ILO新刊
危機と創造力:マクロ経済政策、労働市場政策に求められる新たな考え方
2014年03月25日
ILOがこのたび発表した2冊の新刊書『Beyond macroeconomic stability: Structural transformation and inclusive development(マクロ経済の安定性を超えて:構造変革と包摂的な発展・英語)』と『Creative labour regulation: Indeterminacy and protection in an uncertain world(クリエイティブな労働規制:不確実な世界における不確定と保護・英語)』は、従来のマクロ経済政策及び労働規制政策がうまく機能していない結果として、世界経済の回復が予想よりはるかに遅れていることを指摘して、政策策定における調整を図った新たな考え方の必要性を唱えています。
3月25日にジュネーブのILO本部で開かれた発表会でこの新刊書を発表したサンドラ・ポラスキーILO政策担当副事務局長は、この2冊が共に取り上げる一つの重要なテーマとして、2008~09年の世界金融・経済危機の最中もその前後も「従来のマクロ経済政策と労働市場の規制に係わる政策が所期の目的を達成できなかったこと」を挙げています。パネリストとして参加したオンライン雑誌『ソーシャル・ヨーロッパ・ジャーナル』誌のヘニング・マイヤー編集者は、近年の政治が挑戦よりも適応に走り、政策の変更がほとんど不可能になっている事実を指摘しました。ハーバード大学出版会から出されたばかりの自著『Fissured workplace(ひび割れた職場・英語)』の発表も兼ねて出席したボストン大学経営学大学院のデイビッド・ウェイル教授は、働く人々にもっとプラスになる成果をより確実に達成するため、「創造的な規制の仕方と問題全体の再検討」を提案しました。
| 記者発表会模様(英語) |
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報告書はインドや南アフリカのように金融危機にほとんどさらされなかった国でさえも輸出減による相当の所得と雇用の喪失を経験していることを示し、先進国と途上国は運命共同体であることに光を当てています。世界金融・経済危機によって先進国でも失業者やパートタイム労働・インフォーマル労働に従事する人々が増え、政策策定に携わる人々は世界中どこでもディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を基礎とした持続可能で包摂的な開発の確保という同じような障害に直面しています。1,000人以上の衣料品工場労働者の命を奪った昨年4月に発生したバングラデシュのラナプラザビル倒壊の悲劇や米国からカンボジアに至る世界各地で多発する労使紛争は、最も脆弱な労働者の保護という点で国の規制だけでなく企業の社会的責任の失敗も示しているとして、報告書は労働規制政策の危機的状況を論じています。そして、十分な支払いが行われ、質の高い公式雇用を確保する政策や規制介入策を緊急に見出す必要性を指摘し、革新的な分析結果を示した上で、このような結果を生み出すために組み合わせて用いられるべきマクロ経済・規制政策を提案しています。
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以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。