1975年の人的資源開発勧告(第150号)
1975年06月23日
人的資源の開発における職業指導及び職業訓練に関する勧告(第150号)
国際労働機関の総会は、
理事会によりジュネーヴに招集されて、千九百七十五年六月四日にその第六十回会期として会合し、
雇用政策及び雇用計画の実施における職業指導及び職業訓練の重要性を考慮し、
雇用政策に直接関係のある現存の国際労働条約及び勧告、特に千九百五十八年の差別待遇(雇用及び職業)条約及び勧告並びに千九百六十四年の雇用政策条約及び勧告の規定に留意し、
千九百七十四年の国際連合教育科学文化機関第十八回総会が技術教育及び職業教育に関する一の勧告を採択したことに留意し、
国際労働機関及び国際連合教育科学文化機関が、両機関の文書が調和した目的を追求し、かつ、重複及び抵触を回避することを確保するため緊密に協力してきたこと並びに両機関がそれらの文書の効果的な実施のため引き続き緊密な協力を行うことに留意し、
前記の会期の議事日程の第六議題である人的資源の開発(職業指導及び職業訓練)に関する提案の採択を決定し、
その提案が勧告の形式をとるべきであると決定して、
次の勧告(引用に際しては、千九百七十五年の人的資源開発勧告と称することができる。)を千九百七十五年六月二十三日に採択する。
Ⅰ 一般規定
1 この勧告は、経済生活、社会生活及び文化生活のすべての分野並びに職業的技能及び職責のすべての段階における青少年及び成年者の職業指導及び職業訓練について適用する。
2(1) この勧告の適用上、「職業」という語による「指導」及び「訓練」という語の限定は、指導及び訓練が生産的で満足すべき労働生活を行い得る人的能力の確認及び開発を目的としており、かつ、各種の形態の教育とともに個人が労働条件及び社会環境を理解し並びにそれらのものに個人的に又は集団的に影響を及ぼす能力を改善することを目的としていることを意味する。
(2) (1)に含まれている定義は、指導及び訓練が提供される方法並びに技能及び職責の段階のいかんを問わず、指導、養成訓練、向上訓練及び再訓練について適用する。
3 加盟国は、この勧告を実施するに当たり、国際労働機関及び他の権限のある機関が招集する地域会議、産業別労働委員会及び専門家又はコンサルタントの会合が作成するこの勧告の規定を補足する指針を考慮に入れるべきである。
Ⅱ 政策及び計画
4(1) 加盟国は、特に公共職業安定機関を通じて雇用と緊密につながる職業指導及び職業訓練につき、総合的なかつ調整された政策及び計画を採用し及び発展させるべきである。
(2) (1)の政策及び計画は、次の事項を十分に考慮すべきである。
(a) 地域的及び全国的な雇用需要、雇用機会及び雇用問題
(b) 経済的、社会的及び文化的発展の段階及び水準
(c) 人的資源の開発の目的と他の経済的、社会的及び文化的目的との間の相互関係
(3) (1)の政策及び計画は、国内事情に適する方法によつて追求すべきである。
(4) (1)の政策及び計画は、社会の需要に考慮を払つて、すべての者が平等に、かつ、いかなる差別待遇をも受けることなく自己に最も有利に、かつ、自己の希望に従つて仕事に対する能力を開発し及び活用することを奨励し及び可能にすべきである。
(5) (1)の政策及び計画は、企業がその雇用する労働者を訓練する責務を引き受けることをも奨励すべきである。企業は、その訓練計画を企画する際に、その労働者の代表者と協力すべきであり、また、その計画が公共訓練制度の計画と調和したものであることをできる限り確保すべきである。
(6) (1)の政策及び計画は、次のことを目的とすべきである。
(a) 個人の適性及び希望に応じた生産的な雇用(自営業を含む。)への就業を確保し並びに職業間の移動を容易にすること。
(b) 作業能率を維持し又は向上させるために創造力、積極性及び自発性を促進し及び開発すること。
(c) 人を失業又はその他の技能に対する需要の欠乏から生ずる所得若しくは所得能力の喪失、及び不完全就業から保護すること。
(d) 人を就業中の過度の肉体的又は精神的緊張から保護すること。
(e) 高い水準の労働安全衛生教育を各業種又は各職種のための訓練の一環とすることにより、人を職業上の危害から保護すること。
(f) 人が経済に対するその寄与の質を改善し又はその寄与の性格を改変する自らの努力を通じて仕事に対する満足感、個人としての業績及び個性の発揮並びに生活の向上を求めることを援助すること。
(g) 作業要件の再編成にすべての関係者の参加を得て、社会的、文化的及び経済的な進歩並びに変化に対する継続的な適応を達成すること。
(h) 社会のすべての集団が開発過程及びそれから生ずる利益の分配に十分に参加することを達成すること。
5(1) 加盟国は、前記の目的を達成するため、一般教育、技術教育、職業教育、教育指導、職業指導及び職業訓練に関する弾力的かつ補足的な公開の制度(これらの活動が正規の教育制度内で行われるか正規の教育制度外で行われるかを問わない。)を確立し及び発展させるべきである。
(2) 加盟国は、特に次のことを目的とすべきである。
(a) すべての者に対し、職業指導及び職業訓練を受ける機会の均等を確保すること。
(b) 住民各層のために、経済活動のすべての部門に係る幅広い、現実的な職業指導を継続的に提供すること。
(c) 経済活動のすべての部門における生産的労働のすべての側面に係る総合的な職業訓練制度を開発すること。
(d) 訓練の各種の分野の間、各種の職業及び経済活動部門の内及びそれらの間並びに職責の各種の段階の間での移動を容易にすること。
(e) 経済又は経済活動の一部門に係る職業訓練と経済又は経済活動のその他の部門に係る職業訓練とを調整すること。
(f) 経済活動のすべての部門において、すべての種類の労働並びにすべての段階の技能及び職責に係る組織的な職業訓練の方式を確立すること。
(g) すべての労働者に対し、その作業経験を考慮に入れた段階の教育課程に再入学する実際の可能性を提供すること。
(h) 学校制度外で提供される職業指導及び職業訓練と教育指導及び学校制度との間の緊密な協力及び調整を確立すること。
(i) 労働者がその代表的な団体によつて提供される労働組合教育によつてその職業訓練を補足することを可能にする条件を確立すること。
