1967年の障害、老齢及び遺族給付勧告(第131号)

1967年06月29日

障害、老齢及び遺族給付に関する勧告(第131号)

 国際労働機関の総会は、
 理事会によりジュネーヴに招集されて、千九百六十七年六月七日にその第五十一回会期として会合し、
 この会期の議事日程の第四議題である千九百三十三年の老齢保険(工業等)条約、千九百三十三年の老齢保険(農業)条約、千九百三十三年の廃疾保険(工業等)条約、千九百三十三年の廃疾保険(農業)条約、千九百三十三年の遺族保険(工業等)条約及び千九百三十三年の遺族保険(農業)条約の改正に関する提案の採択を決定し、
 この提案が千九百六十七年の障害、老齢及び遺族給付条約を補足する勧告の形式をとるべきであることを決定したので、
 次の勧告(引用に際しては、千九百六十七年の障害、老齢及び遺族給付勧告と称することができる。)を千九百六十七年六月二十九日に採択する。

Ⅰ 一般規定

1 この勧告において、
 (a) 「法令」とは、法令及び社会保障に関する規約をいう。
 (b) 「所定の」とは、国内法令により又はこれに基づいて決定されたことをいう。
 (c) 「被扶養者たる」とは、所定の場合に存在すると推定される被扶養の状態をいう。
 (d) 「妻」とは、その夫の被扶養者たる妻をいう。
 (e) 「寡婦」とは、その夫の死亡の時にその被扶養者であつた女子をいう。
 (f) 「子」とは、次の者をいう。
  (i)  義務教育終了年齢又は十五歳のいずれか高い方の年齢に達しない子
  (ii) 所定の条件の下においては、(i)に定める年齢より高い所定の年齢に達しない子であつて、訓練生若しくは学生であるもの又は慢性疾患若しくは病弱のため有償活動に従事することができないもの
 (g) 「資格期間」とは、所定の拠出期間、雇用期間若しくは居住期間又はこれらの所定の組合せをいう。
 (h) 「拠出制給付」とは、保護対象者若しくはその使用者の直接の費用分担又は職業活動による資格期間に基づいて支給される給付をいう。

Ⅱ 保護対象者

2 加盟国は、次の者に対し、障害及び老齢給付について規定する法令を、必要な場合には段階的に、及び適当な条件の下に適用すべきである。
 (a) 臨時に雇用される者
 (b) 経済活動に従事するすべての者
3 加盟国は、次の者の妻、子及び国内法令で定める他の被扶養者に対し、遺族給付について規定する法令を、必要な場合には段階的に、及び適当な条件の下に適用すべきである。
 (a) 臨時に雇用される者
 (b) 経済活動に従事するすべての者

Ⅲ 保護の対象となる事故

4 障害の定義は、相当な収入を伴う活動における労働不能を考慮に入れるべきである。
5 一部障害については、所定の条件の下に減額給付を支給すべきである。
6 加盟国は、所定の年齢をこえているが老齢年金受給年齢に達していない者を保護するため、次の者に対し、所定の条件の下に給付を支給すべきである。
 (a) 労働に適しないことが立証され又は推定される者
 (b) 所定の期間意に反して失業している者
 (c) 社会的な理由によりこのような措置が正当とされる他の所定の種類の者
7 社会的な理由により前記の措置が正当とされる他の所定の種類の者については、適当な場合には、所定の条件の下に老齢年金受給年齢を引き下げるべきである。
8 千九百六十七年の障害、老齢及び遺族給付条約の規定を実施する法令の効力発生の時に年齢が高かつたという理由のみで所定の資格条件を満たさなかつた保護対象者に対しては、所定の条件の下に減額老齢給付を支給すべきである。ただし、通常の老齢年金受給年齢より高い年齢にある前記の者に対して同条約第十八条1、3又は4の規定による給付が確保されている場合は、この限りでない。
9 遺族給付に対する寡婦の権利が所定の年齢に達することを条件とする場合には、その年齢に達しない寡婦は、適当な職業につくことができるように、あらゆる援助及び便宜(訓練及び紹介の便宜並びに適当な場合には給付の支給を含む。)を与えられるべきである。
10 夫は所定の資格条件を満たしているが、本人は遺族給付を受けるための条件を満たしていない寡婦は、一定の期間手当を受けるか又は死亡一時金の給付を受ける権利を有すべきである。
11 寡婦に支給される拠出制老齢給付又は拠出制遺族給付は、その者が所定の年齢に達した後は、有償活動に従事しているという理由のみで停止すべきではない。
12 障害の状態にありかつ被扶養者である鰥(かん)夫は、所定の条件の下に、寡婦と同一の遺族給付受給権を享有すべきである。
13 障害給付は、少なくとも、事故の発生前に所定の規則に従い拠出、雇用又は居住について五年程度の資格期間を満たした保護対象者に対して確保すべきである。
14 所定の年齢に達していない年少労働者については、所定の条件の下に、障害給付についての資格期間を廃止し、又は短縮すべきである。
15 障害が災害による場合には、所定の条件の下に、障害給付についての資格期間を廃止し、又は短縮すべきである。
16 老齢給付は、少なくとも、事故の発生前に所定の規則に従い拠出若しくは雇用について二十年程度又は居住について十五年程度の資格期間を満たした保護対象者に対して確保すべきである。
17 老齢給付が拠出又は雇用についての一定の期間の満了を条件とする場合には、少なくとも、事故の発生前に所定の規則に従い拠出又は雇用について十年の資格期間を満たした保護対象者に対し、減額老齢給付を確保すべきである。
18 老齢給付が拠出又は雇用についての一定の期間の満了を条件とする場合には、老齢給付の額は、次のときに所定の条件の下に増額すべきである。
 (a) 給付の支給が所定の有償活動からの引退を条件とする場合において、老齢年金受給年齢に達し、かつ、給付に関する所定の拠出又は雇用についての資格条件を満たした者が引退を延期するとき。
 (b) 老齢給付の支給が所定の有償活動からの引退を条件としない場合において、老齢年金受給年齢に達し、かつ、給付に関する所定の資格条件を満たした者が給付の請求を延期するとき。
19 遺族給付は、少なくとも、障害給付について13に規定すると同一の資格条件で確保すべきである。
20 障害、老齢及び遺族給付の支給が拠出又は雇用の期間に基づく場合には、少なくとも、給付が支給された疾病、災害又は出産による労働不能の期間及び意に反する失業の期間は、所定の条件の下に、当該者が満たした資格期間の計算にあたつて拠出又は雇用の期間とみなすべきである。
21 障害、老齢及び遺族給付の支給が拠出又は雇用の期間に基づく場合には、強制兵役の期間は、所定の条件の下に、当該者が満たした資格期間の計算にあたつて拠出又は雇用の期間とみなすべきである。

Ⅳ 給付

22 千九百六十七年の障害、老齢及び遺族給付条約第五部の附表に掲げる百分率は、少なくとも十だけ増加すべきである。
23 国内法令は、最低生活水準を確保するように障害、老齢及び遺族給付の最低額を定めるべきである。
24 障害、老齢及び遺族給付の額は、所得の一般的水準又は生計費の変動を考慮して定期的に調整すべきである。
25 常時他人の介護を必要とする年金受給者に対しては、所定の条件の下に、給付の割増しを行ない、又は補足的の若しくは特別の給付を支給すべきである。
26 保護対象者が受給権を有する給付は、その者が当該加盟国の領域内にいないという理由のみで停止すべきではない。