1962年の職業訓練勧告(第117号)

1962年06月27日

職業訓練に関する勧告(第117号)

 国際労働機関の総会は、
 理事会によりジュネーヴに招集されて、千九百六十二年六月六日にその第四十六回会期として会合し、
 千九百三十九年の職業訓練勧告、千九百三十九年の徒弟制度勧告及び千九百五十年の職業訓練(成年者)勧告に替える目的で、この会期の議事日程の第四議題である職業訓練に関する提案の採択を決定し、
 この提案が勧告の形式をとるべきであることを決定し、また、
 国際連合教育科学文化機関が技術教育に関する勧告を準備していることに留意して、
 次の勧告(引用に際しては、千九百六十二年の職業訓練勧告と称することができる。)を千九百六十二年六月二十七日に採択する。

Ⅰ 一般原則

1 この勧告は、経済活動のあらゆる分野における雇用(最初のものであると否とを問わない。)又は昇進のための準備又は再訓練を目的とするすべての訓練(この目的のために必要とされる一般的、職業的及び技術的教育を含む。)について適用する。ただし、次の訓練は、除外する。
  (a) 管理者の地位にある者の訓練又は工業において職長より上の監督者の地位にある者若しくは経済活動の他の分野においてこれらの者と同等の地位にある者の訓練
  (b) 千九百四十六年の職業訓練(船員)勧告により引き続き規制される船員の訓練
  (c) 千九百五十六年の職業訓練(農業)勧告により引き続き規制される農業における訓練
2(1) 訓練は、訓練自体が目的ではなく、雇用機会を十分に考慮して人の職業的能力を発展させ、かつ、その人が自己及び社会の最大の利益となるようにその能力を利用することができるようにする手段である。訓練は、特に年少者については、個性を伸ばすようにすべきである。
 (2) 訓練は、一体をなすものであり、各部分に切り離すことができない。
 (3) 訓練は、個人として及び社会の構成員としての必要に応じ、当該個人の職業生活を通じて継続する過程である。
 (4) 訓練については、人種、皮膚の色、性、宗教、政治的見解、国民的出身又は社会的出身に基づくいかなる差別もあつてはならない。
 (5) 訓練は、11に定めるところに従つて、関係のある団体及び個人の継続的協力を必要とする。

