1964年の業務災害給付条約(第121号)

1964年07月08日

業務災害の場合における給付に関する条約(第121号)
(1974年6月7日批准登録)

 国際労働機関の総会は、
 理事会によりジュネーヴに招集されて、千九百六十四年六月十七日にその第四十八回会期として会合し、
 その会期の議事日程の第五議題である労働に係る事故及び職業病の場合における給付に関する提案の採択を決定し、
 その提案が国際条約の形式をとるべきであると決定して、
 次の条約(引用に際しては、千九百六十四年の業務災害給付条約と称することができる。)を千九百六十四年七月八日に採択する。

第 一 条

 この条約において、
 (a) 「法令」とは、法律、命令及び社会保障に関する規程をいう。
 (b) 「所定の」とは、国内の法令により又はこれに基づいて定められていることをいう。
 (c) 「工業的企業」とは、経済活動の次の部門に属するすべての企業をいう。
   鉱業及び土石採取業
   製造業
   建設業
   電気、ガス、水道及び衛生の事業
   運輸業、倉庫業及び通信業
 (d) 「被扶養者である」とは、所定の場合に存在するとされる扶養を受けている状態をいう。
 (e) 「被扶養者である子」とは、次の者をいう。
  (i)  義務教育終了年齢又は十五歳のいずれか高い方の年齢に達しない子
  (ii) 所定の条件の下において、(i)に定める年齢よりも高い一定の年齢に達しない子であつて、修習生若しくは学生であるもの又は慢性疾病若しくは心身障害のためいかなる有償の活動にも従事することができないもの。ただし、国内の法令が「被扶養者である子」とは(i)に定める年齢よりもある程度高い年齢に達しないすべての子をいうと規定する場合には、この要件は、満たされたものとみなす。

第 二 条

1 経済及び医療施設が十分に発達していない加盟国は、その批准に際して付する宣言により、第五条、第九条3(b)、第十二条、第十五条2及び第十八条3に定める暫定的な例外規定を援用することができる。その宣言には、これらの例外規定を援用する理由を述べる。
2 1の規定に基づく宣言を行つた各加盟国は、国際労働機関憲章第二十二条の規定に従つて提出するこの条約の適用に関する報告において、自国が援用しているそれぞれの例外規定について次のいずれかのことを述べる。
 (a) 当該例外規定を援用する理由が引き続き存在していること。
 (b) 当該例外規定を一定の日以後は援用しないこと。

第 三 条

1 この条約を批准する加盟国は、この条約で要求される給付と同等の又はそれ以上の給付を全体として与える特別な制度によつて次の者が保護されている場合には、その批准に際して付する宣言により、それらの者をこの条約の適用から除外することができる。
 (a) 船員(海上漁船員を含む。)
 (b) 公務員
2 1の規定に基づく宣言が行われている場合には、当該加盟国は、次条2(d)及び第五条の規定に従つて被用者数の百分率を計算するに当たり、この条約の適用から除外した種類に属する者を被用者の数から除外することができる。
3 1の規定に基づく宣言を行つた加盟国は、その後において、国際労働事務局長に対し、この条約の批准の時に除外した種類に属する者につきこの条約の義務を受諾することを通告することができる。

第 四 条

1 業務災害給付に関する国内の法令は、公私の部門(協同組合を含む。)におけるすべての被用者(修習生を含む。)及び、扶養者の死亡の場合にあつては、所定の種類の受給者を保護しなければならない。
2 加盟国は、次の者につき必要と認める例外を定めることができる。
 (a) 使用者の事業の目的以外の目的のために臨時に雇用される者
 (b) 家内労働者
 (c) 使用者の家族の構成員であつて、使用者のための作業に関連して使用者と同居するもの
 (d) その他の種類に属する被用者であつて、(a)から(c)までの規定に基づいて除外される者以外の被用者の総数の十パーセントを超えないもの

第 五 条

 第二条の規定に基づく宣言が行われている場合には、業務災害給付に関する国内の法令の適用は、工業的企業のすべての被用者の七十五パーセントを下回らない数の所定の種類の被用者及び、扶養者の死亡の場合にあつては、所定の種類の受給者に限定することができる。

