1978年の労働関係(公務)条約(第151号)

1978年06月27日

公務における団結権の保護及び雇用条件の決定のための手続に関する条約(第151号)
(日本は未批准、仮訳)

 国際労働機関の総会は、
 理事会によりジュネーヴに招集されて、千九百七十八年六月七日にその第六十四回会期として会合し、
 千九百四十八年の結社の自由及び団結権保護条約、千九百四十九年の団結権及び団体交渉権条約並びに千九百七十一年の労働者代表条約及び千九百七十一年の労働者代表勧告の規定に留意し、
 千九百四十九年の団結権及び団体交渉権条約がある種類の公的被用者について適用されないこと並びに千九百七十一年の労働者代表条約及び千九百七十一年の労働者代表勧告が企業における労働者代表について適用されることを想起し、
 多くの国における公務活動のかなりの拡大及び公の機関と公的被用者団体との間の健全な労働関係の必要性に留意し、
 加盟国の間での政治的、社会的及び経済的制度の著しい多様性並びに加盟国の間での慣行の相違(例えば、中央及び地方の政府、連邦、州及び地方の機関並びに国有企業及び各種の自治的又は半自治的な公共団体のそれぞれの機能についての多様性及び慣行の相違、並びに雇用関係の性質についての多様性及び慣行の相違)に留意し、
 多くの国において私的部門における雇用と公的部門における雇用との間に差異があるために国際文書の適用範囲及び適用上の定義について生ずる特別な問題、千九百四十九年の団結権及び団体交渉権条約の関係規定の公務員への適用に関して生じている解釈上の困難並びに若干の政府が多数の公的被用者の集団を同条約の適用範囲から除外してその関係規定を適用しているとの国際労働機関の監督機関がたびたび表明した意見を考慮し、
 前記の会期の議事日程の第五議題である公務における結社の自由及び雇用条件の決定のための手続に関する提案の採択を決定し、
 その提案が国際条約の形式をとるべきであると決定して、
 次の条約(引用に際しては、千九百七十八年の労働関係(公務)条約と称することができる。)を千九百七十八年六月二十七日に採択する。

第 一 部 適用範囲及び定義

第 一 条

1 この条約は、他の国際労働条約の一層有利な規定が適用されない限りにおいて、公の機関が雇用するすべての者について適用する。
2 政策策定又は管理に関係していると通常考えられる職務を有する高い地位にある被用者又は高度に機密的な性質の任務を有する被用者についてこの条約に規定する保障を適用する範囲は、国内法令で定める。
3 この条約に規定する保障を軍隊及び警察に適用する範囲は、国内法令で定める。

第 二 条

 この条約の適用上、「公的被用者」とは、第一条の規定に従つてこの条約が適用される者をいう。

第 三 条

 この条約の適用上、「公的被用者団体」とは、構成のいかんにかかわらず、公的被用者の利益を増進しかつ擁護することを目的とする団体をいう。

第 二 部 団結権の保護

第 四 条

1 公的被用者は、雇用に関する反組合的な差別待遇に対して十分な保護を受ける。
2 1にいう保護は、特に次のことを目的とする行為について適用する。
 (a) 公的被用者団体に加入せず、又は公的被用者団体から脱退することを公的被用者の雇用条件とすること。
 (b) 公的被用者団体の構成員であるという理由又は公的被用者団体の正常な活動に参加したという理由で公的被用者を解雇し、その他その者に対し不利益な取扱いをすること。

第 五 条

1 公的被用者団体は、公の機関からの完全な独立を享受する。
2 公的被用者団体は、その設立、任務遂行又は管理に関して公の機関が行う干渉に対して十分な保護を受ける。
3 特に、公的被用者団体を公の機関の支配の下に置くため、公の機関に支配される公的被用者団体の設立を促進し、又は公的被用者団体に経理上の援助その他の援助を与える行為は、本条の意味における干渉となるものとする。

