ILO統計局ブログ:争議行為

2010年以降に発生した争議行為は世界全体で少なくとも4万4,000件

 賃上げや労働条件向上を促進する重要な手段である実効的な社会対話が失敗するとストライキや作業所閉鎖といった争議行為につながる場合があります。ILOのデータベースによれば2010年以降に発生した争議行為の世界合計は少なくとも4万4,000件になります。

2019年11月04日

ロシーナ・ガンマラーノ経済専門官

 賃上げや労働条件向上を促進する重要な手段である実効的な社会対話が失敗するとストライキや作業所閉鎖といった争議行為につながる場合があります。ILOのデータベースによれば2010年以降に発生した争議行為の世界合計は4万4,000件あまりになり、日本でも71件発生しています。ただし、これは世界の国の3分の1にも満たない56カ国のデータに過ぎないため、実際はもっと多いと推測されます。データがある国でも国内全土あるいは全ての経済活動を網羅していない可能性があります。

 産業別で見ると、日本(全体の28%)もそうですが、争議行為が最も多いのは44カ国中18カ国で製造業になっています。エストニア、モーリシャス、タイでは、全ての争議行為が製造業で発生しています。一方、パナマとセーシェルでは報告された全ての争議行為が建設業、リトアニアでは教育部門、ロシアでは鉱業で発生しています。

 ストライキや作業所閉鎖に関する時宜を得た信頼のおける比較可能な統計を生成するのは困難です。この要因としては、◇データ収集に用いられる概念や方式に各国法令が与える影響、◇時に情報入手を困難にする政治環境や社会環境、◇データの一貫性や比較可能性を損なう可能性があるデータの出所における多様性、◇対象範囲が包括的でない場合が多いこと、◇用いられる概念や定義の違いによってデータの一貫性が損なわれること、などを挙げることができます。

 データの解釈も困難です。これは社会対話の失敗を意味するものですが、労使が自らの要求や苦情を表明できることの証でもあります。

ストライキ・作業所閉鎖件数
国・地域名 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 出所
アルゼンチン 1,031 961 1,216 1,206 1,335 1,235 1,321 940 公式推計
オーストラリア 215 228 259 行政記録
バーレーン 11 労働監督機関記録
バルバドス 9 10 8 労働監督機関記録
ブラジル 446 554 873 行政記録
カナダ 174 149 281 165 153 237 189 192 170 行政記録
チリ 184 160 201 139 158 行政記録
コスタリカ 6 15 8 23 10 6 10 3 労働監督機関記録
キプロス 4 57 76 47 43 31 15 16 37 行政記録
チェコ共和国 1 2 2 労働者団体記録
デンマーク 329 280 225 197 318 158 144 426 148 労働者団体記録
エクアドル 2 12 行政記録
エルサルバドル 13 10 5 2 6 8 3 事業所調査
エストニア 2 1 行政記録
フィンランド 150 163 86 121 128 163 69 103 166 使用者団体記録
ドイツ 131 158 367 1,384 637 1,618 718 1,170 1,528 行政記録
香港(中国) 3 2 1 7 3 2 3 行政記録
ハンガリー 7 1 3 1 2 7 5 6 公式推計
インド 429 287 150 102 公式推計
アイルランド 14 8 5 12 11 9 10 10 10 労働力調査
マン島 3 3 行政記録
イスラエル 24 27 24 25 26 38 32 48 46 公式推計
日本 85 57 79 71 事業所調査
韓国 86 65 105 72 111 105 120 101 134 行政記録
ラトビア 1 250 15 事業所調査
リトアニア 193 78 242 1 196 事業所調査
マルタ 3 4 行政記録
モーリシャス 15 11 12 8 労働者団体記録
メキシコ 84 62 73 86 68 59 48 18 32 行政記録
モンゴル 239 90 公式推計
オランダ 21 17 18 24 25 27 32 28 労働力調査
ニューカレドニア 53 47 41 21 18 20 行政記録
ニュージーランド 17 12 10 行政記録
ノルウェー 6 7 14 10 11 行政記録
パレスチナ 33 行政記録
パナマ 6 1 1 1 2 1 行政記録
ペルー 83 84 89 94 95 47 41 45 54 行政記録
フィリピン 8 2 3 2 5 15 9 14 行政記録
ポーランド 79 53 17 93 1 14 5 1,556 7 事業所調査
ポルトガル 127 119 90 106 行政記録
ロシア 2 5 3 1 2 公式推計
サンマリノ 1 公式推計
セーシェル 3 行政記録
シンガポール 1 行政記録
スロバキア 2 4 2 1 2 2 事業所調査
南アフリカ 74 67 99 114 88 110 122 132 165 行政記録
スペイン 986 777 878 994 777 615 641 730 726 行政記録
スリランカ 15 21 34 40 38 52 35 50 労働監督機関記録
スウェーデン 5 2 8 11 6 1 公式推計
スイス 3 7 10 13 8 13 8 11 事業所調査
トリニダード・トバゴ 4 行政記録
トルコ 21 21 23 行政記録
ウクライナ 5 23 事業所調査
英国 92 149 131 114 155 106 79 81 行政記録
米国 11 19 19 15 11 12 行政記録
ウルグアイ 150

 このような困難にもかかわらず、ILO統計局は古くからストライキと作業所閉鎖のデータを収集しており、1936年に出された労働統計年鑑初号にもこのデータは既に掲載されています。

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 以上はILO統計局データ生成・分析班のロシーナ・ガンマラーノ経済専門官によるILOの労働統計データベースILOSTATの2019年11月4日付英文ブログ記事の抄訳です。ILOSTATには、データそのものに加え、データ生成に携わる人々向けの資料やイベント案内、ニュースレター、解説資料、ブログ記事なども掲載されています。