第 六 条

 給付事由は、業務災害による次のものとする。
 (a) 負傷又は疾病
 (b) 負傷又は疾病に起因し、かつ、所得の停止を伴う労働不能であつて、国内の法令で定めるもの
 (c) 所得能力の全部喪失若しくは所定の程度を超える所得能力の一部喪失で永久的なものとなるおそれがあるもの又はこれらに相当する身体機能の喪失
 (d) 扶養者の死亡の結果、所定の種類の受給者が被る扶養の喪失

第 七 条

1 各加盟国は、「労働に係る事故」の定義(通勤に係る事故を労働に係る事故とする条件を含む。)を法令で定め、かつ、国際労働機関憲章第二十二条の規定に従つて提出するこの条約の適用に関する報告においてこの定義の内容を明示する。
2 通勤に係る事故が業務災害補償制度以外の社会保障制度の対象となつており、かつ、この社会保障制度が通勤に係る事故につきこの条約に基づいて要求される給付と同等の又はそれ以上の給付を全体として与える場合には、通勤に係る事故は、「労働に係る事故」の定義に含めることを要しない。

第 八 条

 各加盟国は、次のいずれかのことを行う。
 (a) 所定の条件の下に職業病と認められる疾病(少なくとも付表Ⅰに掲げる疾病を含む。)の一覧表を法令で定めること。
 (b) 少なくとも付表Ⅰに掲げる疾病を含み得る程度に十分に包括的な職業病の一般的定義を法令に含めること。
 (c)  (a)の規定に適合する疾病の一覧表であつて、職業病の一般的定義を含むもの又はそれに列記されていない疾病若しくは所定の条件と異なる条件の下に発生する疾病についてはそれが職業に起因するものであることを確定するための規定を含むものを法令で定めること。

第 九 条

1 各加盟国は、所定の条件に従い、保護対象者に対し次の給付が与えられることを確保する。
 (a) 負傷又は疾病については、医療及びこれに関連する給付
 (b) 第六条(b)から(d)までに規定する給付の原因については、現金給付
2 給付を受ける資格は、雇用期間、被保険者期間又は拠出金の支払を条件としてはならない。ただし、職業病に関しては、危険にさらされる期間について国内の法令で定めることができる。
3 給付は、給付の原因が存続する間、支給する。ただし、労働不能に係る現金給付は、次のいずれかの場合には、最初の三日間について支給することを要しない。
 (a) 加盟国の法令が、この条約が効力を生ずる日において待期期間について定めている場合。ただし、この加盟国が、国際労働機関憲章第二十二条の規定に従つて提出するこの条約の適用に関する報告において、この例外規定を援用する理由が引き続き存在していることを述べることを条件とする。
 (b) 第二条の規定に基づく宣言が行われている場合

第 十 条

1 負傷又は疾病に係る医療及びこれに関連する給付は、次のものから成る。
 (a) 入院患者及び通院患者に対する一般医及び専門医による診療(往診を含む。)
 (b) 歯科診療
 (c) 家庭又は病院その他の医療施設における看護
 (d) 病院、回復期療養所、サナトリウムその他の医療施設への収容
 (e) 歯科用治療材料、薬剤その他の内科用又は外科用の治療材料(補装具並びにその修理及び必要な場合の再交付を含む。)及び眼鏡
 (f) 医業に類するものとして法律上認められる職業に従事する者が医師又は歯科医師の監督の下に行う診療
 (g) 可能な場合には、職場における次の手当
  (i)  程度の重い災害を受けた者に対する応急手当
  (ii) 負傷が軽微であり、かつ、労働の中断を要しない者に対するその後の手当
2 1の規定に基づく給付は、災害を受けた者の健康、労働能力及び自己の用を足す能力を維持し、回復し又は回復が不可能な場合には改善することを目的として、すべての適当な手段を用いて支給しなければならない。

第 十 一 条

1 一般的保健制度又は被用者のための医療制度によつて医療及びこれに関連する給付を与える加盟国は、それらの給付が業務災害を受けた者に対し他の有資格者と同一の条件で支給されることをその法令において定めることができる。ただし、この事項に関する規則が、関係者が困難な状態に置かれることのないように作成されることを条件とする。
2 費用を償還する制度によつて医療及びこれに関連する給付を与える加盟国は、それらの給付の範囲、期間又は費用が妥当な限度を超える場合についての特別規則をその法令において定めることができる。ただし、この事項に関する規則が、前条2に定める目的に反せず、かつ、関係者が困難な状態に置かれることのないように作成されることを条件とする。