(j) 職業指導計画及び職業訓練計画の実施に必要な研究を行い、並びに必要な行政措置及び方法の適合化を進めること。
6 職業指導及び職業訓練の政策及び計画は、
(a) 雇用促進、社会的統合、農村開発、手工業及び工業の開発、作業の方法及び組織の人間的要件への適合化並びに労働条件の改善のような社会的及び経済的開発の政策及び主要な計画と調整すべきである。
(b) 国際的な経済上及び技術上の相互作用及び協力を考慮すべきである。
(c) 現在行われている社会的及び経済的開発並びに社会的及び経済的開発の計画に関連して定期的に再検討すべきである。
(d) 国際関係の改善に寄与することを労働者に奨励する活動を促進すべきである。
(e) 技術的、科学的、経済的、社会的及び文化的問題の一層十分な理解に寄与すべきである。
(f) 労働衛生及び労働安全に関する主要な基準についての適切な訓練を提供するため、適当な下部構造を創設し及び発展させるべきである。
Ⅲ 職業指導
7(1) 加盟国は、すべての児童、青少年及び成年者が十分な情報及びできる限り広範な指導(すべての心身障害者のための適当な計画を含む。)を利用することができることを確保するため、その職業指導(継続的な雇用情報を含む。)の制度を漸進的に拡大すべきである。
(2) (1)の情報及び指導は、経済活動、社会活動及び文化活動の各種の部門並びに職責のすべての段階における職業選択、職業訓練及びこれに関連する教育機会、雇用状態及び雇用予測、昇進の見通し、労働条件、労働安全及び労働衛生並びに労働生活の他の側面を対象とすべきである。
(3) (1)の情報及び指導は、労働協約の一般的側面並びに労働法に基づくすべての関係者の権利及び義務の一般的側面に関する情報によつて補足されるべきである。この情報は、関係のある労働者団体及び使用者団体のそれぞれの機能及び任務を考慮に入れて国内法及び国内慣行に従つて提供されるべきである。
8(1) 職業指導計画は次のことを主要な目的とすべきである。
(a) まだ労働力となつていない児童及び青少年に対し、それらの者の適性、能力及び興味並びに雇用機会に照らして教育又は職業訓練の種類を選択するための基礎を提供すること。
(b) 教育計画及び職業訓練計画に参加する者がそれらの計画から最大限の利益を得ること、並びに補足的な教育若しくは職業訓練を受けるため又は職業に就き、かつ、それらの者の労働生活期間中に必要なときは継続的な教育及び訓練を受けるための準備をすることを援助すること。
(c) 新規労働力を構成する者、職業を変えようとしている者又は失業中の者が職業を選択し並びに関連のある教育及び職業訓練を受けることを援助すること。
(d) 就業者に対し、その職業上の潜在的な発展能力、作業遂行能力の水準、所得及び地位を改善する機会、教育上及び職業訓練上の要件並びにその目的のために利用し得る施設について知らせること。
(e) 経済及び経済活動の各種の部門(従来余り重視されていない部門を含む。)によつてなされる又はなされ得る一般的開発及び雇用の拡大への寄与に関する一般的な認識を促進すること。
(f) 協力機関が職業指導の一環として特定の訓練計画の有効性に関して情報を提供し及びフィード・バックを行うことを援助すること。
(2) 加盟国は、(1)の計画が職業選択の自由及び公正な昇進機会に対する権利並びに教育を受ける権利と矛盾しないことを確保すべきである。
9 加盟国は、その職業指導制度の範囲を拡大するに当たり、次のことに対して特別の注意を払うべきである。
(a) 在学中の児童及び青少年が労働の価値及び重要性を評価し、労働の世界を理解し、できる限り広い範囲の職業(それらの者に開かれた雇用及び昇進の機会を考慮するものとする。)の労働条件及び当該機会を利用するための要件を熟知することを助けること。
(b) 在学したことがないか又は中途で退学した児童及び青少年に対し、できる限り広い範囲の職業及びこれらの職業における雇用機会に関する情報並びにその雇用機会に接近し得る方法に関する指導を与えること。
(c) 雇用されている成年者(自営業に従事している者を含む。)に対し、それらの者に関係のある発展のすう勢及び目標に関する情報、特に、それらの者の活動分野に対する社会的、技術的及び経済的変化の影響に関する情報を提供すること。
(d) 失業者及び不完全就業者に対し、就業の可能性又はそれらの者の雇用状態を改善する可能性及びこれらの目的を達成するために利用し得る方法に関するすべての必要な情報及び指導を与えること。
(e) 教育、職業訓練又は雇用に関する特別な問題に直面する者に対し、社会的進歩を目的とする全般的な措置の枠(わく)内で、その問題を克服するための援助を与えること。
10(1) 集団職業指導の計画(事実についての資料の配布及び類似の職業的要求を有する者の集団のための相談)と個人相談との双方を利用し得るようにすべきである。
(2) 個人相談は、特に、職業適性、職業能力及び職業興味を確認し、利用し得る見込みのある教育、職業訓練及び雇用の機会を評価し並びに教育、職業訓練又は雇用についての進路を選択するに当たり専門的な援助を必要とする青少年及び成年者に対して提供されるべきである。
(3) 個人相談及び、適当な場合には、集団職業指導の活動は、心身障害者並びに社会的及び教育的に恵まれていない者に特に留意して、情報及び援助についての個人の特殊な必要を考慮に入れるべきである。その相談及び活動は、思慮深い選択をする能力を開発するため、情報の収集及び評価並びに意思決定の練習、並びに広範な職業の選択及び職業上の目標に関する練習を含むことができる。その相談及び活動は、総合的な関係情報に基づき自ら選択する個人の権利を常に考慮に入れるべきである。
(4) 個人相談は、必要に応じ、救済措置及び職業的適応のために有用なその他の助力に関する助言によつて補足されるべきである。
11 職業指導計画が初期の発展段階にある加盟国は、第一に、次のことを目標とすべきである。
(a) 現在の雇用予測、経済的及び社会的発展のすう勢並びに個人としての適性及び興味を十分に考慮して、一般教育及び職業教育の選択の重要性に対し青少年の注意を喚起すること。
(b) 教育、職業訓練又は職業の自由な選択に対する伝統的な制約を克服するために助力を必要とする住民層を援助すること。
(c) 緊要な職業分野において特別の能力を有する者の必要を満たすこと。
