ディーセント・ワーク国別概況:ブラジル

ブラジルにおけるディーセント・ワークの機会と課題に光を当てる世界初の市町村別指標集合をILO発表

2014年12月01日

 ILOブラジル国別事務所はこのたび、世界で初めてブラジルの5,565(2010年現在)の市町村別にディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の機会と課題について示す指標集合を発表しました。2010年のブラジルの国勢調査をはじめ、主として2010~13年の期間についてのその他の情報源、行政記録を用いて導かれたディーセント・ワーク市町村別指標は、地域別の特性を考慮に入れた公共政策強化の必要性を明らかにしています。ILOブラジル国別事務所のライース・アブラモ所長は、各市町村の労働、地域、経済、社会の動力についての総合的な分析を示す範囲において、この指標はすべての住民のディーセント・ワークの実現に向けた州及び市町村の政策課題や「窮乏のないブラジル」計画などの国の開発にとって戦略的に重要な公共政策に加え、「ディーセント・ワークと雇用国内課題計画」の実行を強化する戦略的な手段となると語っています。

 男女が共に、自由、公平、安全保障、人間の尊厳の諸条件が確保された状況下で、生産的で良質の仕事を得る機会の促進というILOの歴史的な使命を集約した概念として、ディーセント・ワークは貧困克服、社会の不平等の縮小、民主的な統治と持続可能な開発を確保するための前提条件と考えられています。指標はディーセント・ワークの10の側面に対応する次の10の分野を測定したものとなっています。

  1. 雇用機会
  2. 十分な収入と生産的な仕事
  3. まともな労働時間
  4. 仕事と私生活、家庭生活の調和
  5. 廃絶すべき仕事
  6. 仕事の保障
  7. 雇用における機会平等・均等待遇
  8. 安全な作業環境
  9. 社会保障
  10. 社会対話と労使代表

 見出された主な事項には次のようなものがあります。

  • インフォーマル性:2010年当時、インフォーマル(非公式)経済で働く労働者は国内全体で推計3,320万人。この20.5%がこのような労働者が10万人を上回る複数の州都と大都市から成る24の市町村に集中していたため、これらの自治体の協調努力によってインフォーマル経済で働く人の数は相当に減らすことができると思われます。インフォーマル経済で働く人の5人に1人が州都に住み、このような労働者が全就業者の50%を超える市町村の半分が北東部に位置していました。2013年末現在、個人零細事業主(MEI)計画を通じてインフォーマル経済で働く人の数はどの市町村でも減少し、全体の11%に相当する366万人がフォーマル(公式)経済に組み込まれました。
  • 失業:失業率が最も低い州都はクリチバ(4.7%)、次いでフロリアノポリス(4.9%)、逆に高い州都はサウバドル(12.9%)、次いでレシフェ(12.5%)。失業率は一般に女性と黒人で高く、例えば、サウバドル市では白人男性の失業率が7.1%であるのに対して、黒人女性の失業率は18%。
  • 所得:2010年の国勢調査によれば、世帯所得の約75%が勤労所得。勤労所得が世帯所得全体の半分以上を占める市町村は93.4%。移転所得が多くを占める最貧地帯である北東部でも81%の市町村がこの水準に達しています。
  • 家事労働:労働者として登録されている家事労働者の割合は低く、25%を下回る市町村が68。これにはテレジナ(24.1%)やマカパー(24.5%)、ボアビスタ(24.8%)など、北部及び北東部の州都や大都市が多数含まれています。
  • 強制労働:2013年に奴隷に類した状態で働く労働者が見出された市町村は316。うち62.3%に強制労働の撲滅に向けた計画も措置も見られませんでした。
  • 児童労働:2010年の国勢調査で働いていると記録された14~15歳の子ども88万8,400人中見習い研修生はわずか2.7%。残りはいわゆる児童労働。
  • 若者:2010年に15~24歳の若者の5人に1人が就労も就学もしていないニート状態。女性の場合は家事手伝いと子供がいることがこの状態と強く関連しており、この範疇に属する女性の48.3%が母親。
  • 障害者:2012年の労働省データによれば、公式労働市場で働く障害者が記録されていない市町村が全体の31.5%。こういった労働者の半数以上が公務部門で働く市町村が72%。
  • 教育:15歳以上人口の半数以上が教育を受けたことがないか、初等教育を修了していない市町村が81%。

 全市町村の完全なデータと市町村別報告書、見出された主な事項のまとめはILOブラジル国別事務所のウェブサイト内の特別ページ(ポルトガル語)から入手できます。この指標に先立ち、2009年には『ブラジルの第1次ディーセント・ワーク国別概況(英語)』、そして2012年には26の州と連邦区のデータを掲載した『ブラジルのディーセント・ワーク国別概況:連邦単位別展望(英語)』が発行されています。各国のディーセント・ワーク国別概況はディーセント・ワーク測定プロジェクトのウェブページ(英語)に掲載されています。

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 以上はブラジリア発英文記者発表の抄訳です。