第 十 二 条

 第二条の規定に基づく宣言が行われている場合には、医療及びこれに関連する給付には、少なくとも次のものを含む。
 (a) 一般医による診療(往診を含む。)
 (b) 病院における入院患者及び通院患者に対する専門医による診療並びに病院外で行うことができる専門医による診療
 (c) 医師その他資格のある者の処方による欠くことのできない薬剤
 (d) 必要がある場合の病院への収容
 (e) 可能な場合には、労働に係る事故の被災者に対する職場における応急手当

第 十 三 条

 一時的又は初期的な労働不能に係る現金給付は、第十九条又は第二十条の要件に適合するように算定される定期金とする。

第 十 四 条

1 永久的なものとなるおそれのある所得能力の喪失又はこれに相当する身体機能の喪失に係る現金給付は、その喪失が前条の規定に基づく給付の支給期間の満了の時に所定の程度を超えて存続するすべての場合に支給する。
2 永久的なものとなるおそれのある所得能力の全部喪失又はこれに相当する身体機能の喪失については、1の給付は、第十九条又は第二十条の要件に適合するように算定される定期金とする。
3 永久的なものとなるおそれのある所得能力の一部喪失でかなりの程度のもの(所定の程度を超えるもの)又はこれに相当する身体機能の喪失については、1の給付は、2の定期金に対して適当な比率の定期金とする。
4 永久的なものとなるおそれのある所得能力の一部喪失でかなりの程度のものではないが1にいう所定の程度を超えるもの又はこれに相当する身体機能の喪失については、1の給付は、一時金の形式によることができる。
5 1及び3にいう所得能力の喪失の程度又はこれに相当する身体機能の喪失の程度については、関係者が困難な状態に置かれることのないように、国内の法令で定める。

第 十 五 条

1 前条2及び3の定期金の全部又は一部は、例外的な事情があり、かつ、災害を受けた者の同意を得た場合には、保険数理上当該定期金の全部又は一部の額に相当する額の一時金として支給することができる。ただし、その一時金がその災害を受けた者にとつて特に有利な方法で使用されると権限のある機関が信ずるに足りる理由がある場合に限る。
2 第二条の規定に基づく宣言が行われている場合において、当該加盟国が定期金の支給に必要な管理運営の手段がないと認めるときは、前条2及び3の定期金は、利用し得る資料に基づいて算定されるところにより、保険数理上当該定期金の額に相当する額の一時金として支給することができる。

第 十 六 条

 身体に障害を受けた者で常に介護を要するものについては、国内の法令で定めるところにより、定期金の割増金又は他の追加の若しくは特別の給付を支給する。

第 十 七 条

 所得能力の喪失又はこれに相当する身体機能の喪失について支給される定期金を喪失の程度の変化に応じて改定し、停止し又は取り消す条件は、国内の法令で定める。

第 十 八 条

1 扶養者の死亡に係る現金給付は、死亡者の妻(国内の法令で定めるところによる。)、夫(身体に障害があり、かつ、被扶養者であるもの)、被扶養者である子その他所定の者に与えられる定期金とするものとし、この定期金は、次条又は第二十条の要件に適合するように算定する。ただし、身体に障害があり、かつ、被扶養者である夫に対する給付は、他の遺族に支給される現金給付がこの条約によつて要求される給付をある程度超えており、かつ、業務災害補償制度以外の社会保障制度が千九百五十二年の社会保障(最低基準)条約によつて要求される廃疾に係る給付をある程度超える給付をその夫に与えている場合には、与えることを要しない。
2 このほか、葬儀の通常の費用を下回らない所定の額の葬儀料を与える。ただし、遺族に支給される現金給付がこの条約によつて要求される給付をある程度超える場合には、葬儀料を受ける権利は、所定の条件によるものとすることができる。
3 第二条の規定に基づく宣言が行われている場合において、当該加盟国が定期金の支給に必要な管理運営の手段がないと認めるときは、1の定期金は、利用し得る資料に基づいて算定されるところにより、保険数理上当該定期金の額に相当する額の一時金として支給することができる。