12 加盟国は、その職業指導計画において、関係のある住民各層に対し最も効果的に指導を及ぼし得るすべての利用可能な施設及び伝達手段を十分に利用すべきである。
13(1) 実行可能な場合には、能力及び適性(生理学的特性及び心理学的特性の双方を含む。)の適切な検査並びに他の試験方法は、個々の場合の必要に応じ職業指導において利用し得るようにすべきである。
(2) (1)の検査及び他の試験方法は、指導を求める者の同意を得た場合に限り、個人的特性を探るその他の方法とともに利用されるべきである。それらは、専門家によつてのみ行われるべきである。
(3) (1)の検査及び他の試験方法の適用によつて得られた結果は、当該検査又は試験を受けた者の明示の同意を得ることなく第三者に通報されるべきではない。
14(1) 検査及び他の試験方法は、職業指導において用いられる場合には関係のある年齢層、住民層及び文化形態に応じて標準化されるべきであり、また、意図される特定の目的のために有効であるべきである。
(2) 諸条件及び生活様式の変化を考慮に入れるため、(1)の検査及び他の試験方法を定期的に開発し及び再標準化するための継続的な計画が存在すべきである。
Ⅳ 職業訓練
A 一般規定
15(1) 加盟国は、経済及び経済活動のすべての部門並びに技能及び職責のすべての段階において、青少年及び成年者の双方の生涯にわたる職業訓練の必要を満たすため、その職業訓練制度を漸進的に拡大し、適応させ及び調和させるべきである。
(2) その場合において、加盟国は、次のことに対し特に注意を払うべきである。
(a) 一層高い段階の技能及び職責に到達する希望及び能力を有する者に対し、可能な場合にはいつでも、開かれる昇進の機会を与えること。
(b) 職業訓練が多分に非組織的であり、かつ、旧式化しつつある技術及び作業方法が広く用いられている経済及び経済活動の部門における職業訓練を改善すること。
(c) 過去において十分な注意が払われていない住民、特に経済的又は社会的に恵まれていない集団に対し、職業訓練を提供すること。
(d) 一般教育及び職業訓練、理論及び実技の指導並びに養成訓練及び向上訓練を効果的に調整すること。
(3) 職業訓練計画は、完全雇用及び各人の能力の開発を促進するように考案されるべきである。
16 個々の職業及び経済活動部門に関する職業訓練計画は、適当な場合には、次のいずれの事項についても十分な機会を提供する段階的方式により組織されるべきである。
(a) 従前の作業経験をほとんど又は全く有しない青少年及び成年者のための養成訓練
(b) 向上訓練であつて、就業中の者が、
(i) その作業遂行能力を改善すること、その従事し得る活動の範囲を広げること、より高い水準の作業に移ること又は昇進することを可能にするもの
(ii) 当該職業の発展に照らし、その知識及び技能を最新のものにすることを可能にするもの
(c) 成年者が異なつた職業分野における新しい資格を取得することを可能にするための再訓練
(d) 訓練を補足するために必要な追加教育
(e) 特に従前の作業経験をほとんど有しない青少年及び成年者のための職場における安全及び衛生に関する訓練
(f) 雇用上の権利及び義務(社会保障制度上のものを含む。)に関する情報の取得
17(1) 継続的な職業訓練の計画を提供するため、必要な場合には公的資金により、現存の及び潜在的な職業訓練能力(企業の訓練能力を含む。)を十分に開発し及び利用するためのあらゆる努力がなされるべきである。
(2) 訓練の提供に当たり、適当な場合には、大衆伝達手段、移動教育班、通信講座及び他の独学のための計画を利用すべきである。
18 作業経験をほとんど又は全く有しない青少年のための養成訓練計画は、特に次のものを含むべきである。
(a) 実技訓練及び関連理論の指導と調整された一般教育
(b) 関連のある若干の職業に共通な知識及び技能に関し、教育施設若しくは職業訓練施設により又は企業において(職場で又は職場外で)与えることができる基礎訓練
(c) 既に存在する又は創出される雇用機会のために直接役立つ知識及び技能の専門化
(d) 実際の労働事情に関する監督された手ほどき
19(1) 養成訓練の全日制の課程は、可能な限り、訓練施設における理論の指導が実際の労働事情に即応することを確保するため、そのような理論の指導と企業における職場訓練との間に適当な同時性を持たせるべきである。同様に、職場外での実技訓練は、可能な限り、実際の労働事情に即応すべきである。
(2) 訓練施設における課程の一環としての職場訓練は、次のことを目的として、関係のある企業、施設及び労働者代表が共同して企画すべきである。
(a) 訓練生が職場外で習得したことを現実の労働条件の下で適用することを可能にすること。
(b) 企業外においては習得し得ない職業の側面について訓練を提供すること。
(c) 作業経験をほとんど又は全く有しない青少年を、それらの者が作業中に遭遇しそうな要件及び条件並びに作業集団内での自らの責任について習熟させること。
20 19の全日制の課程の終了後初めて就業する者は、次のものを受けるべきである。
(a) 企業の性格及び目的並びに当該企業において作業が遂行される条件についてそれらの者を習熟させるための誘導
(b) 必要な理論講座を伴う組織的かつ補足的な職場訓練
(c) 可能な場合には、訓練価値のある各種の活動及び職務に関する実習(職場への適応を含む。)
21 権限のある機関は、国の計画及び国内法令に従つて並びに使用者団体及び労働者団体と協議の上、雇用に関連する全国的又は地域的な向上訓練計画を策定すべきである。
22(1) 企業は、労働者代表、関係者及び労働者の作業に関して責任を負う者と協議して技能及び職責のすべての段階における被用者のための向上訓練計画を策定し及び定期的に再検討すべきである。この目的のため、合同委員会を設置することができる。
(2) (1)の計画は、
(a) 一層高い段階の技能及び職責への昇進のための資格を得る機会を与えるべきである。
(b) 関係者のための技術的その他の訓練及び作業経験を含むべきである。
(c) 関係者の能力及び興味並びに作業の要件を考慮すべきである。
(3) 他の者の作業に対して責任を負う者は、向上訓練計画の成功のため、効果的な寄与をする義務を負うべきである。
