1+6北京円卓対話

中国首相主催の国際機関との会合で需要と回復を支える労働市場政策の必要性を説くILO事務局長

2016年07月22日

7月22日に北京で開かれた「1+6円卓対話」において握手するライダーILO事務局長(左)と中国の李克強首相

 今年の主要20カ国・地域(G20)会合を主催する中国の李克強首相は7月22日に北京で、「1+6円卓対話」として、世界銀行、国際通貨基金(IMF)、世界貿易機関(WTO)、ILO、経済協力開発機構(OECD)、金融安定理事会(FSB)の6国際機関トップと経済成長や構造改革、貿易、雇用などのテーマについて懇談する機会を設けました。

 ガイ・ライダーILO事務局長は会合で、世界的な低経済成長と労働市場の継続的な弱さが共存する世界の現状を説明し、ほとんどの国で見られる大多数の労働者にとっての実質賃金の低迷、労働分配率の低下、雇用・経済成長の弱さは総需要を世界的に低下させ、これは企業の市場成長に向けた期待感の縮小→低投資→総需要のさらなる低下→労働市場の不十分な回復といった自己増強型の悪循環を招いていることに警鐘を発し、成長高揚に向けた勤労所得支援と生産性が低い仕事から高い仕事へと労働者の移動を円滑化するような措置の二つを均衡させる労働市場政策の必要性を指摘しました。そして、短期的な労働政策に求められることとして、賃金を押し上げ、人間らしく働きがいのある仕事を創出し、したがって世帯消費を引き上げることによって回復を支えるべきことを説き、短期的な成長と総需要強化のために即時に行動を起こす必要性を強調しました。

7月22日に北京で開かれた「1+6円卓対話」で発表するライダーILO事務局長(右端)

 事務局長はまた、労働市場が直面している中・長期的課題も懸念されると説き、6週間後に迫ったG20杭州サミットでも念頭に置かれるべき問題として、とりわけ極度の貧困の根絶と不平等の縮小、気候変動の影響に対する適応、一部の国における高齢化対策、一方でアフリカや南アジアにおいて継続的に増加している若者求職者対策、技術の変化がめまぐるしい時代における仕事の未来の輪郭形成などを挙げました。さらに、大規模な雇用・社会調整の政治的結果として幾つかのコミュニティーが進歩から取り残される高い危険が世界各地にますます多く見られるとして、経済的のみならず社会的な理由からもこのような状況では賃金、とりわけ最低賃金の購買力と社会的給付の維持・引き上げを優先すべきことを訴えました。

 中国経済に対するコメントを求められたライダー事務局長は、ILOの役割は分析と政策経験の点で最善の好事例に関する国際的な情報を提供することと断った上で、中国が既に動き出しておりILOが支援を提供できるかも知れない分野として、社会的保護制度の拡大、持続可能な賃金戦略、社会対話に求められる強い役割、訓練・職業教育の有効性、労働市場情報システムのさらなる強化を挙げました。

* * *

 以上は北京発英文記者発表の抄訳です。