ILOブログ:女性船員
男の世界で大きな変化の図を描くジャスミン副長
船で働き始めた時には否定的な態度に出会いました。人々の心には「おまえにはこの仕事はできない」との考えがあるのです。あまりにもキツい肉体労働だから女性にはできないと言われます。だから男性の10倍の努力が必要です。
2019年06月07日
| ジャスミン・ラバルダ副長 |
どこの国でも海は男の世界というのが通念ですが、フィリピン出身のジャスミン・ラバルダさんは経済的な理由からこの職業に身を投じることにしました。安全な場所に留まることができたにもかかわらず、困難な状況に身を置き、自分の限界を試すことを選びました。訓練を受けた時の同期に女性は4人しかおらず、導いてくれる人は本当にいなかったため、何もかもが試行錯誤でした。
船で働き始めると「おまえにこの仕事はできない」と考える否定的な態度にぶつかりました。あまりにもきつい肉体労働だから女性にはできないと言われましたが、強くない男性を見たこともあり、男性ではできない仕事もありました。でもいつも、名前を見るだけで「おまえにはこの仕事はできない」と思われるため、男性の10倍も努力しなくてはなりませんでした。陸上で働く時にさえ同じような態度と差別にぶつかりました。
船上で女性1人っきりだったことは何度もあります。一度などは男性20人の中の紅一点で7カ月船で働き続けました。この種の環境は精神的なストレスとなる可能性があるので、強くあり続けるよう意識し、注意を怠らず、自分の身を守らなくてはなりません。2019年の今でもトイレは男性と共用です。でもこんな不便は非常に小さいことで、現実にはほとんど気になりません。もっと重要なのは、自分がしなくてはならないことを決然とこなし、働き続けることです。
こういった課題はありますが、職業的な成長の機会が大きい船員の仕事に就くことを女性に奨励するとラバルダさんは言います。船員の仕事を男性に限定すれば、人的資源の半分を失うことになります。男の世界と思われるかもしれませんが、みんなの世界なのです。
アフリカ、中国、日本、韓国、スウェーデン、南米、タイ。世界中色々なところに行きました。今は北海で石油・ガスのパイプラインを敷設する乗組員100人以上の船舶で、副長としてブリッジに詰めて船を操縦しています。ここに到達するまでは本当に一生懸命働かなくてはなりませんでした。多様性が認められてきたとは言うものの、いまだにガラスの天井が存在します。でも私たちはここまでやって来ました。
問題や圧力は常に存在するでしょうが、重要なのは困難な状況でも自分を見失わず、決然とあり続けることです。正しい態度と習慣を保ち、人々に違いを受け入れるよう奨励するのです。
まだ女性が海で働くのは一般的ではありませんが、女性船員には将来性があると信じています。私にはそれを確実にする責任があるのです。
2019年の「世界海の日(6月8日)」のテーマは「性差と海洋」です。ILOが今年2~3月に開いた海事部門の政労使三者構成会議では、女性船員の機会を促進する措置に関する合意が達成されています。
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以上は、ジャスミン・ラバルダ副長が、「世界海の日」に合わせて2019年6月7日付でILOのブログ「Work in progress(進行中の仕事)」に投稿した英文記事の抄訳です。