(4) 向上訓練計画の策定、実施及び再検討に関する組織上の責任は、明確に定められるべきであり、可能な限り、特別班又はそのような責任を負うためにふさわしい段階の作業に従事する一又は二以上の者にゆだねられるべきである。
23(1) 企業内で訓練を受ける労働者は、
(a) 十分な手当又は報酬を受けるべきである。
(b) 当該企業の常用労働者について適用される社会保障措置の適用を受けるべきである。
(2) 職場外で訓練を受ける労働者には、千九百七十四年の有給教育休暇条約及び勧告の規定に従つて教育休暇が付与されるべきである。
B 職業訓練基準及び指針
24(1) 認定された職業資格を取得するための養成訓練及び向上訓練は、権限のある機関が関係のある使用者団体及び労働者団体と協議した上設定し又は承認した一般的な基準によつてできる限り規制されるべきである。
(2) (1)の基準は、次の事項を明示すべきである。
(a) 各種の職業訓練課程の志望者について要求される技能及び知識の水準
(b) 当該職業の主要な活動又は機能ごとに訓練の各段階において到達すべき作業遂行能力の水準、並びに、可能な場合には、訓練の内容及び期間並びに前記の作業遂行能力の水準に到達するために必要な施設及び設備
(c) 正規の教育制度、職業訓練施設、企業の職場訓練又は他の方法によつて提供されるべき職業訓練の部分
(d) 職業訓練計画において要求され得る作業経験の性格及び期間
(e) 多目的な訓練及び職業間の移動の原則に基づく訓練内容
(f) 適用されるべき方法論(訓練の目的及び訓練生の特性を考慮に入れるものとする。)
(g) 試験又は成績を評価するためのその他の方法
(h) 職業訓練を修了した際に発行されるべき証明書
25(1) 作業が行われる条件及び職業が内包する活動が経済若しくは経済活動の部門又は企業規模の相違によつて著しく異なる場合には、そのような期間中、同一の職業について二以上の職業訓練基準を適用することができる。
(2) 同一の職業について適用される基準は、職業間の移動を促進するため、既に取得された資格及び当該職業における作業経験を十分に認識して調整すべきである。
26(1) 24に規定する基準が妥当でないことが認められた職業並びに技能及び知識の段階並びに職責の段階については、職業訓練の望ましい組織及び内容を明示する指針が設定されるべきである。
(2) (1)の指針は、特に次の事項について必要であろう。
(a) 将来の監督者、専門家及び管理者並びに既にそれらの職務に就いている者に対する訓練
(b) 訓練担当者並びに職業訓練の管理者、監督者及び指導員に対する訓練
(c) 多数の自営業者又は小規模企業が存在する経済活動部門に係る職業訓練
(d) 必要かつ組織的な職業訓練のための措置がほとんど又は全く存在していない経済活動部門並びに旧式になりつつある技術及び作業方法を用いている企業に係る職業訓練の改善
(3) (1)の指針は、教育施設及び職業訓練施設において全日制の養成訓練課程を修了したばかりの者の雇用に係る最初の訓練についても適当であろう。
27 職業訓練に関する基準及び指針は、使用者団体及び労働者団体の参加を得て定期的に評価し及び再検討し並びに変化する要請と調整すべきである。再検討の時期は、当該職業における変化の周期に応じて定めるべきである。
28(1) 加盟国は、漸進的に基準及び指針を設定すべきであり、又は、事情に応じ、すべての主要な職業並びに技能及び職責のすべての段階について適用されるまでそれらの適用範囲を漸進的に拡大すべきである。
(2) 社会的及び経済的進歩にとつて肝要な職業並びに技能及び職責の段階に係る職業訓練を優先させるべきである。
Ⅴ 管理者及び自営業者に対する訓練
29(1) 管理及び監督の職務に係る訓練は、他の者の作業に関して責任を負う者、管理に参画する専門職職員並びに管理及び監督の職務に就く準備をしている者に対して提供されるべきである。
(2) 権限のある機関は、国の計画及び国内法令に従つて、かつ、使用者団体及び労働者団体と協議の上、管理及び監督の職務に係る訓練並びに自営業者に対する訓練の計画を策定すべきである。
30(1) 管理及び監督の職務に係る訓練の計画の内容は、訓練生の現在及び将来における職責の段階を考慮に入れるべきである。
(2) (1)の計画は、特に次のことを企図すべきである。
(a) 意思決定の経済的及び社会的な側面の十分な認識及び理解を促進すること。
(b) 人間の尊厳を尊重しつつ他の者を指導し及び誘導する態度及び能力並びに健全な労使関係を開発する態度及び能力を育成すること。
(c) 自発性、変化に対する積極的な態度及び変化が他の者に及ぼす影響を評価する能力を育成すること。
(d) 新たな職責を引き受ける能力を開発すること。
(e) 企業の職員に対する教育、職業指導及び職業訓練の重要性の認識を促進すること。
(f) 労働者の職業生活における諸条件の認識、労働者の福祉に対する関心並びに労働法及び社会保障制度に関する認識を促進すること。
(g) 自己啓発の努力の価値に対する理解を促進すること。
(h) 変化する要請に応じて向上訓練のための基礎を提供すること。
31(1) 自営業に関する職業訓練計画は、労働者の社会的事情を考慮に入れるべきであり、また、
(a) 当該技術分野の訓練に加えて、業務管理及び他の者の訓練の実技及び基本原則に関する訓練を含むべきである。
(b) 自発性を発揮し並びに危険を評価し及び受け入れる必要性の認識を育成すべきである。
(2) (1)の計画は、補習訓練の定期的な機会を与えるべきであり、また、当該技術分野における新しい発展、財源及び、必要な場合には、最も効率的な販売方法に関する継続的な情報によつて補強されるべきである。
Ⅵ 経済活動の特定の分野又は部門に係る計画
32(1) 総合的な改善措置又は主要な構造的変化が必要とされる経済活動の特定の分野又は部門のため、職業指導及び職業訓練の適当な計画が策定されるべきである。
(2) (1)の計画は、国の職業指導及び職業訓練の計画全体の一部を成すべきであり、また、当該経済活動分野又は部門を開発するための他の措置と調整されるべきである。
33 32(1)の計画が必要とされる経済活動分野又は部門のうちで、農村地域、旧式になりつつある技術及び作業方法を用いている経済活動部門、斜陽化しつつある又は活動を転換しつつある産業及び企業並びに企画され又は新しく創設された産業に対し、特別の注意を払うことができる。
