ILO/IOE新刊:ビジネスの未来
世界中のビジネスモデルが直面している劇的な変化を明らかにしたILO/IOE新刊
2019年03月26日
ILO使用者活動局と国際使用者連盟(IOE)は、主として会員制使用者・企業団体の現下の課題についての理解に資することを目的として、企業と職場に影響を与えている主要な変化の分析を行いました。このたび発表された報告書『Changing business and opportunities for employer and business organizations(ビジネスの変化と使用者・企業団体の機会・英語)』は、この分析結果をまとめ、世界中でビジネスモデルの急速かつ根本的な変化が進行中であり、政策策定者や企業、使用者団体は革新(イノベーション)を遂げ、調整を行い、より柔軟になることが要請されていると結論づけています。
報告書は、幅広い文献・企業調査、事例研究、会員制使用者・企業団体との協議、数百人の企業役員へのインタビューといった様々な手法を用いて、技術革新、地球規模の経済統合、気候変動と持続可能性、人口動態と世代交代、地球規模の熟練労働力不足という、企業の規模や産業部門、立地場所にかかわらず、世界中でビジネスモデルに抜本的な変化を生じさせている五つの趨勢を分析し、それぞれが企業にとって持つ意味、そして会員制使用者・企業団体に提示している機会と課題を示しています。最大の問題と指摘されたのは技能ギャップであり、インタビューに回答した企業役員の実に78%までが、学校は使用者の将来的なニーズに応えていないと回答しています。
調査からは以下のような事実が判明しています。
- インタビュー回答者の56%までが、全体として企業に最大の影響を与えている地球規模の趨勢は技術革新であると回答
- 調査に参加した企業の76%までが、技術革新は新たな市場に参入する機会を与えるものと認識
- 地球規模の経済統合は企業統治(ガバナンス)や税務・規制、ビジネス環境の地球規模の調和を進行させており、これは企業に大きな影響を与えています。調査回答企業の4割が自社に大きな影響が出ていると報告しています。
- 調査に回答した役員の約37%が大きな趨勢として世界的な経済・政治の不確実性にさらされる状況が増してきたことを挙げています。
- 62%の欧州企業、58%のアジア企業が生産年齢人口の減少は自社のビジネスに大きな影響を与えるだろうと回答
- 中南米・カリブ企業の45%、アフリカ企業の39%が、若者の一時的な増加が自社に相当の影響を与える可能性を指摘
- 51%の企業が政策策定者から環境目標の遵守を求められることが増えたと回答
- 高所得国企業の40%、上位中所得国企業の45%が、労働者と消費者からより持続可能な作業環境と企業価値を求められるようになったと回答
- 78%の役員が経済のニーズに合わせた学校・教育カリキュラムの更新は必要な熟練労働力を提供することになろうと指摘。この考えが特に強いのは新興市場であり、アフリカの回答者の86%、中南米の回答者の79%がそのように回答
- 技能課題の変更を最も積極的に支持しているのは中小企業であり、小企業の84%までが技能ニーズに合わせた教育制度の更新を支持
報告書は、企業は以上のような課題に単独では対処できないため、会員制使用者・企業団体を通じて集団的な解決を探るべきと提案しています。報告書にも含まれている仕事の未来を巡る議論のカギを握る要素の一つは、こういった来たるべき変化の中で使用者・企業団体が果たす役割であると言えます。
デボラ・フランス=マッサンILO使用者活動局長は、ずば抜けて影響力が高い趨勢である技術革新は、企業が製品やサービスに価値を付加する方法を本質的に変えつつあることを指摘した上で、調査から判明した事実として、技術の浸透が進めば進むほど、創造力や問題解決力、コミュニケーション、協調性などの「人間的な技能」に対する要求が高まることを明らかにしています。ロベルト・スアレス・サントスIOE事務局長は、「企業・使用者団体と共に接続性とデジタル化を受け入れる企業が、この競争が熾烈な景観の勝者となるであろうことがこの報告書から確認された」と説いています。
以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。