Ⅱ 国の企画及び管理

3(1) 各国は、自国の住民の訓練の必要に応ずるため、数、場所及び教科に関し国全体又はさらに適当なときは各地域若しくは地方の経済的要求及び雇用の可能性に適合した訓練施設の組織網を有すべきである。
 (2) 前記の組織網は、個人がその能力及び性向に応じて訓練の最高水準に達することができるように、いずれかの種類の訓練から他の種類の訓練への移動並びに訓練の次の段階及び異なる水準への進級を容易にするようにすべきである。
 (3) 職業、特に技能的職業につくことについては、経済活動のすべての分野の要求並びに個々の訓練生の多様な能力、関心及び事情に応じることができるように十分な道を開いておくべきである。
 (4) 国情により完全な全国的組織網の発展が不可能なときは、当該国は、共通の組織網の発展又は共同訓練所の設置について隣接国と協力することを考慮すべきである。
4(1) 訓練の問題について責任のある公の機関のそれぞれの権限は、明確に定めるべきである。
 (2) 各国の公の機関及び各種の公私の団体で訓練を取り扱うものは、創意の自由な発揮を認め、かつ、経済活動の異なる分野、地域及び地方の要求に対する適合性を確保するとともに、
  (a) 中央で立案された一般計画に基づき、
  (b) 適当な機関の援助を得て任意に、又は
  (c) これらの方法の組合せにより
  十分に調整された訓練施設の発展のために協力すべきである。
 (3) いずれの方法が用いられる場合にも、(2)にいう施設の発展のために執られる措置には、応募者の職業選択の自由を尊重しつつ、次の措置を含めるべきである。
  (a) 訓練の必要の範囲及び性質並びに利用しうる施設の決定
  (b) 他の職業及びこれに必要とされる者の訓練を無視することなく優先的に訓練を行なうべき職業の決定
  (c) 資格基準が必要であり又は望ましいと認められる職業の決定、その資格基準の設定及び適用、適当な訓練教科の決定並びにこれらの職業における訓練の修了試験の基準の設定及び適用
  (d) 訓練の条件及び方法に関する基準の設定及び適用
  (e) 訓練所、特に資格基準が設定されている職業のための訓練を行なう訓練所に関する基準の設定及び適用
  (f) 訓練所の指導員の資格基準の設定及び適用
  (g) 事情により、訓練所及び訓練を行なう企業に対する技術的及び財政的援助の供与
 (4) 権限のある機関は、一般計画が採択された場合には、その実施のために執られる措置に(3)に掲げる措置を含めることを確保すべきである。
 (5) 任意に調整が行なわれる場合には、(3)に掲げる措置は、(2)にいう機関及び団体の権限の範囲において、それらの機関及び団体の責任とすべきである。
 (6)  (3)に掲げる基準は、可能なときはいつでも、当該加盟国の全領域に適用すべきである。
 (7) これが不可能なときは、できる限り全国的に画一な基準の設定に役だつ模範基準を作成すべきである。
 (8)  (2)にいう十分に調整された訓練施設を発展させるにあたつては、次の事項を十分に考慮すべきである。
  (a) 個人の職業的利益並びに文化的及び道徳的要求、労働力の需要並びに一般社会の経済的及び社会的利益
  (b) 教育及び訓練に関する国の政策
  (c) 一般教育、職業指導及び選択のための現存の及び計画中の施設
  (d) 職業教育及び技術教育のための施設を含む現存の及び計画中の訓練施設
  (e) 雇用市場の構造及びその発展の動向
  (f) 国の経済政策及び経済発展
  (g) 人口の状況及び予想される変動
  (h) 技術及び作業の組織方法の予想される変動
  (i) 地理的孤立、人種的相違その他の理由により特に考慮を必要とする人口集団の存在
 (9) 十分に調整された訓練施設については、絶えず検討を行ない、かつ、変動する要求に適応させるため必要な措置を執るべきである。
 (10) 十分に調整された訓練施設は、(8)に掲げる種種の事項に関係のある機関その他の関係団体の協力を得て、全国的に発展させるべきである。
5(1) 全国的段階での協力は、利害関係を十分に代表する一又は二以上の適当な団体を通じて達成すべきである。
 (2) 前記の団体は、同様に利害関係を代表する団体で地域的又は地方的水準で必要に応じて設置されるものの援助を受けるべきである。
6 経済活動の分野又は職業を代表する諮問委員会を設置し、同委員会は、関係職業の訓練の必要性を評価し、かつ、その職業に関する訓練計画を発展させることについて5にいう団体と協力すべきである。
7(1) 公立訓練所の訓練は、無料とすべきである。
 (2)  (1)の規定は、訓練生が訓練課程への出席を義務づけられておらず又は雇用され若しくは雇用を継続するための訓練を必要としていない場合には、訓練所が訓練料を徴収することを妨げるものではない。
 (3) 権限のある機関が実施し又は承認する訓練所における訓練の期間中は、賃金を取得していない成年者及び困窮している年少者は、経済的及び財政的事情が許す限り、次の事項を十分に考慮して決定される妥当な手当を権限のある機関から受けるべきである。
  (a) 前記の者が受けることができる失業給付その他の手当
  (b) 家族扶養の責任、当該地域における生活費及び交通費又は住宅費のような訓練に関連する特別な個人的経費並びに特殊な場合における年齢等のその他の要因
  (c) 成年者に対し、雇用市場の要求及び訓練を受けた者に対する社会の要求に応じて訓練を受けかつ修了するよう奨励する必要性
 (4) 企業内で訓練を受けている者は、法令、労働協約又は当該企業の規則で定める基準に従つて妥当な報酬を受けるべきである。
 (5) 公立職業訓練所及び同様の種類の公認私設訓練所への通所並びに公認された他の形式の訓練への参加は、事情により必要とされる場合には、無料の食事、作業衣、用具、設備及び教科書の供与、乗車賃の免除若しくは割引、扶助料若しくは家族手当、奨学金、貸付金若しくは給費又は宿泊所の供与等の形式で経済的援助を与えることにより容易にすべきである。
8(1) 企業内又は訓練所において訓練を受けている者、なかんずく年少者の労働条件が満足すべきものであること、特に、これらの者が行なう労働が本質的に教育的な性格のものであるように適当に制限されることを確保するため、措置を執るべきである。
 (2) 訓練所における訓練生の労働は、本来営利を目的とするものであつてはならない。
 (3) 訓練所又は訓練を行なう企業は、訓練生の労働中における安全及び保護に関する規則及び基準の設定及び適用を確保する責任を負うべきである。
9(1) 国の資格基準が定められている職業のための訓練は、高度の信頼性及び妥当性のある基準が画一的に定められている試験を含むべきである。これらの試験基準の遵守を確保するため、必要な措置を執るべきである。
 (2) 前記の試験の結果発給される証明書は、全国を通じて効力を認めるべきである。
 (3) 国の資格基準が存在しない場合にも、系統的な訓練課程を修了した者は、訓練所又は企業からその旨の証明書を受けることが望ましい。この証明書は、行なわれた訓練の主要な内容を明記すべきである。
10 訓練課程を修了した者は、取得した技能及び知識に応じた仕事を得るため、当該国の職業紹介機関による援助を与えられるべきである。この場合において、就業地の選択の自由を保障すべきである。

