ILO新刊:労働安全衛生
カタールの業務関連死傷事故に関するILO刊行物を発表
2021年11月18日
この度ILOから発表されたカタールの業務関連死傷事故に関する掘り下げた分析は、2020年に同国では仕事に関連して50人の労働者が命を失い、500人超が重傷を負い、3万7,600人が軽度~中程度の負傷を被ったことを示しています。このほとんどが主として建設業で働く、バングラデシュ、インド、ネパールからの移民労働者であり、重傷事故の三大原因は高所からの転落、道路交通事故、職場における物体の落下であることが判明しました。
とりわけ来年開かれるサッカーのワールドカップに関連した基盤構造事業におけるものを中心に、カタールにおける業務関連死亡事故についての透明性と説明責任の強化を求める要求に応じて発表された『One is too many: The collection and analysis of data on occupational injuries in Qatar(1件でも多過ぎる:カタールの労働災害データの収集と分析・英語)』は、カタールでこれまでに編纂された中で最も正確かつ完璧な業務関連死傷事故の全体像を示しています。分析結果は負傷労働者に救急治療を提供する国内全ての医療機関から集められたデータを元に導き出されています。
カタール業務関連負傷統一登録機関(WURQ)の調査研究交付金主任調査官を務めるラファエル・コンスンジ・ハマド外傷センター・ハマド負傷予防計画部長は、本書について、「カタール国の労働災害に関するこれまでのものとはかけ離れて最も包括的かつ正確な全体像」を示すものとして評価し、「我々の調査研究から見出された事項が既に労使向け啓発キャンペーンの設計や労働監督官向け研修プログラムに適用されているのを見てうれしく思います」と喜びを示しています。
ILOはカタール国内の主な機関と協力して同国の複数の機関のデータ収集の仕組みと見出された事項を分析しました。報告書は複数の省庁・機関における業務関連死傷事故に関する分類方法の違いやデータ収集におけるギャップの存在を特定し、この結果として、カタールの業務関連死亡事故件数に関して絶対的に正しい数字を出すことはまだ不可能と結論づけています。そして、データ収集における質と正確性の向上、仕事に関連している可能性があっても現在はそのように分類されていない死傷事故を調査するさらなる努力を求め、それによって、労働者とその家族が労働災害の場合に正当な補償を受け取ることが確保されるだろうと説いています。さらに、調査に関しては医療専門職のみならず、労働監督官も行うべきとし、労働災害に関する適時の信頼のおけるデータをまとめる全国的な統合プラットフォームの構築を公衆衛生省に提案しています。
ILOカタール・プロジェクト事務所のマックス・トゥニョン所長は、「データ収集・分析プロセスの点検において示された透明性は、行動の行程表として用いられ得る具体的な一連の提案を提起することを可能にしました。一つ一つの統計数値の背後には労働者とその家族が存在するのですから、緊急に進める必要があります」と説いています。
本書は、第1章「序章」、第2章「カタールの労働安全衛生政策」、第3章「労働安全衛生データ収集イニシアチブ」、第4章「業務上負傷事故に関する2020年の得られる業務統計・調査研究データ」、第5章「カタール業務関連負傷統一登録機関(WURQ)の2020年登録データ」、第6章「熱ストレスと労働災害」、第7章「前途」の7章構成で、カタールの業務関連死傷事故に関するデータを詳しく分析し、データ収集プロセスを紹介し、現在のプロセスを向上する方法を提案しています。
以上はILOカタール・プロジェクト事務所によるドーハ発英文記者発表の抄訳です。