第 十 九 条

1 この条の規定の適用を受ける定期金については、給付の額と給付の原因の存する期間中に支給される家族手当の額との合計額が、当該給付の原因に関し、付表Ⅱに掲げる標準受給者にあつては、受給者又は受給者の扶養者の従前の賃金の額と標準受給者と同一の家族的責任を有する保護対象者に支給される家族手当の額との合計額に付表Ⅱの百分率を乗じて得た額に少なくとも達するようにする。
2 受給者又は受給者の扶養者の従前の賃金は、所定の規則によつて計算する。保護対象者又は保護対象者の扶養者がその賃金に従つて階層に分類されているときは、その者の従前の賃金は、その者が属していた階層の標準賃金によつて計算することができる。
3 給付の額又は給付の計算に当たつて考慮される賃金については、最高限度を国内の法令で定めることができる。ただし、この最高限度は、受給者又は受給者の扶養者の従前の賃金が男子熟練労働者の賃金に等しく又はこれより低い場合について1の規定が満たされるように定める。
4 受給者又は受給者の扶養者の従前の賃金、男子熟練労働者の賃金、給付及び家族手当は、同一の時点を基礎として計算する。
5 標準受給者以外の受給者に対する給付は、標準受給者に対する給付と合理的な関係になければならない。
6 この条の規定の適用上、男子熟練労働者は、次のいずれかの者とする。
 (a) 電気機械製造業以外の機械製造業の取付工又は旋盤工
 (b) 7の規定に基づいて選定される典型的な熟練労働者
 (c) すべての保護対象者のうちの七十五パーセントの者の賃金と比較してこれに等しいか又はこれを超えることとなる賃金を受ける者。この場合において、賃金は、国内の法令で定めるところにより一年又はこれより短い期間を基準とする。
 (d) すべての保護対象者の賃金の平均の百二十五パーセントに等しい賃金を受ける者
7 6(b)の規定の適用上、典型的な熟練労働者は、当該給付の原因に関連のある男子保護対象者(経済活動に従事するもの)又は保護対象者の扶養者の最大多数を有する経済活動の大分類中でこれらの男子保護対象者又は扶養者の最大多数を有する中分類において雇用されている者のうちから選定する。このため、千九百四十八年八月二十七日に国際連合経済社会理事会の第七回会期で採択され、その後改正された全経済活動の国際標準産業分類(附属書に掲げるもの)又は更に改正される場合にはその改正後の分類を使用する。
8 給付の額が地域によつて異なる場合には、男子熟練労働者を6及び7の規定に従つて地域ごとに決定することができる。
9 男子熟練労働者の賃金は、労働協約によつて定められ、又は国内の法律若しくは命令の適用があるときはこれにより若しくはこれに基づき、若しくは慣習によつて定められる通常の労働時間の賃金(生計費手当があるときはこれを含む。)を基準として決定する。これらの賃金が地域によつて異なり、かつ、8の規定が適用されない場合には、中位の賃金を採用する。
10 定期金は、所定の最低額を下回らないものとする。

第 二 十 条

1 この条の規定の適用を受ける定期金については、給付の額と給付の原因の存する期間中に支給される家族手当の額との合計額が、当該給付の原因に関し、付表Ⅱに掲げる標準受給者にあつては、普通成年男子労働者の賃金の額と標準受給者と同一の家族的責任を有する保護対象者に支給される家族手当の額との合計額に付表Ⅱの百分率を乗じて得た額に少なくとも達するようにする。
2 普通成年男子労働者の賃金並びに給付及び家族手当は、同一の時点を基礎として計算する。
3 標準受給者以外の受給者に対する給付は、標準受給者に対する給付と合理的な関係になければならない。
4 この条の規定の適用上、普通成年男子労働者は、次のいずれかの者とする。
 (a) 電気機械製造業以外の機械製造業の典型的な不熟練労働者
 (b) 5の規定に基づいて選定される典型的な不熟練労働者
5 4(b)の規定の適用上、典型的な不熟練労働者は、当該給付の原因に関連のある男子保護対象者(経済活動に従事するもの)又は保護対象者の扶養者の最大多数を有する経済活動の大分類中でこれらの男子保護対象者又は扶養者の最大多数を有する中分類において雇用されている者のうちから選定する。このため、千九百四十八年八月二十七日に国際連合経済社会理事会の第七回会期で採択され、その後改正された全経済活動の国際標準産業分類(附属書に掲げるもの)又は更に改正される場合にはその改正後の分類を使用する。
6 給付の額が地域によつて異なる場合には、普通成年男子労働者を4及び5の規定に従つて地域ごとに決定することができる。
7 普通成年男子労働者の賃金は、労働協約によつて定められ、又は国内の法律若しくは命令の適用があるときはこれにより若しくはこれに基づき、若しくは慣習によつて定められる通常の労働時間の賃金(生計費手当があるときはこれを含む。)を基準として決定する。これらの賃金が地域によつて異なり、かつ、6の規定が適用されない場合には、中位の賃金を採用する。
8 定期金は、所定の最低額を下回らないものとする。