第 三 部 公的被用者団体に与えられる便宜

第 六 条

1 承認された公的被用者団体の代表者が、勤務時間中及び勤務時間外にその任務を迅速かつ能率的に遂行することができるように、適当な便宜を与えられる。
2 1の便宜の供与は、当該官公署又は機関の能率的な運営を妨げるものであつてはならない。
3 1の便宜の性質及び範囲は、第七条に規定する方法に従い、又はその他の適当な方法により、決定されるものとする。

第 四 部 雇用条件の決定のための手続

第 七 条

 関係のある公の機関と公的被用者団体との間の雇用条件の交渉のための手続又は雇用条件の決定への公的被用者の代表者の参加を可能にするその他の方法の十分な発達及び利用を奨励しかつ促進するため、必要がある場合には、国内事情に適する措置をとるものとする。

第 五 部 紛争の解決

第 八 条

 雇用条件の決定に関連して生ずる紛争は、当事者間の交渉を通じて、又はあつ旋、調停及び仲裁等の関係当事者の信頼を確保するような方法で設定された独立のかつ公平な手続を通じて、国内事情に適する方法で解決が図られるものとする。

第 六 部 市民的及び政治的権利

第 九 条

 公的被用者は、その身分及びその職務の性質から生ずる義務にのみ従うことを条件として、他の労働者と同様に、結社の自由の正常な行使に不可欠な市民的及び政治的権利を有する。

第 七 部 最終規定

第 十 条

 この条約の正式の批准は、登録のため国際労働事務局長に通知する。

第 十 一 条

1 この条約は、国際労働機関の加盟国でその批准が事務局長に登録されたもののみを拘束する。
2 この条約は、二の加盟国の批准が事務局長に登録された日の後十二箇月で効力を生ずる。
3 その後は、この条約は、いずれの加盟国についても、その批准が登録された日の後十二箇月で効力を生ずる。

第 十 二 条

1 この条約を批准した加盟国は、この条約が最初に効力を生じた日から十年を経過した後は、登録のため国際労働事務局長に送付する文書によつてこの条約を廃棄することができる。その廃棄は、登録された日の後一年間は効力を生じない。
2 この条約を批准した加盟国で、1に定める十年の期間が満了した後一年以内にこの条に規定する廃棄の権利を行使しないものは、更に十年間拘束を受けるものとし、その後は、十年の期間が満了するごとに、この条に定める条件に従つてこの条約を廃棄することができる。

第 十 三 条

1 国際労働事務局長は、国際労働機関の加盟国から通知を受けたすべての批准及び廃棄の登録をすべての加盟国に通告する。
2 事務局長は、通知を受けた二番目の批准の登録を国際労働機関の加盟国に通告する際に、この条約が効力を生ずる日につき加盟国の注意を喚起する。

第 十 四 条

 国際労働事務局長は、国際連合憲章第百二条の規定による登録のため、前諸条の規定に従つて登録されたすべての批准及び廃棄の完全な明細を国際連合事務総長に通知する。

第 十 五 条

 国際労働機関の理事会は、必要と認めるときは、この条約の運用に関する報告を総会に提出するものとし、また、この条約の全部又は一部の改正に関する問題を総会の議事日程に加えることの可否を検討する。

第 十 六 条

1 総会がこの条約の全部又は一部を改正する条約を新たに採択する場合には、その改正条約に別段の規定がない限り、
 (a) 加盟国によるその改正条約の批准は、その改正条約の効力発生を条件として、第十二条の規定にかかわらず、当然にこの条約の即時の廃棄を伴う。
 (b) 加盟国による批准のためのこの条約の開放は、その改正条約が効力を生ずる日に終了する。
2 この条約は、これを批准した加盟国で1の改正条約を批准していないものについては、いかなる場合にも、その現在の形式及び内容で引き続き効力を有する。

第 十 七 条

 この条約の英文及びフランス文は、ひとしく正文とする。