技能ミスマッチ

仕事と技能のミスマッチに焦点を当てるILO会議を開催

2017年05月10日

 技能ミスマッチについて加盟国政労使から表明された関心に応え、この測定・解釈に関連した問題と課題がより幅広く、明確に理解されるよう確保するため、ILO雇用政策局は仕事と技能のミスマッチについてグローバルな成果物を得ることを目指して活動を展開しています。2016年に開始されたこの「仕事と技能ミスマッチ・グローバル成果物計画」の一環として今年から開かれる年次イベントの第1回会合として、「仕事と技能のミスマッチ国際会議」がジュネーブのILO本部で2017年5月11~12日に開かれます。会議開催を前に担当者へのインタビューによってまとめられたこの広報記事では、ILO技能・就業能力部のポール・コミン技能・就業能力上級専門官が会議の主な焦点を説明しています。

 多くの国で絶えず報告される、労働市場で求められている技能と労働力が提供する技能の不適合が発生する原因としては、質の低い教育訓練制度、職場における技能活用の拙劣さ、人口構造の変化、急速な技術発展、雇用の新たな受け皿の創出、多様な作業組織形態の誕生など様々なものが指摘されています。技能のミスマッチは労働市場の状況や労働者の生産性、企業の競争力、経済成長にマイナスの影響を与える可能性があります。

 会議の主な焦点の一つは、技能ミスマッチの定義、測定、理解に加え、様々な種類の技能ミスマッチと各国で見られる雇用創出・雇用破壊の形態の関係性を検討することにあります。これは各種のミスマッチに、より効果的に対抗できる雇用・技能政策の組み合わせを検討する助けになることが期待されます。

 労働市場に最も大きな影響を与える形態の技能ミスマッチとは、現在の労働者の技能ギャップとそのギャップをなかなか埋められない企業が直面している技能不足であると見られます。今の従業員に求められる仕事の遂行に必要な技能がない場合または新たな業務を引き受けることができない時、あるいは企業が従業員の有する技能を活用せず、製品や市場の革新を支えるようにこの技能を活用できる方法に関して戦略的に考えていない時、企業の成長と発展は影響を被ります。この問題はインフォーマル(非公式)経済において特に重要です。問題が技能不足にある場合には、適切な技能を有する候補者の不足が問題である可能性もありますが、賃金や労働条件、立地場所、職務設計、キャリア展望などの他の要素も、地元労働市場における技能不足に寄与することに留意する必要があります。

 今年4月にジュネーブのILO本部で開かれた仕事の未来に関するグローバル対話でも技能の問題はある程度強調されました。今回の会議では、今後必要となるであろう技能の種類とレベル、新しい技能を持たない人が労働市場の新たな条件に適応するのを支援する方法などについて、さらなる検討が行われる予定です。明確なことは、技術革新や職場変化の速度が速まるにつれ、教育訓練制度がいわゆる就業能力のためのジェネリックスキル(汎用的技能)またはコアスキル(中核的技能)に焦点を当てる必要性がますます重要になってくるという点です。雇用関係の性質の変化は誰が訓練費を払うかという問題をくっきりと浮き彫りにするため、教育訓練制度に大きな課題を提示しています。現在の労働者に対する、より定期的な技能更新の圧力が強まるため、現行の変化速度はまた、成人学習や継続的な職業教育制度に対するプレッシャーを増してきています。

 持続可能な開発のための2030アジェンダに含まれる持続可能な開発目標4「すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する」と8「持続可能で包摂的かつ持続的な経済成長、生産的な完全雇用及びすべての人々のディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を促進する」は、技能開発を巡る問題に焦点を当てており、育成すべき関連する技能とは何か、そしてそれを整合的に測定する方法は国際機関や地域機関による議論と合意を必要とする問題です。今回の会議では、国際使用者連盟(IOE)、国際労働組合総連合(ITUC)、国際連合教育科学文化機関(UNESCO)、経済協力開発機構(OECD)、アジア開発銀行(ADB)、欧州委員会など、主要な国際機関のほとんどが初めて一堂に会して技能ミスマッチについて話し合います。

 会議では以上のような参加者からの発表に加え、グローバル成果物計画の下で進められているILOの様々な調査研究プロジェクトでこれまでに得られた結果が発表されます。調査研究結果は会議後に包括的な報告書にまとめられます。会議に提出された資料は近い将来開かれる地域別ワークショップでも利用されます。様々な形態の技能ミスマッチやそれに取り組む方法に関し、政策概要文書や訓練教材などの形で様々な成果物が年内に発表される予定です。

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 以上はILO技能・就業能力部のポール・コミン技能・就業能力上級専門官へのインタビューによってまとめられた2017年5月10日付の英文広報記事の抄訳です。