Ⅲ 協力のための措置

11(1) 訓練に関係があるすべての者、特に公の機関、教育機関、使用者団体及び労働者団体は、訓練制度の計画、発展及び運営について、また、一般に訓練問題の取扱いについて、あらゆる機会を捕えて相互に援助しかつ協議すべきである。
 (2) 訓練について責任を負うすべての者が訓練の行なわれる状況を十分に理解するため定期的に訓練所を訪問するように、措置を執るべきである。
 (3) 使用者団体及び労働者団体の代表者は、公立の訓練所の管理及びその技術的運営の監督について責任を有する機関に参加すべきである。この機関が存在しないときは、使用者団体及び労働者団体の代表者は、他の方法により、公立の訓練所の運営に緊密に関与すべきである。
 (4) 訓練所又は訓練を行なう権限のある機関と企業との間の協力は、特に訓練の一部を企業内で、一部を企業外の訓練所で行なう場合には、維持し、かつ、促進すべきである。
 (5)  (1)の規定の普遍性を害することなく、かつ、国内の事情の下で可能な限り、
  (a) 教育訓練機関、使用者団体、労働者団体その他直接関係のある者は、次のことについて協力すべきである。
   (i)  資格基準が必要であり又は望ましいと認められる職業を決定すること。
   (ii)  前記の資格基準及び適当な訓練教科を設定すること。
   (iii) 適当な試験を行ない、かつ、取得される資格の性質及び等級を決定すること。
  (b) 12にいう訓練の機会に関する情報を収集しかつこれを周知させることについては、完全な協力がなければならない。その協力には、初等学校、中等学校、技術及び職業教育機関、職業指導機関、職業相談機関、公共職業安定機関、使用者団体、労働者団体、職業団体並びに企業が参加すべきである。
  (c) 公共職業安定機関による援助は、次のことを含むべきである。
   (i)  雇用市場の動向の研究
   (ii)  現在及び将来の労働力需要の評価
   (iii) 訓練を受けた者の職業紹介

Ⅳ 訓練の機会に関する情報

12(1) あらゆる職業の訓練の機会に関する情報は、継続して収集すべきであり、かつ、すべての関係者及び関係機関の利用に供すべきである。
 (2) 前記の情報は、次のような事項問題を取り扱うべきである。
  (a) 与えられる訓練の種類
  (b) 各種の訓練の機関
  (c) 各種の訓練を受けるための条件
  (d) 雇用又は昇進の見込みに関するそれぞれの訓練の特徴
  (e) 訓練生が受けることができる財政的その他の援助の性質及び条件
  (f) 訓練の終りに行なわれる試験及び取得しうる資格
 (3) 前記の情報を周知させる方法は、適当なときは、次のものの全部又は一部を含むべきである。すなわち、面接、講義、小冊子、論文、ポスター、フィルム、フィルムストリップ、ラジオ談話、テレビジョン談話、事業所見学及び職業展示会

Ⅴ 職業指導及び選抜のための措置

13(1) 訓練の応募者、特に訓練を受けたことがない者は、訓練課程に入り又は職業を選択するに先だち、権限のある職業指導機関又は職業相談機関から個人指導の便益を受けることができる。
 (2) 労働者は、指導、再訓練又は継続訓練を受けるため、職業安定組織内において職業相談機関から便益を受けることができる。
14(1) 訓練生の選抜は、職業選択の自由を害することなく、個個の職業の要件及び特殊性に従つて行なうべきである。
 (2) 選抜の手続は、訓練生が自己に適していない職業の訓練を受ける危険及びその結果として生ずる訓練と人間的努力との損耗の危険を最少限度にとどめるようにすべきである。
 (3) 選抜の手続は、訓練生がその目的とする訓練及び職業に必要な肉体的及び精神的能力を有することを確かめるための措置を含むべきである。
 (4) 医学的検査は、選抜の手続の一部をなすときは、目的とする訓練及び職業の特殊な要件に基づいて行なうべきである。
 (5) 心理学的検査は、選抜の手続の一部をなすときは、当該国の事情に適合したものであり、十分に信頼しうるものであり、かつ、目的とする職業の要件に直接関連した基準から見て妥当なものでなければならない。

Ⅵ 事前の職業的準備

15(1) 事前の職業的準備は、まだ雇用されていない年少者に対し、各種の仕事について説明を行なうものでなければならない。その準備は、一般教育を害するものであつても、実際の訓練の最初の段階に代わるものであつてもならない。
 (2) 事前の職業的準備は、次のことを目的とし、かつ、年少者の年齢に適した一般的及び実際的な指導を含むべきである。
  (a) すでに受けた教育を継続し及び補足すること。
  (b) 実際の仕事について、概念を与え、興味及び尊重の念を呼び起こし、並びに訓練について関心を呼び起こすこと。
  (c) 職業的関心及び適性を発見し、これにより職業指導を容易にすること。
  (d) 将来の職業的適応を容易にすること。
 (3) 事前の職業的準備は、可能なときは、多くの職業に共通な設備及び材料に習熟させることを含むべきである。

