移民・難民

ベネズエラの移民・難民を支援するILO

2019年05月07日

 国連の推計によれば、社会、経済、人権、政治の各状況の悪化を受けて自国を後にしたベネズエラの人々は今年3月までに約370万人に上ると見られます。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と国際移住機関(IOM)の調整の下、2018年に「国連システム機関間地域調整プラットフォーム(R4V)」が設けられ、ILOもペルーの首都リマにある中南米・カリブ総局を通じて社会経済・文化統合の介入分野の調整役を務めていますが、このたび、他の中南米諸国にやってきたベネズエラ国民の社会・経済統合の課題に応えることを目指し、一連の緊急介入活動を開始することとしました。

 使途が限定されていない任意協力基金である通常予算補足勘定から拠出される200万ドルを元手にキックスタートされる介入活動は、エクアドル(首都キト市及びグアヤキル市)、コロンビア(バランキーヤ市及びカリ市)、ペルー(リマ北部)の3カ国でベネズエラからの移民・難民の社会・経済統合に関連して進められます。ILOの対応活動は、95の機関が各国政府の優先事項に沿って策定した「難民・移民対応地域プラン(RMRP)」の一部です。この計画はベネズエラからの難民・移民の影響を受けている中南米・カリブ諸国の保護、援助、統合に関わるニーズに対処するものです。

 これまでのところ、域内諸国は大いなる連帯精神を発揮して130万人のベネズエラ国民に一時居住許可を与え、労働市場への参加を認めていますが、これほどの規模の人々の流入に対応する能力は限られており、結果として地元共同体や制度機構には現在、多大な重圧がかかっています。その上、多くが正規の手続きを踏んだ入国でないため、様々な形態の搾取や虐待、暴力、差別に弱い状態になっています。

 ILOは上記3カ国において、社会的パートナーである労使団体の関与と地域共同体の参加を確保した上で、人間らしく働きがいがあり、生産的な就労戦略を確保するための政策提案も行いつつ、具体的には以下のような活動を行う予定です。

  • ベネズエラから避難してきた人々の労働市場への包摂を円滑化するための就労プロフィール作成に向けた保有技能データの収集・体系化
  • 都市部・農山漁村部を問わず、起業家となる技能、能力、意欲を有する移民・難民が率いる企業の開設支援
  • ベネズエラ移民・難民の労働市場への公正な参画を促進し、他の労働者集団が不利な立場に置かれないよう確保することを目指した啓発活動
  • 特定の産業部門における雇用創出潜在力を特定し、介入活動を試行するためのバリューチェーン分析の実施

 これ以外に、ILOがIOM、国連食糧農業機関(FAO)、米州機構(OAS)と共同で移民、難民、受入社会のニーズを満たすために策定した共同戦略の枠内で社会経済統合要素を実施するための資金が870万ドル不足しています。ILOはこれに対する資金協力を訴えて、機関間アピールを行っています。

 以上はリマ発英文記者発表の抄訳です。