世界銀行/IMF春季会合
世界銀行/IMF2017年春季会合向けライダーILO事務局長声明-世界経済の不確実な展望の中心にあるのは雇用見通しの弱さ
2017年04月21日
ガイ・ライダーILO事務局長は、4月21~23日の日程でワシントンDCで開催されている世界銀行と国際通貨基金(IMF)の春季会合に向けて、仕事と生活水準の展望に関する幅広い懸念に直接取り組むには、雇用・社会政策にもっと強く焦点を当てることを提案する声明を発表しました。
22日に開かれた国際通貨金融委員会に向けた声明で、ライダー事務局長は、2017、18年の世界経済の成長は2016年に比べてわずかに勢いを増すであろうものの、世界の失業者数を減少させ始めるには不十分として、より早くより包摂的な成長と開発を形成する機会を失してはならないと訴えました。
就業者全体に占める個人事業主と寄与的家族従業者の割合で示される脆弱な就業者比率の途上国における減少速度の鈍化は2030年を達成目標年とする持続可能な開発目標の達成を脅かしています。2008年の世界金融危機以降の長引く低経済成長期は生産性を損ないつつあり、投資増、イノベーション(革新)、持続可能な企業の創出、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を通じて生産性と実質賃金成長の好関係を再燃させるには受給両面の政策が求められます。
ILOでは今年の失業者数は世界全体で2億人を超えると見ています。このうち、若者は8人に1人に相当する7,000万人以上に達すると見られます。
2015年の実質賃金成長は平均1.7%であったものの、賃金の伸びが最も高かった中国を除くと0.7%に過ぎません。2016年には、先進国では上昇が記録されたものの、複数の大規模新興経済諸国で低下しました。また、多くの国で見られることとして、この平均は不均衡な分布を覆い隠しており、ほとんどの労働者について実質賃金の伸びは非常に限られたものに留まっています。1990年代以降の実質賃金成長と生産性の伸びの隔絶は、先進国及び新興経済諸国の多くで労働分配率の低下をもたらしています。ILOの調査研究からは労働分配率の低下、所得不平等の拡大、低成長の間には相関関係があることが推測されます。
世界的に機会、処遇、結果の点で、労働市場には相変わらず男女不平等が残っており、これは社会正義の問題であるだけでなく、経済の生産潜在力を押し下げる効果も及ぼしています。
グローバル化が公正であるか否かについての人々の認識は雇用展望の現実と密接に関連しており、調整の円滑化に向けた雇用・社会政策への投資が開放市場経済の社会的な柱の重要な一つの側面を構成すると言えます。包括的雇用・社会政策の改善は、成長と開発をより包摂的でより力強いものとし、循環的・構造的な制約が世界経済の完全な回復を妨げている場合には特に、マクロ経済の重要な手段となります。より早くより包摂的な成長と開発を育む道を形成する機会を逃してはなりません。国内的・国際的に雇用と生活水準の展望に対する懸念の広がりに直接的に取り組む雇用・社会政策にもっと注力することが必要不可欠です。
同日開かれた開発委員会に向けた声明でもライダー事務局長は、途上国及び新興経済諸国の中流階級労働者による消費が今後の世界的な成長の主な推進要素となる可能性が高いことに注意を喚起した上で、賃金上昇の弱さと不均等な分布は、より包摂的でより早い成長を脅かす可能性を指摘し、成長を後押しする不平等と貧困の削減に向けてILOと世界銀行が各国の普遍的かつ持続可能な社会的保護制度の設計・実施を支援していることを紹介しました。そして、貧困層と脆弱な人々に特に注意を払う社会的保護制度は全ての人々をその生涯を通じて支援し、所得保障を確保することを強調しました。また、世界的な労働市場の弱さと金融危機からの不十分な回復が、グローバル化は全ての人にディーセント・ワークの現実的な機会を提供できていないように見えることによる欲求不満の広がりにつながっていることを指摘し、より早くより包摂的な成長と開発を育む道を形成する機会を失してはならないと説いています。