第 二 十 一 条

1 第十四条2及び3並びに第十八条1の規定に従つて支給される現金給付の額は、生計費のかなりの変動の結果として一般賃金水準にかなりの変動が生じた場合には、再検討される。
2 各加盟国は、国際労働機関憲章第二十二条の規定に従つて提出するこの条約の適用に関する報告において、1の再検討の結果を述べ、かつ、とつた措置を明示する。

第 二 十 二 条

1 この条約の規定に従い保護対象者に支給すべき給付は、次の期間中又は次の場合には、所定の範囲内において停止することができる。
 (a) その者が当該加盟国の領域内にいない期間
 (b) その者が公の費用又は社会保障の団体若しくは事業の費用で生活を維持している期間
 (c) その者が虚偽の請求をした場合
 (d) 業務災害がその者の犯罪行為によつて生じた場合
 (e) 業務災害がその者の自ら引き起こした酩酊(めいてい)若しくは中毒の状態又はその者の重大かつ意図的な違反行為によつて生じた場合
 (f) その者が、正当な理由なしに、医療及びこれに関連する給付若しくはその者の使用に供されたリハビリテーションに関する施設の利用を怠り、又は給付の原因の発生若しくは継続の確認若しくは受給者の行うべき手続に関する所定の規則に従わない場合
 (g) 遺族である配偶者が他の者と同棲(どうせい)している期間
2 支給されなかつた現金給付のうちの一部は、所定の場合及び限度内において、その者の被扶養者である者に支給する。

第 二 十 三 条

1 すべての請求人は、給付が拒否された場合又は給付の質若しくは量に関する不服がある場合に申立てを行う権利を有する。
2 この条約の適用上、立法機関に対して責任を負う官庁によつて医療給付が管理されている場合には、医療給付の拒否又は受けた医療給付の質に関する不服については、適当な機関に対して審査を請求する権利をもつて、1に定める申立てを行う権利に代えることができる。
3 業務災害給付又は社会保障一般に関する問題の処理のために設置され、かつ、保護対象者の代表者が参加する特別の裁定機関によつて請求が解決される場合には、申立てを行う権利は、与えることを要しない。

第 二 十 四 条

1 公の機関の規制を受ける団体又は立法機関に対して責任を負う官庁によつて管理が行われていない場合には、保護対象者の代表者は、所定の条件に従つて、運営に参加し又は顧問の資格でこれに参与する。使用者及び公の機関の代表者の参加についても、国内の法令において定めることができる。
2 加盟国は、この条約の適用に関与する団体及び事業の適切な管理について一般的責任を負う。

第 二 十 五 条

 各加盟国は、この条約に基づく給付の適正な支給について一般的責任を負うものとし、この目的のために必要なすべての措置をとる。

第 二 十 六 条

1 各加盟国は、所定の条件に従い、次の措置をとる。
 (a) 労働に係る事故及び職業病を予防するための措置
 (b) 身体に障害を受けた者ができる限り従前の活動に復帰し得るように、また、それが不可能な場合には、その適性及び能力からみて最も適当な代わりの有償の活動に従事し得るように訓練することを目的としたリハビリテーションに関する施設の提供
 (c) 身体に障害を受けた者が適当な職業に就くことを促進するための措置
2 各加盟国は、労働に係る事故の頻度(ひんど)及び強度に関する情報を、国際労働機関憲章第二十二条の規定に従つて提出するこの条約の適用に関する報告中にできる限り含める。

