欧州の社会権の柱

国際労働基準を「欧州の社会権の柱」の重要な参照点とすべきと説くILO事務局長

2017年01月23日

欧州の社会権の柱ハイレベル会議におけるライダーILO事務局長(右端) © EU

 欧州連合(EU)は現在、ジャン=クロード・ユンカー欧州委員会委員長が提案した「欧州の社会権の柱」の構築に向けた作業を進めています。2015年末で終了した公聴期間中に得られた成果を総括し、今後の方向性を定めるハイレベル会議が2017年1月23日にブリュッセルで開かれましたが、このパネル討議に参加したガイ・ライダーILO事務局長は、社会的パートナーである労使、市民社会、EU諸機関、加盟国当局の代表などを含む600人を超える聴衆を前に、社会権の柱の構築に向けた欧州委員会のイニシアチブを歓迎し、国際労働基準をこの重要な参照点とすべきことを提案しました。

 ライダー事務局長は、金融危機が経済・社会に与えた打撃に係わる問題に対処する出発点となるであろう「欧州の社会権の柱」は、「人々が探している答えを提供すべき」とし、2016年6月に開かれた第105回ILO総会で行った特別演説で、ユンカー委員長が社会的側面をEUの「貧しい親戚」と表現したことを想起しつつ、「この柱は信頼のおける具体的なもので、欧州の統治プロセスに見られる経済面と社会面の不均衡に取り組むものとすべき」と唱えました。パネル討議に参加したアラン・ラーソン欧州の社会権の柱特別顧問や欧州の社会権の柱の報告者を務めるマリア・ジョン・ロドリゲス欧州議会議員もこれに同調し、市民とのつながりを再構築するには、EUの今後の行程表の中心に強固な社会的側面を据えるべきことを主張しました。

 ライダー事務局長はまた、EU加盟国の状況として、「社会面・経済面の結果の分散あるいは悪化方向への収斂のいずれか」が見られることを指摘して、2015年にユンカー委員長が開始した「社会対話の新たな出発」イニシアチブとの組み合わせによって、「欧州の社会権の柱」がEUの社会的側面をより強く育む助けになる可能性への期待を示しました。さらに、柱の構築と仕事の未来との密接なつながりにも触れ、「EU内にこのような懸念すべき分散の動きがなかったとしても、仕事の世界では大きな変容が進行中であるため、この議論を行う必要があっただろう」として、現在私たちが目撃している変化がかつてないほどの規模、深さ、速さで進行しており、就労環境の多様化につながっていることを紹介し、これには現行法制の適応が必要となろうことに注意を喚起しました。

 柱の案は今年3月に欧州委員会から示される予定です。

* * *

 以上はILO欧州連合・ベネルクス諸国事務所によるブリュッセル発英文記者発表の抄訳です。