Ⅶ 訓練の組織

16(1) 各職業のための訓練教科は、当該職業の発展及び予想される変動を十分に考慮して、その職業に必要な作業、技能、知識並びに衛生及び安全要因の組織的分析に基づき決定すべきである。
 (2) 訓練教科は、最新のものとしておくため定期的に検討すべきである。
17(1) 訓練教科は、すべての訓練生に対し、理論的及び実際的知識の堅実な基礎を与えるべきである。
 (2) 訓練生に対しては、当該職業に必要な作業、技能、知識並びに衛生及び安全要因に関する指導並びに社会立法の概要に関する指導のほかに、特に昇進を容易にするため、当該訓練生が従事することを望む職業及び経済活動の分野に関連する一般的知識を与えるべきである。
 (3) 一般教養科目は、長期訓練の教科に含めるべきであり、時間が許す限り、短期訓練の教科にも含めるべきである。
18(1) 教科及び訓練計画は、当該職業の一般的枠(わく)内における訓練生の将来の適応を助長するように作成すべきである。
 (2) この目的のため、長期訓練については、次のことに留意すべきである。
  (a) 訓練生に対し当該職業の理論的基礎について広い知識を与えること。
  (b) 訓練の初期においては、その後の専門化が最小限度の追加訓練又は再訓練により可能となるような技能及び知識の広い基礎を訓練生に与えるようにするため、専門化を回避すること。
19(1) 特定の職業に必要なすべての理論的及び実際的知識を訓練生に与えることができない企業は、必要に応じ、次のことを行なうべきである。
  (a) 次の一又は二以上の措置を執ることにより、訓練所においてその欠陥を補うこと。
   (i)  一日又は二日以上労働を免除すること。
   (ii)  毎年一度数週間にわたつて労働を免除すること。
   (iii) 企業内における相当の期間にわたる訓練を訓練所における相当の期間にわたる研修に振り替えること。
   (iv)  国内法令によりその他、訓練に関する適当な措置を執ること。
  (b) 共同訓練計画を設定し、かつ、運営すること(それぞれの施設の共同利用及び共同訓練センターの設立を含む。)。
  (2) (1)に掲げる措置に基づいて訓練所で研修を受ける企業の訓練生は、この目的のため、賃金を失うことなく労働時間中労働を免除されるべきである。
20 企業は、訓練所の訓練生に対し相当期間の実際的な職場訓練を行なうことにより、訓練所が設定した訓練計画の実施に協力すべきである。
21(1) 他の訓練を受けていないすべての年少労働者については、十八歳に達するまで、その従事する職業に関連する一層高度の一般教育及び技術的知識を与えるための補足訓練課程を受けさせるべきである。
  (2) 年少労働者については、19(2)に定める条件で前記の課程を受けうるようにすべきである。
22 自己の一般的、技術的及び商業的知識の向上を望むすべての労働者については、その昇進を容易にし、これによりその社会的及び経済的地位を改善するため補足訓練課程を受けさせるべきである。
23 訓練期間は、次のことを考慮して決定すべきである。
  (a) 習得すべき技能及び知識の水準及び種類
  (b) 用いられる訓練の方法及び手段
  (c) 訓練を受けるために必要な最低の資格及び訓練生が訓練を受ける際に現に有する資格
  (d) 成年者については、過去の職業経験及び雇用のためできる限り短期間に資格を与える必要性
24 身体的又は精神的欠陥のある年少者及び成年者の訓練並びに能力の乏しい年少者の訓練については、特別の注意を払うべきである。

Ⅷ 訓練の方法及び手段

25 訓練の方法は、課程の性質並びに訓練生の教育水準、年齢、地位及び従来の経験に適応させるべきである。
26 原則として、訓練生を能動的に参加させる方法を知識の一方的な伝達の方法に優先させるべきである。
27(1) 訓練は、できる限り実際的でなければならない。
 (2) 訓練所における実技訓練は、
  (a) 企業の条件及び環境にできる限り類似した条件及び環境の下で行なうべきである。
  (b) 訓練生が作業環境に親しむとともに職場における通常の作業速度及び技能を習得することができるように、可能かつ必要なときは、企業における実地訓練の期間を含み、又はその期間をもつて完結すべきである。
28(1) 職場以外の場所で行なわれる実技訓練は、当該職業に必要な作業実施及び適当なときは実際の作業経験を含むべきである。
 (2) 前記の作業経験は、当該訓練が必要とするものでなければならず、また、訓練生の使用により通常の労働者がこれと競争する立場に置かれないように、適当な保障措置を執るべきである。
 (3) 職場訓練において訓練生に割り当てられる作業は、実際の訓練価値のあるものでなければならない。
29 訓練実習は、訓練生が現在受けている訓練の実際的適用及び生産された物品の効用を理解しうるように計画すべきである。
30(1) 複雑な作業は、単純な要素に分解すべきである。
 (2) 訓練生は、ある作業を容易に遂行することができるようになつた後に次の作業に進むべきであり、また、単純な作業から複雑な作業に進むべきである。
31 理論(訓練課程の一部として授けられる一般教育を含む。)は、できる限り、目的とする職業に関連して教えるべきである。
32 技術指導及び関連指導は、実技訓練と組み合せて行なうべきであり、また、可能なときは、実技訓練と統合すべきである。
33 指導の速度は、訓練生の習得能力に合わせて調節すべきであり、また、随時修正すべきである。
34 訓練生に対しては、特に職場訓練の場合には、組織的に技術的監督を行なうため措置を執るべきである。
35 実施した訓練及びその進度は、詳細に記録しておくべきであり、また、訓練生に対しては、受けた訓練について各自が詳細に記録すること及び自己の実績を検討する習慣を養うことを奨励すべきである。
36(1) 指導用具は、習得課程を容易にするため、適当なときはいつでも利用すべきである。
 (2) 責任のある訓練機関は、最新の訓練技術及び指導用具類を十分に理解し、かつ、その利用を確保すべきである。
37 訓練施設は、特に遠隔の地において、地方住民の訓練の必要を満たさないときは、適宜次の一又は二以上の方法により補足すべきである。
  (a) 地方の事情に適応した通信指導
  (b) 巡回指導員及び移動訓練班
  (c) ラジオ、テレビジョンその他のマス・コミュニケーションの手段による指導
  (d) 他の地方にある訓練所の訓練課程に出席するため、毎年一度数週間にわたつて訓練生に与えられる企業の労働からの免除
  (e) 他の地方で訓練を受けることができるようにするためのその他の措置、たとえば補助金、奨学金及び交通又は宿泊に関する便益等

