パレスチナのディーセント・ワーク
パレスチナのディーセント・ワークの誓い:ライダーILO事務局長公式訪問
2018年04月27日
ILO事務局長が20年振りにパレスチナを公式訪問しました。2018年4月19日から3日間にわたった滞在中にガイ・ライダー事務局長はアッバース大統領をはじめとした政労使代表と会談し、新しいディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)国別計画の署名に立ち会い、パレスチナ社会保障公社を立ち上げました。
2013~17年の第1次計画を引き継ぐ新パレスチナ・ディーセント・ワーク計画は、2018~22年のILOとパレスチナの共同事業の枠組みを定めています。訪問最終日にラマラの労働省で開かれた記者会見の席で、ライダー事務局長は、ILO及び政労使によるパレスチナにおけるディーセント・ワーク促進活動の継続を約すこの計画について、「ILOとパレスチナ政労使の間の協力関係強化の必要性を反映すると同時に、何年にもわたって共に遂行し、印象的な業績が残されている活動の継続に向けたILOの公約を表すもの」と説明しました。さらに、100年近く世界中で社会正義のために闘ってきたILOは、「ここパレスチナでもその仕事の全てを進める特別の責任」があると語りました。計画を実行する合意書には、ILOを代表してルバ・ジャラダト・アラブ総局長が、パレスチナを代表して、マモーン・アブ・シャハラ労働大臣、シャヘル・サアド・パレスチナ労働組合総連盟(PGFTU)書記長、ハリル・リズク・パレスチナ商工農業会議所連盟(PFCCIA)会頭といった政労使代表が署名しました。
第2次パレスチナ・ディーセント・ワーク計画は、雇用と生計手段の促進、労働市場の統治と労働者の権利の強化、社会保障と社会的保護の増強の三つの優先事項を掲げています。ジャラダト総局長は、これは政労使三者が定める国家の優先事項から導かれたものであり、パレスチナ領域内でのILOの現在及び過去の主な業績を土台とし、2017~22年のパレスチナの国家政策課題にも沿ったものであると紹介しました。アブ・シャハラ労働大臣は、この新しい計画について、「我が国及び我らの人民に利益をもたらしているILOとの多年にわたる関係の賜物」と評価しました。
滞在中に事務局長は、マフムード・アッバース大統領や労働大臣、リアド・マルキ外務大臣その他の政府関係者に加え、上記労使団体代表と会談し、パレスチナの労働市場が直面している課題、この領域内でディーセント・ワークを促進するためにパレスチナ当局及び労使代表に対するILOの支援を強化する方法などについて話し合いました。ニコライ・ムラデノフ国連特別調整官をはじめとした国連幹部とも会合を持ちました。
ライダー事務局長とジャラダト総局長はまた、ラマラで開かれたパレスチナ社会保障公社の開所式典にも参列しました。現在、480万人が暮らすパレスチナの労働者の53%が民間部門、31%が公的部門、16%がイスラエルと西岸の居留地で働いています。しかし、社会的保護の給付は公的部門の労働者に限られ、老齢、障害、死亡、業務災害、出産時の実効的な保護はほとんどの民間労働者に及んでいません。そこで、長年にわたるILOの強い支持の下、全ての民間労働者とその家族に適用される初の包括的な社会保障制度が整備されました。新たに成立した社会保障法に基づき、パレスチナ社会保障公社がこの制度を運営し、保険に加入する労働者とその家族の社会保険給付を管理し、給付を支給します。公社の活動を監督するものとして、労働大臣が議長を務め、政労使代表が参加する理事会が設けられています。ILOはクウェート政府とカタール政府の任意資金拠出を受けた開発協力プロジェクトを通じて公社の設立資金を提供しました。
リズクPFCCIA会頭は、この新法と公社について、「パレスチナ労使にとっての大きな前進を表すもの」と評価しています。サアドPGFTU書記長は、「社会保障は社会正義の中核的な要素であり、パレスチナの労働者の基本的な権利を守る助けになる」との考えを示しました。
パレスチナでは、占領の固定化、和平プロセスの中断、解消されない政治の不安定性、ガザの人道的状況の悪化といった状況が続き、依然として占領のかせがはめられた民間セクターでは投資は沈滞し、多くの経済部門で発展の後退が奨励されています。支援総額の急落と2014年になされたガザ再建公約の不履行も、再建活動や景気回復を減速させています。経済情勢は依然として高い失業率、不完全就業率、不平等水準を特徴としています。このような状況は、数十万人のパレスチナの民の生計を圧迫し、経済機会やディーセント・ワークの機会を制約しています。
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