アラブ労働総会
アラブ地域の将来的な雇用成長のカギを握るのは民間セクターと説くILOアラブ総局長
2018年04月11日
エジプトの首都カイロにおいてアブドゥルファッターハ・エルシーシ同国大統領が主宰して2018年4月8~15日の日程で開催中の第45回アラブ労働総会の開会式で挨拶したルバ・ジャラダットILOアラブ総局長は、「顕著な社会・政治不安に加え、一部諸国で紛争が続いているアラブ地域の労働市場と雇用が一層深刻な課題に直面しているのは明らか」とした上で、この地域の将来的な雇用成長のカギを握るのは民間セクターの雇用創出潜在力であると強調しました。
アラブ地域の合計失業率は高止まりを続け、2017年に世界平均(5.6%)のほぼ2倍に当たる10.2%を維持しましたが、これは1,300万人以上が仕事を探していることを意味します。若者(15~24歳)は特に不利な立場にあり、失業率は27.6%に達しています(世界平均は13%)。男女の不平等も激しく、女性の失業率は男性の失業率(8.2%)の2倍以上に当たる18.7%に達していますが、これは世界平均の3倍に相当します。家族の事業に貢献する家族従業者と個人事業主で構成される脆弱な就業者層も増え、2017年には就業者全体の26.5%を占めるに至っています(2000年比32%増)。
ジャラダット総局長は、とりわけ最近の原油価格危機に鑑みると、外国人労働者を除いた就業者の14%から推定80%までを公的部門の雇用が占めるといったように、公的部門の就労比率が高いことは地域の労働市場の特徴的な問題であり続けているとして、「地域の将来的な雇用成長は民間セクターの雇用創出潜在力を解き放つことによって生まれなければならない」と説き、これに加えて、今後10年間に予想される人口成長、そしてグローバル化や科学技術、その他の変化の推進要素の期待される影響は実際、構造転換、仕事を豊かに生む成長、そして全ての人のディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を促進する、より包摂的でより良い政策の策定を要請するであろうと指摘しました。
ILOとアラブ労働機構(ALO)はアラブ地域において40年に及ぶ長い協力の歴史があり、2007年には覚書を締結しています。ALOの年次総会であるアラブ労働総会には21カ国から政労使代表が出席し、労働問題や政策対応について話し合いを行います。今年の総会には、「アラブ労働市場の変遷:移行と前途」と題するALO事務局長報告に加え、「民間セクター組織のCSR(企業の社会的責任)」と「競争力と成長の推進における生産性の役割」と題した技術報告書が提出され、討議されています。
ジャラダット総局長は、イラクによる結社の自由と団結権保護に関するILO第87号条約の批准、レバノンによる三者間協議に関するILO第144号条約の間もなくの批准、域内全域にわたる多数の重要な労働政策改革をはじめとして、昨年アラブ諸国の仕事の世界で見られた多くの進展をILOでは高く評価していることを明らかにした上で、ILOアラブ総局が域内政労使に提供した助言・技術支援の例を多数紹介しました。ILOは例えば、ヨルダンとレバノンにおける雇用集約型基盤構造計画(EIIP)の下、難民と難民受入共同体の双方について雇用機会の創出を促進し、ヨルダンだけでも4,600人分を超える仕事を創出しましたが、この就労者の13%が女性、2%が障害者です。この事業計画の下、環境浄化・改善活動に加え、660キロの道路の復旧、8キロの段丘構造及び152ヘクタールの森林地帯の保守が行われました。さらに、シリアとイエメンで、武力紛争に関与する児童を含む最悪の形態の児童労働と戦うプロジェクトを開始する予定であることを紹介しました。
会議の合間にジャラダット総局長は、ILOの地域の上級専門家らと共に、アフメド・アブル・ゲイト・アラブ連盟事務総長やファイエズ・アルムテイリALO事務局長をはじめ、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、クウェート、イエメン、イラク、パレスチナの労働問題担当大臣や労使代表と会合を持ちました。