第 二 十 七 条

 各加盟国は、業務災害給付に関し、自国の領域内において、自国民に与える待遇と同等の待遇を外国人に与えることを確保する。

第 二 十 八 条

1 この条約は、千九百二十一年の労働者補償(農業)条約、千九百二十五年の労働者補償(事故)条約、千九百二十五年の労働者補償(職業病)条約及び千九百三十四年の労働者補償(職業病)条約(改正)を改正するものである。
2 千九百三十四年の労働者補償(職業病)条約(改正)の締約国である加盟国によるこの条約の批准は、この条約の効力発生を条件として、千九百三十四年の労働者補償(職業病)条約(改正)第八条の規定に従い、当然に同条約の即時の廃棄を伴う。もつとも、この条約の効力発生により、千九百三十四年の労働者補償(職業病)条約(改正)の批准のための開放が終了することはない。

第 二 十 九 条

 千九百五十二年の社会保障(最低基準)条約第六部の規定及び他の部の関係規定は、同条約第七十五条の規定に従い、この条約がこれを批准した加盟国について効力を生ずる日から、その加盟国について適用されなくなる。もつとも、この条約の義務の受諾は、千九百五十二年の社会保障(最低基準)条約第二条の規定の適用上、同条約第六部の規定及び他の部の関係規定の義務の受諾とみなす。

第 三 十 条

 この条約において取り扱われている事項に関して将来総会が採択する条約にその旨の規定がある場合には、当該条約に明記するこの条約の規定は、当該条約を批准した加盟国について当該条約が効力を生ずる日から、その加盟国について適用されなくなる。

第 三 十 一 条

1 国際労働機関の総会は、付表Ⅰの改正に関する問題が議事日程に含められている会期において、その改正を三分の二以上の多数による議決で採択することができる。
2 付表Ⅰの改正は、既にこの条約の締約国となつている加盟国については、その加盟国がその改正を受諾することを国際労働事務局長に通告する時に効力を生ずる。
3 付表Ⅰの改正は、総会がその改正を採択する際に別段の決定を行わない限り、採択の後にこの条約を批准する加盟国については、総会がその改正を採択したことによつて効力を有するものとする。

第 三 十 ニ 条

 この条約の正式の批准は、登録のため国際労働事務局長に通知する。

第 三 十 三 条

1 この条約は、国際労働機関の加盟国でその批准が事務局長に登録されたもののみを拘束する。
2 この条約は、二の加盟国の批准が事務局長に登録された日の後十二箇月で効力を生ずる。
3 その後は、この条約は、いずれの加盟国についても、その批准が登録された日の後十二箇月で効力を生ずる。

第 三 十 四 条

1 この条約を批准した加盟国は、この条約が最初に効力を生じた日から十年を経過した後は、登録のため国際労働事務局長に送付する文書によつてこの条約を廃棄することができる。その廃棄は、登録された日の後一年間は効力を生じない。
2 この条約を批准した加盟国で、1に定める十年の期間が満了した後一年以内にこの条に規定する廃棄の権利を行使しないものは、更に十年間拘束を受けるものとし、その後は、十年の期間が満了するごとに、この条に定める条件に従つてこの条約を廃棄することができる。

第 三 十 五 条

1 国際労働事務局長は、国際労働機関の加盟国から通知を受けたすべての批准及び廃棄の登録をすべての加盟国に通告する。
2 事務局長は、通知を受けた二番目の批准の登録を国際労働機関の加盟国に通告する際に、この条約が効力を生ずる日につき加盟国の注意を喚起する。

第 三 十 六 条

 国際労働事務局長は、国際連合憲章第百二条の規定による登録のため、前諸条の規定に従つて登録されたすべての批准及び廃棄の完全な明細を国際連合事務総長に通知する。

第 三 十 七 条

 国際労働機関の理事会は、必要と認めるときは、この条約の運用に関する報告を総会に提出するものとし、また、この条約の全部又は一部の改正に関する問題を総会の議事日程に加えることの可否を検討する。

第 三 十 八 条

1 総会がこの条約の全部又は一部を改正する条約を新たに採択する場合には、その改正条約に別段の規定がない限り、
 (a) 加盟国によるその改正条約の批准は、その改正条約の効力発生を条件として、第三十四条の規定にかかわらず、当然にこの条約の即時の廃棄を伴う。
 (b) 加盟国による批准のためのこの条約の開放は、その改正条約が効力を生ずる日に終了する。
2 この条約は、これを批准した加盟国で1の改正条約を批准していないものについては、いかなる場合にも、その現在の形式及び内容で引き続き効力を有する。