Ⅸ 企業が行なう訓練

38(1) 使用者は、訓練された労働者に対する需要を満たすため必要な措置に関して、方針を樹立すべきである。
 (2) 個個の使用者又はその集団に対しては、その雇用の必要に従い、かつ、その企業の技術的作業条件の許す範囲内で、組織的な訓練計画を設定するよう奨励すべきである。
39 使用者は、企業内の訓練計画の立案及び実施について、その企業に雇用されている労働者の代表者と協議しかつ協力すべきである。
40 訓練問題に関する企業内における責任は、当該企業の訓練の必要の性質及び程度に応じ、特別の訓練担当部局又は一若しくは二以上の常勤若しくは非常勤の者に対し明確に割り当てるべきである。
41 訓練担当部局又は訓練担当者の任務は、次のことを含むべきである。
  (a) 訓練の方針を提案すること。
  (b) 関係部局と協議して訓練計画の立案を確保すること。
  (c) 訓練生の選抜に参加すること。
  (d) 指導員の訓練を確保すること。
  (e) 企業内の訓練を監督すること。
  (f) 企業外で行なう指導及びその指導と企業内で行なう指導との調整について、企業に代わつて措置を執ること。
  (g) 訓練生の進度を記録し、かつ、その記録を保持すること。
  (h) 訓練については、効果のあつた訓練方法を考慮に入れることを確保すること。
  (i) 訓練が能率的なかつ最新式のものであることを確保するため、調査及び研究を行ない、奨励し、又は援助すること。
42 企業は、適当なときは、訓練の全期間を短縮し、かつ、訓練の能率を増大するため、訓練生が最初の相当期間にわたる広範な基礎訓練を全面的に訓練所で受けうるように措置を執るべきである。
43 訓練生は、訓練に関し、企業内であると企業外であるとを問わず訓練のあらゆる段階において、訓練担当部局又は訓練担当者の一般的な監督及び管理の下に置くべきである。
44(1) 企業内のいかなる場所で訓練を行なうかを決定するにあたつては、次の要因を考慮すべきである。
  (a) 訓練の性質及び期間
  (b) 訓練生の数、年齢、知識及び経験
  (c) 当該職業に対する職場訓練の適否
  (d) 通常の作業場における雑踏、騒音その他注意の集中を妨げるもの、安全要因及び設備破壊の危険
  (e) 時間、指導員及び設備の節約
  (f) 独立の訓練施設に要する費用
  (g) 訓練から仕事への転換をできる限り容易にする必要性
  (h) 企業の技術的可能性
 (2) 訓練の初期の段階においては、独立の訓練施設又は少なくとも通常の作業場内で区画されかつ訓練に必要な設備を備えた訓練の場所を可能なときはいつでも設けるべきである。
45(1) 企業は、すべての新規採用者について、受入れのための措置を執り、かつ、入職訓練期間を設けるべきである。
 (2) 年少者の受入れについては、その訓練の必要を考慮して、特別の注意を払うべきである。

