貿易協定における労働条項ハブ
労働関連規定を含む貿易協定に関するILOオンライン・データベースを新設
2022年01月26日
ILOは140あまりの経済圏が関係する100以上の地域貿易協定に含まれる労働条項を包括的かつ体系づけて提示する新しいグローバルな英語オンライン・データベースを2022年1月26日に発表しました。
労働条項とは労働組合や企業団体、一般の人々の間の様々な協力・対話形態などを通じて労働者の権利を守り促進することを義務付ける貿易協定内の規定を指しています。2000年代に締結された貿易協定のうちで労働条項を含むものはわずか22%に過ぎませんでしたが、2010年代になると、日EU経済連携協定など、日本が締結する複数の協定も含み、この割合がほぼ半分に達しています。
政府や労使団体から情報、調査研究、比較法分析のための中央データソースを求める要請が高まってきたことから、欧州委員会とベルギー・フランダース政府の支援を受けて開設された「貿易協定における労働条項ハブ(LPハブ)」は、貿易政策における、より人間を中心に据えた取り組みに向かう道を開くことが期待されます。
政策策定に携わる人々や専門家、労使代表、市民団体などの利用に供することを主な目的とするこのデータベースの一番の特徴は、労働条項を分野別に分類したことであり、これによって利用者は様々な協定内のキーワードを迅速かつ正確に特定することができます。分類は利用者が労働関連規定の設計・実施における最新の動きをより良く理解でき、特定のテンプレートの知識を深め、貿易パートナー/地域毎の比較を行い、労使団体や市民代表などを中心とする利害関係者の関与についての知識を得、世界全体及び地域別の労働関連規定の趨勢を追う助けになると期待されます。利用者はこのデータベースを用いて様々な貿易パートナーの労働関連規定を経時的に表示・分析し、データや趨勢を視覚化し、特定の語句について検索し、関連する情報をダウンロードすることができます。
2019年のILO総会で採択された「仕事の未来に向けたILO創設100周年記念宣言」は、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を貿易政策の中心目的に据えることを諸国に呼びかけ、持続可能な開発と社会正義を支える貿易を求めています。これは人間を中心に据えたコロナ禍からの回復の形成という目標にも沿っています。
マーサ・ニュートンILO政策担当副事務局長は、LPハブが「環境や科学技術といった貿易の未来に関する幅広い分野と関係する労働関連規定に加え、強制労働や人種/民族に係わる平等、ジェンダーといった新しい分野の労働条項を貿易の観点から理解することによって、より包摂的な貿易の促進」を助けることへの期待を示しています。
以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。