A 農村地域
34(1) 農村地域に係る計画は、職業指導及び職業訓練に関して農村及び都市の住民の機会の完全な均等を達成することを目的とすべきである。
(2) (1)の計画は、特に農村地域と都市地域との間における人口移動の形態及び傾向を考慮して、国の開発政策の枠(わく)内で立案すべきである。
35(1) 農村地域に係る計画は、次の必要にこたえるため、適当な対策を講ずべきである。
(a) 農業労働者(農園労働者を含む。)、小規模自作農、小作農、分益農その他農業及び関連活動に従事する者の職業指導及び職業訓練の特別の必要であつて、特に当該地域の農地改革並びに供給、生産及び販売方式におけるその他の主要な変化に関連するもの
(b) 非農業的職業に従事する者の職業指導及び職業訓練の特別の必要(教育、通信、輸送その他のサービス及び工芸に特に重点を置くものとする。)
(2) (1)の計画は、当該農業活動の種類、その機械化、専門化及び近代化の程度並びにそれが行われる規模による必要の相違を考慮に入れるべきである。
(3) 農村地域に係る計画は、協同組合の組織化及び企業の経営に関する訓練を含むべきである。
36(1) 農村地域に係る職業指導及び職業訓練の施設及び計画がまだほとんど開発されていない国は、最初に、次のことに全力を注ぐべきである。
(a) 農村地域の青少年及び成年者に対し、改善又は主要な構造的変化を農村地域にもたらすという目的及びそのための措置並びにそのような措置のそれらの者の労働及び生活にとつての意義に関する情報を提供すること。
(b) 就業中の青少年に対し、職場における非公式な学習を補足するため、事情に応じて全日制又は定時制で組織的な教育及び職業訓練を与えること。
(c) 成年者に対し、現存の職業訓練、普及活動又は他の助言サービスを通じて向上訓練又は再訓練の短期の計画を提供すること。
(d) 農村地域において社会的及び経済的指導者を育成し、かつ、開発活動への一層広い住民層の参加を奨励すること。
(e) 自己啓発の意欲を増進させること。
(2) (1)の国は、漸進的に次のことを追求するよう、農村地域に係る優先順位を定期的に再検討すべきである。
(a) 農村の住民全体に対する総合的な職業情報及び職業指導サービスを開発すること。
(b) 青少年に対する組織的な養成訓練を導入し又は普及させること。
(c) 成年者の必要を満たすため、継続的又は定期的な向上訓練の総合的な計画を導入すること。
37 財政的理由により又は訓練された職員の不足のため、農村の住民全体に対して適切なサービスを提供し得ない国は、次のことを考慮することができる。
(a) 他の地域における後の活動のために重要な教訓を学びとることができる地理的に限られた地域に対し、一時的に全力を注ぐこと。
(b) 土地を所有しない労働者及び農村地域における経済的に弱い他の労働者の集団であつて経済的及び社会的正義を最も必要としているものを優先させること。
B 旧式化しつつある技術及び作業方法を用いている経済活動部門
38(1) 旧式化しつつある技術及び作業方法が広範囲に用いられている経済活動部門及び職業に係る計画は、適当な場合には、農村地域に係る計画と同様の方針の下に発展させるべきである。
(2) (1)の計画は、(1)の経済活動部門又は職業において就業する者又は就業しようとする者に対し、方法及び生産物の近代化に参加し又は寄与し並びに導入された変化から利益を得ることを可能にする職業指導及び職業訓練を提供することを目的とすべきである。
39 38(1)の経済活動部門及び職業における自営業者及び小規模事業主に対する普及活動及び他の助言サービスは、それらの者の作業の革新の可能性及び関連のある職業訓練その他のサービスに関する情報をそれらの者に提供すべきである。
40 38(1)の経済活動部門及び職業に係る職業訓練を企画するに当たつては、次の事項に特に考慮が払われるべきである。
(a) 企業活動の範囲を拡大し又は企業活動を専門化する必要性及び機会並びにそのような拡大又は専門化の職業訓練上の意味
(b) 職業訓練慣行を改善する可能性、特に、継続的な訓練の機会を提供する可能性
(c) 企業の管理者に対する訓練サービスと作業遂行能力の水準を引き上げるための他の措置とを組み合わせる可能性
(d) 新しい有償の雇用機会の創出
41 38(1)の経済活動部門及び職業に係る職業訓練は、
(a) 最初は、作業知識及び技能を伝統的に習得するための学習方式を補足するものとして立案することができる。
(b) 養成訓練を受ける青少年並びに38(1)の経済活動部門及び職業において既に就業している者(小規模事業主及び青少年に対し養成訓練を行つているその他の者を含む。)の双方の必要を考慮すべきである。
C 斜陽化しつつある又は活動を転換しつつある産業及び企業
42 産業又は企業が斜陽化し始める場合には、影響を受ける労働者は、技能の転換を促進し、かつ、新しい職に就く機会を提供する職業指導及び職業訓練を十分早期に受けるべきである。
43 産業又は企業がそれらの生産物及び生産方法又はそれらが提供するサービスを変更する場合には、影響を受ける労働者は、当該産業又は企業と協力して組織された訓練であつて新しい仕事に適応することを可能にするものを十分早期に受けるべきである。
D 新規産業
44 新規産業の創設に関連して職業指導及び職業訓練を企画するに当たつては、次の事項を考慮に入れるべきである。
(a) 新規工場の建設期間中及び稼動後の労働者、専門家、中間管理者及び管理者の必要性並びに新規工場の建設期間中に雇用された者をその稼動後に他の職へ配置するために再訓練する必要
(b) 自営の労働者及び事業主が新規産業のために下請けをする必要
(c) 地域の経済情勢の変化によつて可能となり又は必要となる新しい活動に関する情報及びそのような活動に係る職業訓練を提供する必要
(d) 地域内の労働需要の構造の変化によつて旧式化する知識及び技能を有する者に対し、職業指導及び再訓練を提供する必要
(e) 新規産業によつて生ずる競争から影響を被る自営の労働者及び事業主に対し、新しい機会を提供する必要
Ⅶ 特定の住民層