第 三 十 九 条

 この条約の英文及びフランス文は、ひとしく正文とする。

付表Ⅰ 職業病の一覧表(千九百八十年改正)
(1981年6月23日 受諾登録)

(注)原文(8、11、14、23、27、28)は一部ルビ付きだがここでは省略。また、原文は縦書きのため、「右に同じ」と訳されているが、ここでは配置の都合上、「上に同じ」に変更

職業病 危険にさらされる作業(注)
1 組織硬化性の鉱物性粉じんによるじん肺(けい肺、炭けい肺、石綿肺)及びけい肺結核(けい肺が労働不能又は死亡の主たる原因である場合に限る。) 当該危険にさらされるすべての作業
2 超硬合金の粉じんによる気管支肺疾患 (上に同じ)
3 綿の粉じんによる気管支肺疾患(ビシノーシス)又は亜麻、大麻若しくはサイザル麻の粉じんによる気管支肺疾患 (上に同じ)
4 作業工程におけるその存在が不可避な物質のうち感作性物質又は刺激性物質として認められている物質による職業性ぜん息 (上に同じ)
5 有機粉じんの吸入による外因性アレルギー性肺胞炎及びその続発症であって,国内の法令の定めるもの (上に同じ)
6 ベリリウム又はその毒性化合物による疾病 (上に同じ)
7 カドミウム又はその毒性化合物による疾病 (上に同じ)
8 燐又はその毒性化合物による疾病 (上に同じ)
9 クロム又はその毒性化合物による疾病 (上に同じ)
10 マンガン又はその毒性化合物による疾病 (上に同じ)
11 砒素又はその毒性化合物による疾病 (上に同じ)
12 水銀又はその毒性化合物による疾病 (上に同じ)
13 鉛又はその毒性化合物による疾病 (上に同じ)
14 弗素又はその毒性化合物による疾病 (上に同じ)
15 二硫化炭素による疾病 (上に同じ)
16 脂肪族又は芳香族の炭化水素の毒性ハロゲン誘導体による疾病 (上に同じ)
17 ベンゼン又はその毒性同族体による疾病 (上に同じ)
18 ベンゼン又はその同族体の毒性ニトロ誘導体及び毒性アミノ誘導体による疾病 (上に同じ)
19 ニトログリセリンその他硝酸エステルによる疾病 (上に同じ)
20 アルコール、グリコール又はケトンによる疾病 (上に同じ)
21 窒素性物質(一酸化炭素、シアン化水素又はその毒性誘導体、硫化水素)による疾病 (上に同じ)
22 騒音による難聴 (上に同じ)
23 振動による疾病(筋肉、腱、骨、関節、末梢血管又は末梢神経の障害) (上に同じ)
24 高圧空気下における作業による疾病 (上に同じ)
25 電離放射線による疾病 電離放射線の被ばくを伴うすべての作業
26 物理的、科学的又は生物学的な因子で他に掲げられていないものによる皮膚疾患 当該危険にさらされるすべての作業

27 タール、ピッチ、れき青(注:原文は旧仮名遣い)、鉱物油、アントラセン又はこれらの物質の化合物、製品若しくは残滓による皮膚の原発性上皮ガン

(上に同じ)
28 石綿による肺がん又は中皮腫 (上に同じ)
29 病原体による汚染の危険が特に存在する業務においてかかつた感染症又は寄生虫症 (a) 保健又は試験研究に関する作業
(b) 動物診療に関する作業
(c) 動物、動物の死体若しくは動物の死体の一部又はこれらによつて汚染されたおそれのある商品を取り扱う作業
(d) 病原体による汚染の危険を特に伴うその他の作業

注 この付表の適用に当たり、適当な場合には、危険にさらされる程度及び態様を考慮するものとする。

附表Ⅱ  標準受給者に対する定期的支払金

給付事由 標準受給者 百分率
1.一時的又は、初期的な労働不能 妻及び二子を有する男子 60
2.所得能力の全部喪失又はこれに相当する身体機能の喪失 妻及び二子を有する男子 60
3.扶養者の死亡 二子を有する寡婦 50

附属書  全経済活動の国際標準産業分類(千九百六十八年までの改正を含む。)

