パートナーシップ
仕事と自然の相互依存の活用に向けてILOとIUCNが覚書を締結
2021年09月01日
ILOと国際自然保護連合(IUCN)はこれまでにも、植林や土壌・水質保全、環境再生、気候変動適応に対する投資を通じた働きがいのある人間らしい仕事の創出というグリーン工事の促進とその支援の分野を中心に協同活動を展開してきましたが、この度、この関係を正式なものとし、仕事と自然の相互依存関係について人々の意識を高めることを目指し、覚書を締結しました。覚書はまた、「自然基盤型解決策(NbS)」、つまり、より持続可能な農林業慣行の採用を通じた農業生産性及び農業収入の向上や都市の気温上昇対策としての都市緑化の促進などといった、自然を用いて社会の主な課題に取り組む手法の重要性も強調しています。
食や水の供給、気候体系の規制、病原体媒介動物の蔓延防止などの生態系自体とそれが提供するサービスに直接依存する仕事に就いている人の数は12億人に上ります。同時に、生態系回復などの重要度が増している活動は、数多くの雇用を創出する潜在力を秘めています。
仕事の世界には、職や収入を生み、貧困を削減し、生物多様性や生態系を回復する可能性がある、人間を中心に据えた、自然基盤型解決策を形作る上で果たすべき決定的に重要な役割があります。2019年のILO総会で採択された「仕事の未来に向けたILO創設100周年記念宣言」も、2021年のILO総会で採択された「新型コロナウイルス危機からの人間を中心に据えた回復に向けた行動に対するグローバルな呼びかけ」も、仕事の世界に変革的な変容をもたらす中心的な推進要素の一つとして環境の重要性を強調しています。
ガイ・ライダーILO事務局長は、「持続可能な開発目標に沿って、全ての人にディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を創出しようと真剣に思うならば、今日の仕事も明日の仕事も生態系の保全に左右され、生物多様性の喪失に敏感であることを忘れてはなりません。簡単に言うと、健康な地球なしには生産経済もディーセント・ワークもあり得ないのです」と説いています。
IUCNのブルーノ・オベール事務局長は、「この新型コロナウイルス後の回復の旅においては自然を害する投資は避けなくてはいけません。それは『いつも通りのやり方』は避けなくてはいけないことを意味します」と説いた上で、「さらにまた、回復投資は景気回復とより幅広い社会の課題に対処しつつ、自然の保護と回復を支えるものであるべきです」と強調しています。
仕事の世界を扱う国連専門機関であるILOと、自然界の現状とそれを守る措置に関する世界的権威であるIUCNは、人と自然についての活動の縦割りを打破し、部門横断的で革新的な解決策を支え主導する理想的な立場にあります。両機関の強みは経済、社会、環境の諸面における持続可能な開発に寄与する仕事の未来に向けた公正な移行の道を築くことが期待されます。
以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。