Ⅹ 徒弟制度

46 徒弟訓練を認められた職業のための組織的長期訓練で実質的に企業内又は独立の熟練職人の下で行なわれるものは、書面による徒弟契約により規制すべきであり、かつ、所定の基準に従うことを条件とすべきである。
47 特定の職業について徒弟訓練を認めるべきかどうかを決定するにあたつては、特に次の事項を考慮すべきである。
  (a) 当該職業に必要な技能及び理論的技術的知識の程度
  (b) 必要な技能及び知識の習得に要する訓練期間
  (c) 必要な技能及び知識の習得に対する徒弟訓練の適否
  (d) 当該職業における現在及び将来の雇用状況
48(1) 徒弟契約は、個個の使用者、使用者の団体又は徒弟制度委員会若しくは徒弟制度の管理を特に委任された機関のような団体のうち、国内事情に最も適したものと締結すべきである。
 (2) 徒弟が年少者である場合には、親、後見人又は法律上の代理人は、当事者として契約に参加すべきである。
 (3) 徒弟訓練の実施に責任のある当事者は、その訓練を行なう適当な資格を有する者、又はそのような資格を有する者に訓練を行なわせるための措置を執りうる者のいずれかでなければならず、また、徒弟の訓練に供される施設は、徒弟が訓練を受ける職業について完全な訓練を習得しうるものでなければならない。
 (4) 権限のある機関は、訓練を実施する企業又は人と定期的に連絡し、かつ、定期的な検査又は監督により、徒弟訓練の目的が達成されることを確保すべきである。
49 前記の契約は、次のことを含むべきである。
  (a) 特定の職業について徒弟期間中徒弟として働くという明示的又は黙示的義務に対応して、当該職業について訓練を行なうという明示的又は黙示的義務を含むこと。
  (b) 当該職業について定める基準及び規則で当事者のため必要であり又は望ましいものを織り込むこと。
  (c) その他の相互の権利及び義務で関連がありかつ他に定めのないもの(特に安全規則の遵守を含む。)を定めること。
  (d) 当事者間の紛争の解決について定めること。
50 当該国の事情に応じ、特定の職業について徒弟訓練を認めることができ、また、46にいう基準及び徒弟制度に関する規則は、次のいずれかにより定めることができる。
  (a) 法令
  (b) 徒弟制度の管理を特に委任された機関の決定
  (c) 労働協約
  (d) これらの組合せ
51 徒弟訓練を認められた各職業に関しては、徒弟制度を規制する基準及び規則について特に次のことを考慮すべきである。
  (a) 徒弟訓練への入門のため必要な教育的資格及び最低年齢
  (b) 所定の最高年齢をこえる労働者の特例のための措置
  (c) 必要な技能及び理論的技術的知識の程度を考慮した徒弟訓練期間(試用期間を含む。)
  (d) 徒弟のこれまでの訓練若しくは経験又は徒弟訓練期間中の進度に照らして、通常の徒弟訓練期間を短縮しうる程度を決定する措置
  (e) 作業工程表、予定の理論の指導及び関連指導並びに各単位科目の所要時間
  (f) 訓練所に出席するための一日又は二日以上の労働の免除その他適当な形式の労働の免除
  (g) 徒弟訓練の期間中又はその修了の時に行なう試験
  (h) 徒弟訓練の修了により取得しうる資格又は証明書
  (i) 十分な訓練を確保し、当該職業における人員過剰を防ぎ、及び関係経済活動分野の労働力の需要に応ずるために必要な徒弟数の規制
  (j) 徒弟に支払うべき賃金率及び訓練期間中の昇給表
  (k) 疾病による欠勤の場合の賃金支払の条件
  (l) 災害保険
  (m) 有給休暇
  (n) 徒弟制度を規制する規則が遵守されること、訓練が所定の基準に合致していること及び徒弟訓練の条件が十分な画一性を保つていることを特に確保するため徒弟訓練に対して行なわれる監督の性質及び程度
  (o) 徒弟及び徒弟契約の適当な機関への登録
  (p) 徒弟契約の形式及び内容
52 徒弟は、生ずることがある新たな事故の場合を考慮に入れて、工具及び機械の使用について安全作業の習慣を養いかつ一般的安全措置の遵守を学ぶように、包括的な安全指導を受けるべきである。
53(1) 徒弟訓練への入門に先だち、あらゆる場合に、その訓練の対象とする職業の要件に関連する包括的な職業指導及び医学的検査を行うべきである。
 (2) 目的とする職業が特別の身体的素質又は精神的適性を必要とする場合には、それらの素質及び適性を特定し、かつ、これについて特別の試験を行なうべきである。
54(1) 徒弟のいずれかの企業から他の企業への移動は、その訓練の完成のために必要であり又は望ましいと認めるときは、すべての関係者間の合意により可能にすべきである。
 (2) 数種類の徒弟訓練制度が存在する場合において、徒弟のいずれかの種類の訓練から他の種類の訓練への移動は、その適性から見て有利であるときは、すべての関係者間の合意により可能にすべきである。

