国連エボラ復興国際会議
ギニア、リベリア、シエラレオネのエボラ後復興努力をILOも支援
2015年07月08日
潘基文国連事務総長が招集し、アフリカ連合、欧州連合、アフリカ開発銀行、世界銀行が協力して2015年7月9~10日にニューヨークで開かれるエボラ復興国際会議にILOからはアエネアス・チャピンガ・チュマ・アフリカ総局長率いるハイレベル代表団が出席します。
ILOは会議開催に先立つ8日、「エボラからの復興:社会的保護を通じた抵抗力強化」と題したサイドイベントを開き、感染が拡大したギニア、リベリア、シエラレオネの3カ国のエボラ後復興計画で取り組むべき優先分野について話し合いました。アン・ドロウインILO社会的保護専門官が司会を務め、リベリアとナイジェリアの労使代表、国連児童基金(ユニセフ)等の上級専門家が参加した討議では、この3カ国の仕事の世界の復興を支援する必要性に光が当てられ、最低限の社会的保護の適用と基礎インフラサービスへのアクセス確保の必要性が強調されました。出席者らは社会保障制度の整備、労働安全衛生の仕組みが整った生産システムの回復、国民すべてに適用される保健制度確立の必要性を指摘しました。
エボラ復興国際会議は、非常事態から復興期への移行並びに国家及び地域の戦略の実行を支援する追加資金の動員を目的として開かれます。保健制度の再建及び2015~17年のサービス提供に計上されている予算額はギニアが11.76億ドル、リベリアが5億5,000万ドル、シエラレオネが3億6,100万ドルとなっていますが、それぞれ順に3億8,650万ドル、1億6,970万ドル、1億4,000万ドルが依然として不足しています。
会議ではまた、エボラ危機が経済成長、教育、雇用、社会的サービスに与える可能性がある長期的な影響も検討されます。ILOは上記3カ国がそれぞれの国家復興計画で定めた優先分野に対する技術支援の提供と機構・制度の強化を中心として会議に貢献する予定です。アフリカ連合は今回の会議で採択される予定の政策提案について検討する会議を7月20日に赤道ギニアの首都マラボで開催します。
ILOは国連諸機関、世界銀行、アフリカ開発銀行が実施したエボラ復興評価に参加し、四つのテーマ別作業部会の一つである基盤構造と基礎サービスの部会をユニセフと共に主導しました。さらに、今回のエボラ危機勃発の当初から、世界保健機関(WHO)などの国際的なパートナーや現地パートナーと協力し、保健医療労働者の支援や労働者の健康リスクの最小化に向けた重要な救命情報の提供などを通じてエボラとの戦いに参加してきました。また、上記3カ国の国家復興計画の立案に対する支援も提供しています。
保健医療部門のディーセント・ワークが従事者の命を救う
| クリスチアーヌ・ウィスコウILO保健医療部門上級専門官 |
エボラウイルス病は保健医療労働者に破滅的な影響を与えました。今年5月に世界保健機関(WHO)から出された暫定報告は、ギニア、リベリア、シエラレオネ3カ国で2014年1月から2015年3月までの期間にウイルス感染が報告された保健医療労働者は815人に上ることを示しています(蓋然例も含む)。この中で最終的な結果が判明している人の3分の2が亡くなっています。
一部保健医療職種の感染リスクは一般住民の21~32倍に達しています。この感染者の半分以上を看護師と看護助手が占め、他に医療労働者(12%)、ラボ労働者及び清掃や保守業務などに従事する補助スタッフ(各7%)が含まれています。クリスチアーヌ・ウィスコウILO保健医療部門上級専門官は7月1日付の論評記事で、こういった業務関連感染の多くが予防できたとして、国際労働基準やILOの各種ツールの正しい適用をもって保健医療労働者を保護することを訴えています。
次の致死的伝染性疾患勃発への対応に際してこのような悲劇の再発を確実に予防するには、保健医療労働者の安全な労働条件を確保する積極的な世界規模の行動が必要です。人間らしく働きがいのある労働条件に向けた投資が良質のケアを提供する強健な保健医療労働者を育む前提条件になります。ILOはこの目的のために開発された特別の手段や基準の活用などを通じて保健医療労働者の安全と健康を確保することを強く提唱します。
例えば、リベリアでは大流行時に、ILOとWHOが共同で開発した参加型行動・学習ツールであるヘルスWISEを用いて保健医療労働者に職場の安全性向上に向けた訓練が提供されました。保健医療施設が感染予防・対策、労働安全衛生のための手順を定め、点検する際の手引きとなるヘルスWISEのアクション・チェックリストは、機材の清浄・消毒、手指の衛生、個人保護具の適正使用と保守、毎日の体温チェックなどのスタッフの健康モニタリング・報告のための仕組みなどを含むよう、エボラの状況に合わせて改訂されました。ILOとWHOが2014年に共同で開発したエボラ・ウイルス病の労働安全衛生に関する概説資料は、職場感染その他の安全衛生に係わる事象の発生を予防するために情報、訓練、個人用保護具を提供することによって労働者の安全と健康を確保する使用者の責任に注意を喚起すると同時に規則を遵守すべき労働者の責任を明らかにしています。労働安全衛生分野の様々な基準に加え、ILOの看護職員条約(第149号)と付随するその勧告(第157号)は看護職員の適切な労働条件に関する手引きを示し、看護労働とそれが遂行される環境の特殊な性質に適応させることによって労働安全衛生関連法規の改善を図ることなどを定めています。
エボラウイルス病の大流行が勃発した当初、保健医療職員は個人保護具が全く不足する状況に直面しました。この事実はWHOの報告書からも確認され、大流行勃発当初の2014年8月に保健医療労働者の感染率はピークに達しています。これは安全備品が入手可能になって使用が開始されたことに加え、感染予防・対策措置や労働安全衛生戦略の実行が感染の減少に寄与した可能性を推測させます。
まずはウイルスの伝染予防が理想的ですが、病院で治療を受けた労働者の方が死亡率が低かったことからも明らかなように、ひとたび感染した場合、保健医療労働者に得られる治療、ケア、支援のシステムの利用機会を改善する必要があります。また、回復した人の中には、慢性的な痛みや頭痛、目の障害に加え、地域社会において感染者の烙印を押され、差別に苦しんでいる人もいます。多くがトラウマを抱え、心理社会的な支援を必要としています。保健医療労働者とその家族を含み、エボラ・ウイルスに感染したすべての人が収入途絶などの短・長期的な疾病の影響に対処する包括的な社会的保護措置を必要としています。
命に関わる可能性がある疾病に罹患した患者の治療に従事する保健医療労働者が職務の過程で不当に自らの命を危険にさらすような状況があってはなりません。このリスクを最小限に抑えるには、十分な情報を持ち、訓練を受け、必要な医療設備と備品を備えた労働者及び使用者に加え、実効性のある労働安全衛生マネジメントシステムが導入された保健医療環境が決定的に重要です。とりわけ非常時に効果的なケアが提供されるには保健医療従事者が保護され、支援されていることが必要不可欠なのです。
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以上はILOアフリカ総局による次の二つの英文記者発表と論評記事の抄訳です。
- 2015年7月8日付アディスアベバ/ニューヨーク発記者発表-社会的保護を通じたエボラ対策の強化
- 2015年7月6日付アディスアベバ発記者発表-ギニア、リベリア、シエラレオネのエボラ後復興努力をILOも支援
- 2015年7月1日付論評記事-エボラ:保健医療部門のディーセント・ワークが従事者の命を救う