦略策定を支援する専門知識の提供が求められています。
今年のノーベル平和賞を受賞したチュニジアの国民対話カルテットを構成するチュニジア労働総同盟(UGTT)やチュニジア産業商業手工業連合をはじめとする各国の経済社会評議会に加え、世界銀行や経済協力開発機構(OECD)、国際労働組合総連合(ITUC)、国際使用者連盟(IOE)、国連グローバル・コンパクトなどの国際組織の代表も出席した会議では、サプライチェーンの存在が規制機関に提示するますます複雑化する課題が取り上げられました。政府、労使団体、その他の利害関係者が集う社会対話の場として、経済社会評議会及び類似の機関はこの課題に取り組み、仕事の世界の内外に係わる事項について話し合うという重要な役割があります。また、国内法に従った労働条件の確保、就労に係わる基本的な原則や権利、国際労働基準、職場に適用される労働協約の尊重においても重要な役割を演じています。
会議の成果物と展開された議論は2016年の第105回ILO総会で行われるグローバル・サプライチェーンにおけるディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)に関する一般討議の有用な資料としてILOの準備作業にも寄与することになります。
社会対話を通じて職場コンプライアンスを後押し
| ユーセフ・ゲラブILO社会対話・三者構成原則ユニット長 |
多くの国で見られる巨大なインフォーマル・セクター(非公式部門)、処理能力を超える業務量を抱える労働監督機関がフォーマル・セクター(公式部門)の数十万の職場を取り締まることの物理的困難、国境を越えて世界中に伸びるグローバル・サプライチェーン(世界的供給網)に国家単位で取り組むのは必ずしも最善の戦略ではないこと、といったように職場のコンプライアンスの確保には数々の課題が存在しますが、政労使間の実効性ある社会対話にはコンプライアンスを改善し、より良い職場を生み出せる可能性があります。コンプライアンスとは法の実行に留まらず、労使が協力し合い、就労に係わる基本的な原則と権利が尊重される職場を作り上げることを意味すると説くILO社会対話・三者構成原則ユニットのユーセフ・ゲラブ・ユニット長は、この点で経済社会評議会やこれに類した機関には重要な役割を演じられる可能性があると唱えています。
会議の準備作業として、経済社会評議会及び類似機関を対象にILOが実施したコンプライアンスの重要性に対する姿勢を調べる世界的な調査は、これらの機関が必ずしもコンプライアンスの問題を自らの役割の一部と見ていないことを明らかにしました。ゲラブ・ユニット長は、コンプライアンスは「全国的に取り組むべき開発問題、政労使の最高レベルで注意を払うに値する問題」であるとして、政策課題の上位に位置させることを提案しています。
コンプライアンスを司るほとんどの法規が国毎に存在するため、多国籍企業の国際的な性格を考慮すると、各国政府による国内労働法の執行に頼っているだけでは必要なことは達成するには不十分でしょう。社会対話には労働法規執行の問題に留まらず、国際規範を組み込むことが極めて重要との認識を職場文化の中に育むことを含む必要があります。
経済社会評議会及び類似機関の相対的な強さは国や地域によって異なりますが、グローバル・サプライチェーンにおけるコンプライアンスの問題を含む政策の策定に関して政府に助言を提供する重要な役割を演じており、会員使用者団体を通じて企業と直接関わりを持っているオランダ社会経済評議会などのように、多くの場所で意思決定において重要な役割を演じています。
ILOは労働監督を通じた職場コンプライアンスの強化を重要活動分野の一つに掲げ、経済社会評議会及び類似の社会対話機構の関与を得てコンプライアンスの改善を図るパイロット事業を複数実施しています。例えば、ベトナムでは政府と社会的パートナーが職場におけるセクシュアル・ハラスメントに関する三者協定を締結し、ハイチではILOの専門家の支援を受けて、アパレル産業における労働条件と競争力に係わる問題を取り上げ、労使関係を強化する場として社会対話のための円卓会議が設立されました。コンプライアンスの目的が確実に受け入れられるよう行えることはたくさんあるとゲラブ・ユニット長は語っています。
* * *
以上は以下の英文記者発表及び事象解析の抄訳です。
- 2015年10月30日付ハーグ発記者発表-国際経済社会評議会同等機関連合の会議で職場コンプライアンスを促進する宣言を採択
- ILO社会対話・三者構成原則ユニットのユーセフ・ゲラブ・ユニット長による2015年10月27日付ジュネーブ発事象解析-社会対話を通じて職場コンプライアンスを後押し