シリア難民危機
シリアとその周辺地域の将来支援ブリュッセル会合(2017年4月5日)で仕事が違いをもたらすことを示す報告書を発表
2017年04月05日
2017年4月5日にブリュッセルで開かれたシリアとその周辺地域の将来支援国際会議のサイドイベントとして、ILOは世界食糧計画(WFP)、国連開発計画(UNDP)と協同で作成した報告書『Jobs make the difference: Expanding economic opportunities for Syrian refugees and host communities(仕事は違いをもたらす:シリア難民及び受入社会の経済機会拡大・英語)』を発表しました。シリア危機は7年目に突入しましたが、報告書は1年前にロンドンで開かれたシリア及び周辺地域支援会合で公約された、2018年までに110万人分の雇用を新規に創出するという野心的な目標の達成に向けた、難民受入国、国際ドナー・コミュニティー、民間セクターといった、主要関係三者の取り組みを支援する実用的で経験に根ざした証拠を提供しています。
シリアに加えて、エジプト、イラク、ヨルダン、レバノン、トルコといった周辺受入国が直面している共通の課題を概説する報告書について、ルバ・ジャラダトILOアラブ総局長は「非常に重要なイニシアチブ」と評し、各国特有の課題や、うまく機能した復元可能なイニシアチブも紹介するこの報告書は「シリア難民危機への対応を進めるに当たって重要な現状把握・学習のための作業」と紹介しています。そして、「働きがいのある人間らしい仕事なしには、脆弱性から和平及び強靱性に移行する可能性はささやか」として、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)が対応の人道的側面と開発面の重要な架け橋となることを訴えています。
ILOは受入社会及び開発パートナーと協力して、ディーセント・ワークの原則に埋め込まれた、雇用を豊かに生む各国の対応の促進を通じて、ロンドン会議の公約、そして難民と受入社会の両方を対象とした地域の雇用創出及び経済機会の拡大に向けた取り組みを支援してきました。現在、国際社会によるシリア危機対応努力の中心には働きがいのある人間らしい仕事の創出が置かれていますが、ILOは地元だけでなく国際的にも、危機の影響を受けた人々のためにより多くの仕事を創出するだけでなく、仕事の質も改善することをますます強く提唱してきました。。
ILOは例えば、ヨルダンで政府と緊密に協力し、難民に対する就労許可発行手続きの改革に対して政策助言を提供しました。この結果、シリア難民に対して発行された同国の就労許可件数は2016年4月に3,800件であったものが2017年3月末現在はその10倍以上の4万4,000件以上に膨らみました。協同組合に対するILOの支援を理由として、このうち1万3,000件が農業部門における就労許可となっています。ILOは国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と連携して、この就労許可制度の改革がヨルダンの労働市場に与えている影響を評価する研究を近い将来に開始します。
ILOはレバノンでは民間セクターの関与の改善に取り組む包括的な技術・職業教育訓練事業を実施し、提供されている公式・非公式な教育訓練が就労に至る適切な道筋を開くことの確保に努めています。提供される教育訓練における改善の受益者は2万1,000人に達する見込みです。
ILOはまた、ドイツ開発銀行の資金協力を受けてヨルダンとレバノンの両国でシリア難民と受入社会の両方に雇用を創出し、基盤構造の改善を図るため、2件の雇用集約型基盤構造計画を開始しました。このプロジェクトは地元の請負業者の能力構築支援に加え、労働集約度を高め、中核的な労働基準を公共基盤構造計画に組み込む方法に関して政府機関に助言を提供してもいます。このイニシアチブの下、今後2年間で両国のシリア難民と受入社会の両方を合わせて、道路維持や棚田、貯水タンク、温室、灌漑システム工事などのプロジェクトを通じて、日雇い労働換算で延べ60万人弱の雇用が創出される予定です。
全ての人のディーセント・ワークに向かう道を形成する上で決定的に重要なこととして、難民危機は難民受入国において、三者協議における労働者の関与の増大や労働市場の構造的な弱点に取り組む機会も提供します。
既存の公約の再確認に加え、シリア及び近隣諸国内のシリア人並びに各受入社会に対する追加的な支援の把握を目的として開かれた閣僚級国際会議には、70余りの国、国際機関、市民団体が参加しました。会議では国連の庇護の下、シリア人自身が主導する包摂的な政治的移行プロセスを通じて長く持続するシリア紛争の政治的解決策を支援する方法や、合意後の政治的移行期における支援提供のあり方の評価も行われました。
* * *