45(1) 特定の住民層が雇用における機会の均等を享受し、社会及び経済へ一層よく統合されるよう、効果的かつ適当な職業指導及び職業訓練をそれらの者に対して提供するための措置がとられるべきである。
(2) 次の者のような集団に特に注意が払われるべきである。
(a) 就学したことのない者又は中途で退学した者
(b) 中高年齢労働者
(c) 言語上等の少数集団の構成員
(d) 心身障害者
A 就学したことのない者又は中途で退学した者
46 就学したことのないすべての者又は近代化しつつある社会及び経済への統合のために十分な一般教育を受ける前に退学したすべての者に対し、雇用市場における機会を十分に考慮した職業指導、一般教育及び基礎的な技能に関する訓練を提供するための措置がとられるべきである。
47 就学したことのない者又は十分な読み書き及び計算の能力を習得する前に退学した者に対する職業指導は、特別の教育措置及び職業訓練措置並びにそれらの者が利用し得ることが期待され得る他の教育、訓練及び雇用の機会を考慮してできる限り十分に考案されるべきである。
48(1) 47に規定する者に基礎的な技能及び一般教育を提供するための措置は、次のものを含むことができる。
(a) 家族農場若しくは家族企業又は経済の他の分野において就業している児童の作業に関係のある知識及び技能に関する 定時制の指導並びにこの指導に関連した一般教育であつて、そのような児童に対するもの
(b) 青少年及び、適当な場合には、成年者が組織的な職業訓練を受けることを促進し又はそれらの者の雇用及び昇進の機会を拡大するための適当な基礎的な技能及び関連 のある一般教育に関する課程
(c) 生産的な労働と組み合わせ、必要に応じ一般教育によつて補足した青少年失業者に対する特別な職業訓練のための措置であつて、有益で有償の経済活動のために必要な教育、技能及び労働の習慣をそれらの者に与えることを目的とするもの
(d) 特定の職業又は特定の種類の作業において及び開発への積極的な参加のために必要な知識及び技能に関する職業訓練と組み合わせた読み書き及び計算の能力に関する指導であつて、特に成年者を対象とするもの。このような指導は、文盲の根絶のための一般的な措置と調整されるべきである。
(e) 就業中の青少年及び成年者がその作業遂行能力の水準を引き上げ又はその昇進の機会を改善することを目的とする教育及び技術の向上のための特別課程
(f) 正規の教育をほとんど又は全く受けていない者の雇用のために緊急に必要とされる技能に関する特別課程
(2) この48に規定する措置のため、特別の職業訓練方法が開発され及び適用されるべきである。
49 48に規定する措置によつて得られる修業証書は、正規の教育制度において得られる修業証書及び他の方法によつて訓練された者によつて得られる修業証書と調整されるべきである。
B 中高年齢労働者
50(1) 就業中の中高年齢労働者が遭遇する困難に対処するための措置は、適当な場合には、次の事項を含むことができる。
(a) 心身の老衰化を促進するおそれがある労働条件をできる限り確認し及び変更すること。
(b) 中高年齢労働者に対し、それらの者が必要とする職業指導及び職業訓練であつて、次の事項の必要性を特に考慮したものを提供すること。
(i) 適当なときに関連情報を中高年齢労働者に提供することにより、それらの者の知識及び技能を補完すること。
(ii) 同一の職業に就こうとしている又は既に就いている青少年であつてより高度の教育及び訓練を受けたものの一般教育及び職業資格の水準と同等になるよう、成年者職業訓練の専門家を利用することにより中高年齢労働者の一般教育及び職業資格の水準を向上させること。
(iii) 向上訓練のために利用し得る施設につき適当なときに中高年齢労働者に知らせること並びに、適当なときに、すなわち、新しい作業技術及び作業方法を導入する前に、そのような訓練を行うこと。
(iv) 適当な場合には、できる限り勤労所得の喪失を伴うことなく中高年齢労働者に対し自己の職業又は他の職業における別の職であつて自己の才能及び経験を利用することができるものを提供すること。
(v) 中高年齢労働者が非現実的な年齢制限により職業訓練から除外されないことを確保すること。
(vi) 中高年齢労働者の必要に適合した職業訓練方法を開発すること。
(vii) 中高年齢労働者の特別の必要に適合した向上訓練を行うことができる技術上及び教育上の資格を有する指導員の提供のために必要なすべての措置をとること。
(c) 中高年齢労働者に対し、その問題を克服することを助ける職業指導及び職業訓練の施設又は配置転換の機会を利用するように奨励すること。
(d) 中高年齢労働者がしなければならない雇用における適応の努力及びそのような適応に当たつてそれらの者を援助することが望ましいことにつき、一般大衆、特に、職業指導又は職業訓練を担当する職員、職業安定機関及び他の関係のある社会サービスにおける職員、使用者及び労働者を教育すること。
(2) 中高年齢労働者の特別の必要に適合した作業方法、工具及び設備を開発し、かつ、そのような工具及び設備を利用するために必要な訓練を提供するための措置も、できる限りとられるべきである。
C 言語上等の少数集団
51 言語上等の少数集団の構成員は、雇用の状況、すべての関係者の権利及び義務並びにそれらの集団の構成員の特定の問題を解決するために利用し得る援助についてそれらの者の言語若しくはそれらの者が熟知している言語により又は、必要な場合には、通訳を通じて情報を提供する職業指導を利用する機会を有すべきである。
52 言語上等の少数集団に対し、特別の職業訓練計画が必要に応じて提供されるべきである。言語上の少数集団の場合には、そのような訓練は、可能なときは、そのような集団に固有の言語によつて行われるべきであり、適当な場合には、語学教育を含むべきである。
D 心身障害者
53(1) 心身障害者は、一般住民に提供される職業指導及び職業訓練の計画に参加することによつて利益を得ることができる場合にはいつでも、そのような計画に参加する機会を有すべきである。
(2) 心身障害の程度が重いこと若しくは心身障害の性質のため又は心身障害者の特定の集団の特別の必要のために(1)の計画への参加が望ましくない場合には、特別に調整された計画が提供されるべきである。