大分類、中分類及び小分類表

中分類 小分類
大分類 1 農業、狩猟業、林業及び漁業
11 農業及び狩猟業
111 農業及び畜産業
112 農業的サービス業
113 狩猟、わなかけ業及び猟鳥獣増殖業
12 林業及び伐木業
121 林業
122 伐木業
13 130 漁業
大分類 2 鉱業及び採石業
21 210 石炭鉱業
22 220 原油鉱業及び天然ガス鉱業
23 230 金属鉱業
29 290 その他の鉱業
大分類 3 製造業
31 食料品、飲料品及びたばこの製造業
311―312 食料品製造業
313 飲料品製造業
314 たばこ製造業
32 繊維製品、衣服類及び皮革の製造業
321 繊維製品製造業
322 衣服類製造業(はき物製造業を除く。)
323 皮革、皮革製品、皮革代用品の製品及び毛皮製品の製造業(はき物及び衣服類の製造業を除く。)
324 はき物製造業(硬化ゴム製、型ゴム製及びプラスチック製のはき物の製造業を除く。)
33 木材及び木製品の製造業(家具製造業を含む。)
331 木材、木製品及びコルク製品の製造業(家具製造業を除く。)
332 家具及び装備品の製造業(主として金属を材料とする家具及び装備品の製造業を除く。)
34 紙及び紙製品の製造業、印刷業並びに出版業
341 紙及び紙製品の製造業
342 印刷業、出版業及び関連産業
35 化学薬品、化学製品、石油製品、石炭製品、ゴム製品及びプラスチック製品の製造業
351 工業用化学薬品製造業
352 その他の化学製品の製造業
353 石油精製業
354 各種の石油製品及び石炭製品の製造業
355 ゴム製品製造業
356 他に分類されないプラスチック製品の製造業
36 非金属鉱物製品製造業(石油製品及び石炭製品の製造業を除く。)
361 陶磁器及び土器の製造業
362 ガラス及びガラス製品の製造業
369 その他の非金属鉱物製品の製造業
37 第一次金属工業
371 鉄鋼一次製品製造業
372 非鉄金属一次製品製造業
38 金属製品及び機械器具の製造業
381 金属製品製造業(機械器具製造業を除く。)
382 機械製造業(電気機械製造業を除く。)
383 電気機械、電気装置、電気器具及び電気用品の製造業
384 輸送用機械器具製造業
385 専門機械器具、理化学機械器具、計測用器械及び制御用器械で他に分類されないもの、写真用品並びに光学用品の製造業
39 390 その他の製造業
大分類 4 電気業、ガス業及び水道業
41 410 電気業、ガス業及びスチーム業
42 420 水道業
大分類 5 建設業
50 500 建設業
大分類 6 卸売業、小売業、飲食店及び旅館業
61 610 卸売業
62 620 小売業
63 飲食店及び旅館業
631 料理店、喫茶店その他の飲食店
632 旅館、下宿、キャンプその他の宿泊所
大分類 7 運輸業、倉庫業及び通信業
71 運輸業及び倉庫業
711 陸上運輸業
712 水上運輸業
713 航空運輸業
719 運輸関連サービス業
72 720 通信業
大分類 8 金融業、保険業、不動産業及び対企業サービス業
81 810 金融業
82 820 保険業
83 不動産業及び対企業サービス業
831 不動産業
832 対企業サービス業(機械器具貸付業を除く。)
833 機械器具貸付業
大分類 9 公共サービス業、対社会サービス業及び対個人サービス業
91 910 一般行政機関及び防衛機関
92 920 衛生業及び類似のサービス業
93 対社会サービス業及び関連公共サービス業
931 教育機関
932 研究所及び科学機関
933 医科サービス機関、歯科サービス機関その他の保健サービス機関及び獣医科サービス機関
934 福祉機関
935 経済団体、職業団体及び労働団体
939 その他の対社会サービス業及び関連公共サービス業
94 娯楽サービス業及び文化サービス業
941 映画その他の娯楽提供業
942 図書館、博物館、植物園、動物園及び他に分類されないその他の文化サービス業
949 他に分類されない娯楽サービス業
95 対個人サービス業及び家事サービス業
951 他に分類されない修理サービス業
952 洗たく業、洗たくサービス業及び染色業
953 家事サービス業
959 各種の対個人サービス業
96 960 国際機関その他の治外法権享有機関
大分類 0 分類不能の経済活動
00 000 分類不能の経済活動