ⅩⅠ 速成訓練

55(1) 速成訓練のための恒久的制度は、
  (a) 訓練を受けた労働者に対する緊急な需要を満たしかつ工業化の速度を促進するため、
  (b) 労働者を技術的進歩に適合させる恒常的手段として、
  (c) 年齢及び能力に適した職業につくため、職業上の資格の急速な習得を必要とする種類の人のため、
  (d) 職業的及び社会的昇進を促進するため
  組織すべきである。
 (2) 速成訓練のための恒久的制度は、適当な教育方法に従つて計画され、この目的のために特に訓練された指導員により実施され、及び産業に直結する具体的な技術に基礎を置くべきである。
56 速成訓練は、次のことにより達成すべきである。
  (a) 速成訓練の受講を許されるすべての訓練生が、その課程について定められた時間内に必要な知識及び技能を習得する能力を備えていることをできる限り確保するため、厳格な選抜手続を適用すること。なお、この場合、応募者で、新たな職業に役だつ職業経験を有するものには、優先権を与えること。
  (b) 職業につくため直接必要な技能及び知識であつて当該職業及びこれに含まれる作業の徹底的な分析に基づくものを訓練生に与える段階的実習及び関連理論を示した詳細な指導要目を使用すること。
  (c) 実技訓練を中心に置くこと及び必要な理論的技術的知識を実技訓練の課程において教えること。
  (d) 利用しうる時間を考慮して各訓練生に対しその指導の全段階を通じ絶えず周到な監督を行ないうる程度まで、各級の訓練生の数を制限すること。
  (e) その他25から37までに掲げる訓練の方法及び手段で特に適当と認めるものを適用すること。
57(1) 訓練生は、速成訓練の課程の修了後できる限りすみやかに仕事につき、そこで必要な入職訓練を受けた後、必要に応じ職場訓練により速成訓練を補完させるべきである。
 (2) 速成訓練の修了後生産過程に参加している者は、その多能性及び技能を増大するために組織される訓練課程への参加の機会を持つべきである。

ⅩⅡ 職長以下の監督者の訓練

58(1) 監督者は、その職務を十分に遂行しうるように、特別の訓練を受けるべきである。
 (2) 前記の訓練は、必要に応じ、次のものを含むべきである。
  (a) 一層高度の一般教育
  (b) 一層高度の技術的訓練及び経験
  (c) 次のことに関する指導
   (i)  統率及び人間関係(労使関係並びに紛争の防止及び解決の手続を含む。)
   (ii)  管理手続
   (iii)  作業の指導方法
   (iv)  労働安全及び衛生
   (v)  企業の各段階における調整
   (vi)  責任のある職務への適応
   (vii)  作業方法
   (viii) 労働法規
   (ix)  計画、作業研究及び原価計算のような専門的分野の活動
 (3) 監督者は、職業相談に関し、その役割及び重要性並びにこの分野の専門家によるその実施の必要性を認識するため、十分な指導を受けるべきである。
59(1) 原則として、初歩の監督者訓練は、監督者としての職務につくに先だつて行なうべきであり、これが不可能なときは、その職務についた直後に行なうべきである。
 (2) 監督者に対しては、恒常的に継続訓練を行うべきである。その訓練は、一般に企業内及び監督者自身の専門分野における進展についての情報の供与を含むべきであり、また、適当な場合には昇進の基礎となるものでなければならない。

ⅩⅢ 訓練所及び企業における指導員

60 指導員の選抜は、次のことを十分に考慮して行なうべきである。
  (a) 一般教育、技術的資格及び経験、性質、人格並びに指導の適性
  (b) 指導を必要とする者
  (c) 指導の性質
  (d) 適用される国内基準
61 一般教育科目担当の指導員は、一般教育施設においてこれらの科目の指導員に通常必要とされる資格を有する者のうちから採用すべきである。
62 理論的技術的課程担当の指導員は、訓練の種類に従い、次に掲げる者のうちから採用すべきである。
  (a) 指導すべき職業についての確実な理論的知識、一般教育の十分な背景及び指導能力を有するほか、その職業について訓練を受けかつ数年の経験を有する者
  (b) 適当な経験及び大学、専門学校、教員養成所又は公の機関の認可する団体における適当な訓練の後与えられる資格又は卒業証書を有する者
63(1) 実技課程担当の指導員は、62(a)に定める資格を有する者のうちから採用すべきである。
 (2) 望ましい資格の全部を有する実技課程担当の指導員を採用することができない場合には、高水準の一般教育よりも専門的能力、職業的経験及び指導能力を重要視すべきである。
64 監督者の任務に関する課程を担当する指導員は、技術的訓練及び一般教育の十分な背景を有するほか、監督者として訓練を受けかつ監督者として数年の経験を有する者のうちから採用すべきである。
65 工業、商業及び自由職業に従事する者の経験は、訓練所の特別の科目の非常勤指導員としてそれらの者を採用することにより、できる限り利用すべきである。
66 原則として、初歩の指導員訓練は、指導員としての職務につくに先だつて行なうべきであり、これが不可能なときは、その職務についた直後に行なうべきである。
67(1) 訓練所又は企業において常勤又は非常勤職員として採用される指導員は、その指導能力並びに必要なときはその専門的能力及び一般教養を発展させるため、指導実習を含む特別の訓練を受けるべきである。
 (2) 訓練所の指導員のための前記の指導実習は、指導員養成所をできる限り通常の訓練所と結合させることにより、その実施を容易にすべきである。
 (3) 訓練所及び企業の指導員は、安全問題に関し、特に指導を行なう職業における作業条件並びにその職業で使用される工具及び設備の操作に関し、特別の訓練を受けるべきである。
 (4) 指導員に対しては、恒常的に継続訓練を行なうべきである。その訓練は、指導員に対し指導上及び技術上の進歩を十分に理解させかつ昇進の資格を取得させるものでなければならない。
 (5) また、次のことを継続訓練の手段として考慮すべきである。
  (a) 企業又は訓練所の定期的見学の組織及び、個個の指導員又は指導員の集団のための勤務時間内課程、週末課程又は休日課程のような特別課程の組織
  (b) 旅行若しくは研究のための奨学金又は有給若しくは無給の特別休暇の特別の場合における供与
68 一般教育及び理論的技術的科目の指導員は、その訓練の一部として、訓練生が従事することを希望し又はすでに従事している活動部門に関する知識を習得すべきである。
69 訓練所の実技課程担当の常勤指導員は、企業において随時実際の仕事を行ないうるようにすべきである。
70 監督者の任務に関する課程を担当する指導員の訓練は、58に掲げる事項のうち必要とされるものに関する追加指導並びに監督者訓練の方法及び技術に関する指導を含むべきである。
71(1) 訓練所に有能な指導員を獲得しかつ維持するため、その指導員の雇用条件は、指導に必要な特別の資格を十分に考慮して、同様の知識及び経験を有し、教職以外の職務に雇用されている者が享有する雇用条件と比較して有利なものでなければならない。
 (2) 企業内の指導員についても、同様の方針を適用すべきである。
72 訓練所の指導員について国の資格基準が設定されている場合には、訓練を行なう企業に対し、適当なときは、同企業の指導員にその基準を適用することを奨励すべきである。
73 訓練所の直接の監督又は技術的管理に関与する者は、可能なときは、生産及び指導のいずれの経験をも有すべきである。
74 権限のある機関は、訓練所の指導員に対し、その業務について援助を与えかつその指導を改善するため、定期的な検査又は監督を行なうべきである。