(3) 心身障害者がその必要に適した職業に就くことを可能にする職業指導及び職業訓練を提供することの必要性、それらの者のうちの若干の者にとつて必要な雇用における適応並びにそれらの者の雇用において特別の援助を与えることが望ましいことにつき、一般大衆、使用者及び労働者並びに医療職員、準医療職員及び社会事業家を教育するため、あらゆる努力がなされるべきである。
(4) 通常の労働環境の下での生産的な生活への心身障害者の統合又は再統合をできる限り確保するための措置がとられるべきである。
(5) 千九百五十五年の職業更生(身体障害者)勧告を考慮に入れるべきである。
Ⅷ 訓練及び雇用における女子及び男子の機会の均等の促進
54(1) 雇用及び社会全体における女子及び男子の機会の均等を促進するための措置がとられるべきである。
(2) (1)の措置は、女子の雇用状態を改善するために政府によつてとられるすべての経済的、社会的及び文化的措置の不可分の一部を成すべきであり、また、できる限り、次の事項を含むべきである。
(a) 一般大衆、特に、両親、教員、職業指導又は職業訓練を担当する職員、職業安定機関及び他の社会サービスにおける職員並びに使用者及び労働者に対し、女子及び男子が社会及び経済において対等な役割を果たすことを奨励する必要並びに家庭及び職業生活における女子及び男子の役割に関する伝統的な態度を変える必要について教育すること。
(b) 年少及び成年の女子に対し、年少及び成年の男子に対するものと同様の範囲の教育、職業訓練及び雇用の機会に関する職業指導を提供し、それらの者に対してそのような機会を十分に利用することを奨励し並びにそれらの者がそのような機会を十分に利用するために必要な条件を創り出すこと。
(c) 国際労働条約及び勧告の規定に従うことを条件として、年少及び成年の女子がすべての種類の教育並びにすべての職種(伝統的に年少及び成年の男子のみが就業する機会を有した職業を含む。)に係る職業訓練を受ける機会の均等を促進すること。
(d) 年少及び成年の女子の自己啓発並びに熟練職種及び責任のある地位へのそれらの者の昇進を確保するための向上訓練を促進すること、並びに同等の教育及び資格を有する男子労働者に対して提供される機会であつてその作業経験を広げるものと同様の機会をそれらの者に提供することを使用者に奨励すること。
(e) 家庭責任を持つ年少及び成年の女子が通常の職業訓練を利用する機会を有するよう、できる限り、保育所及び各種の年齢の児童のための他の施設を提供すること並びに、例えば、定時制課程若しくは通信教育課程、段階方式の職業訓練計画又は大衆伝達手段を利用する計画の形で特別の措置をとること。
(f) 初めて就業することを希望し又は不就業の期間の経過後再び就業することを希望する女子であつて通常の就業の年齢を超えたものに対し、職業訓練計画を提供すること。
55 類似の問題を持つている男子は、54(2) (e)及び(f)に規定する職業訓練措置及び計画と類似の特別の職業訓練措置及び計画を利用する機会を有すべきである。
56 訓練及び雇用における女子及び男子の機会の均等を促進するための措置を実施するに当たつては、千九百六十四年の雇用政策条約及び勧告に考慮が払われるべきである。
Ⅸ 移民労働者
57 移民労働者が雇用における機会の均等を享受するよう、効果的な職業指導及び職業訓練が移民労働者に対して提供されるべきである。
58 移民労働者に対する職業指導及び職業訓練は、移民労働者が受入国の言語についてわずかの知識のみを持つていることがあることを考慮に入れるべきである。51及び52の規定は、移民労働者について適用すべきである。
59 移民労働者の職業指導及び職業訓練は、次の事項を考慮に入れるべきである。
(a) 受入国の必要
(b) 出身国の経済への移民労働者の再統合の可能性
60 移民労働者に対する職業指導及び職業訓練については、そのような労働者に関係のある国際労働条約及び勧告の関係規定に考慮を払うべきである。また、それらの問題は、出身国と受入国との間の協定の主題とすべきである。
Ⅹ 職業指導及び職業訓練の活動を担当する職員の訓練
61 職員の訓練に関する措置は、職業指導又は職業訓練を企画し、組織化し、管理し、開発し、監督し又は行うことを常勤又は非常勤で担当するすべての者を対象とすべきである。
62(1) 職業指導を行う者は、職業指導(個人相談を含む。)に関する訓練を受けるほか、労働の世界一般、多数の職業における技能及び職責のすべての段階における就業者の労働条件及び職務とともにそれらの職業における雇用及び昇進の機会並びにそのような就業者が利用し得る訓練課程及び訓練施設についても習熟すべきである。職業指導を行う者は、労働協約の一般的側面並びに労働法に基づく権利及び義務の一般的側面にも通じているべきである。
(2) 職業指導を行う者の訓練は、適当な場合には、各種の集団の生理学的、心理学的及び社会学的な特性の研究並びに専門的な指導方法の研究を含むべきである。
63(1) 職業訓練を行う者は、総合的な理論的及び実用的知識並びに関係のある技術分野又は職務に関するかなりの作業経験を有すべきであり、また、教育施設及び訓練施設において技術訓練及び教授法の訓練を受けた者であるべきである。
(2) (1)の職業訓練を行う者の訓練は、適当な場合には、訓練生の各種の集団の各種の特性及び態度の研究並びに専門的な訓練方法の研究を含むべきである。
64(1) 経済活動の特定の部門に係る職業訓練を行う者は、当該経済活動部門の社会的、経済的及び技術的特性について習熟すべきである。
(2) 例えば、農村開発活動に従事する者は、その専門に関する技術教育、職業教育及び職業訓練のほか、次の分野に関する訓練を受けるべきである。
(a) 農業、林業その他の農村活動の経済
(b) 農場及び森林経営の方法及び技術
(c) 農村社会学及び農村機関
(d) 大衆伝達及び普及の訓練技術
(e) 協同組合が存在する場合には、そのような組合の活動
65 特定の住民層の職業指導及び職業訓練を行う者は、その住民層の特別の社会問題及び経済問題について習熟すべきである。
66(1) 職業指導又は職業訓練の計画の企画、組織化、管理又は監督の責任を負う者(職業指導又は職業訓練の施設又は事業の長及び管理者、企業の訓練所長及び訓練担当者並びに職業指導コンサルタント及び職業訓練コンサルタントを含む。)は、それぞれ職業指導又は職業訓練を行つた経験を有すべきである。
(2) 職業訓練計画に関して(1)の責任を負う者は、可能な場合にはいつでも、職業訓練に関する経験のほか、企業内における作業経験を有すべきである。
67 職業指導及び職業訓練の活動に従事するすべての者は、その活動の性質に関する社会的、経済的、技術的及び心理的側面についての知識を維持し及び最新のものにする機会並びにその仕事に適用し得る新しい方法及び技術を習得する機会をしばしば与えられるべきである。
ⅩⅠ 調査
68 加盟国は、次のことを目的とする調査計画及び実験計画のための措置をとるべきである。
(a) 特定の経済活動部門及び住民層に係る職業指導及び職業訓練の開発に関し、優先順位を定め、かつ、戦略を策定するための基準の決定
(b) 各種の経済活動部門及び職業における雇用機会の決定及び予測
(c) 職業指導及び職業訓練の心理学的、社会学的及び教育学的側面の知識の増大
(d) 職業指導及び職業訓練の制度の個々の構成要素の内部的機能及び外部に対する効果の評価
(e) 職業指導及び職業訓練を提供する各種の方式及び方法の直接的及び間接的な費用及び利点の決定
(f) 関係のある住民のため、才能の確認、適性及び興味の評価並びに職業訓練を通じて到達した知識及び技能の水準の評価のための心理学的検査及び他の方法を改善すること。
(g) 職業及びその要件に関する利用し得る情報の増大
ⅩⅡ 管理面及び代表的な団体
69(1) 一般教育、職業指導、技術教育、職業教育、職業訓練、人的資源開発を担当する職員の訓練及び経営者訓練に関係のある公の機関及び団体、雇用政策及び他の社会経済開発政策の企画及び実施に関係のある公の機関及び団体、並びに各種の経済活動部門及び職業並びに関係のある各種の住民層を代表する団体は、政策の策定並びに職業指導及び職業訓練のための計画の企画及び実施に協力すべきである。
(2) 使用者団体及び労働者団体の代表者は、公営の訓練施設を管理し及びその運営を監督する責任を負う機関の構成員とすべきである。そのような機関が存在しない場合には、使用者団体及び労働者団体の代表者は、他の方法によりそのような施設の設置、管理及び監督に参加すべきである。
70 代表的な団体は、政策の策定並びに計画の企画及び実施に参加するほか、国内法令に従うことを条件として、かつ、国の計画の枠(わく)内で、
(a) 当該団体の構成員に対し、次のことを奨励し及び援助すべきである。
(i) 職業指導及び職業訓練の機会及び施設を提供すること。
(ii) そのような機会及び施設の提供を支持すること。
(iii) そのような機会及び施設を十分に利用すること。
(b) 必要な場合には、他の団体、他の事業又は他の者の活動を補足する職業指導及び職業訓練を提供すべきであり、また、そのような活動を促進する情報を提供すべきである。
(c) 調査に参加すべきである。
71 人的資源の開発に関係のあるすべての者のそれぞれの役割及び責任は、明確に定義されるべきである。
72 職業指導及び職業訓練の計画の実施に当たつては、次のことを目的とする措置がとられるべきである。
(a) 関係のある団体、事業、施設及び企業に対し、計画の実施に伴う社会的、技術的及び方法論的側面について助言すること。
(b) 職業指導及び職業訓練の組織化に関する調査、基準及び指針並びに適当な技術及び方法に関する視聴覚教具及び情報のような補助的サービス及び施設を提供すること。
(c) 公的に管理される試験を組織すること又は職業訓練基準の対象となる職業について達成した成績を評価する他の方法を利用すること。
(d) 職員の訓練を行うこと。
(e) 計画の企画及び実施に責任を負う者又は団体に対し、調査の結果及び他の経験を利用し得るようにすること。
(f) 計画の実施のための十分な財政的援助を行うこと。
ⅩⅢ 定期的再検討
73 加盟国は、次のことを目的として、その職業指導及び職業訓練の計画を定期的に再検討すべきである。
(a) 職員、施設及び手段の最善の利用を達成すること。
(b) 各種の経済活動部門における条件及び要件の変化、特定の住民層の必要並びに関連知識の進歩に照らし、職業指導及び職業訓練の組織、内容及び方法を調整すること。
(c) 4から6までに規定する目的を達成するための国の政策が効果的であるために必要な他の措置を決定すること。
ⅩⅣ 国際協力
74 加盟国は、望ましい場合には地域的及び国際的な政府機関及び非政府機関並びに国内の非政府団体の参加を得て、職業指導及び職業訓練の計画の企画、策定及び実施に当たつて相互に最大限に協力すべきである。
75 74の協力は、次の事項を含むことができる。
(a) 74の計画の企画、策定又は実施につき、他の国に対し、二国間又は多数国間で援助を提供すること。
(b) 計画の企画及び実施の効率及び効果を改善するため、共同の調査及び実験を組織すること。
(c) 職業指導及び職業訓練に関係のある者が自国では習得し得ない知識、技能及び経験を習得することができるようにするため、施設を利用し得るようにし又は共同の施設を設立すること。
(d) 専門家会議、セミナー、研究班又は出版物の交換により、職業指導及び職業訓練に関する情報(調査計画及び実験計画の成果を含む。)を組織的に交換すること。
(e) 職業間の移動及び外国で訓練を受ける機会を促進するため、一群の国の間で同一職業に係る職業訓練基準を漸進的に調和させること。
(f) 要件の類似している又は職業訓練水準及び職業指導慣行を調和させようとしている一群の国の間又は一の地域内で使用されるため、職業指導及び職業訓練に関する基礎資料及び参考資料(課程表及び職務解説を含む。)を作成し及び配布すること。
76 加盟国は、計画の開発及び方法論的調査に関する経験の交換及び協力を促進するため、一の地域又は一群の国のためのセンターを設立し又はその共同設立若しくは共同運営に寄与することを考慮すべきである。
ⅩⅤ 従来の勧告に対する効果
77(1) この勧告は、千九百四十九年の職業指導勧告、千九百五十六年の職業訓練(農業)勧告及び千九百六十二年の職業訓練勧告に代わるものとする。
(2) 千九百五十五年の職業更生(身体障害者)勧告、千九百六十六年の職業訓練(漁船員)勧告、千九百七十年の青少年特別計画勧告及び千九百七十年の職業訓練(船員)勧告は、これらの勧告の規定の適用を受ける種類の者について適用する。