ⅩⅣ 工業化の過程にある国

75(1) 工業化の過程にある国は、この勧告の規定に従つて漸進的に自国の訓練制度を発展させることを目標とすべきである。
 (2) 工業化の過程にある国は、その現在及び将来の労働力の需要及び供給の状態を明らかにすることに主たる注意を払うべきである。
 (3) 前記の需要を満たすための訓練施設の設置及び発展の計画は、事情に応じ次のことに十分な優先順位を与えて、立案すべきである。
  (a) 資格のある指導員の組織の設立
  (b) 訓練に必要な土地及び建物の供与
  (c) 読み書きのできない訓練生に読み書きを教える訓練課程を含む最も適当な訓練計画の発展
 (4) 前記の計画は、所定の優先順位に従つて実施すべきである。
76(1) 工業化の過程にある国は、次の者の訓練の必要に応ずるため、特別の措置を執るべきである。
  (a) 工業活動の開始が予定されている農村地域に居住する者
  (b) 農村地域の出身の者で、都市地域において工業への雇用を求めている者
 (2) 前記の措置は、少数の基本的職業を対象とする簡易訓練作業場のような特別の訓練所を特に農村に設置すること並びに当該地方の農民の教育水準及び開発程度に適合するように訓練方法を調整することを含むべきである。
 (3) 農村地域における訓練は、当該地域の天然資源を利用し、かつ、その地域の住民の文化的伝統と両立する新たな経済活動を発展させる可能性を考慮すべきである。
77 工業化の過程にある国は、次のことが望ましいかどうかについて検討すべきである。
  (a) 隣接諸国との間で共同訓練施設を設置すること。
  (b) 訓練計画の実施について国際的援助を得ること。

ⅩⅤ 国際的協力

78(1) 各国は、訓練の分野において、できる限り、また、希望するときは国際機関の援助を得て、協力すべきである。
 (2) 前記の協力は、次のような措置にまで拡大すべきである。
  (a) 相互に関係のある訓練問題に関するセミナー及び作業班の組織
  (b) 他国の選抜された人員がその国で習得しえない技能、知識及び経験を訓練生交換その他の方式により習得しうるように訓練施設を利用に供すること。
  (c) 訓練関係者が他国における訓練方法に精通しうるように海外見学を組織すること。
  (d) 訓練の組織化を援助するため一国から他国へ経験のある人員を派遣すること。
  (e) 資格のある人員を交換すること。
  (f) 訓練用の教科書その他の教材を作成し、かつ、供給すること。
  (g) 訓練問題に関する情報を組織的に交換すること。
  (h) 工業化の過程にある国が自国の訓練制度を設定しかつ発展させ、及び資格のある指導員を養成することに対し援助を与えること。
79 次のことを考慮すべきである。
  (a) 海外での訓練及び職業間の移動を容易にするため一群の国の間で同一職業に対する訓練の水準を漸進的に等しいものにすることの可否及び可能性
  (b) 同一職業に対する訓練の水準が比較可能である領域における試験証書の相互承認の可能性
  (c) 移民の訓練に特に有用な職務解説のような職業情報の作成及び交換

ⅩⅥ 従来の勧告に対する効果

80 この勧告は、千九百三十九年の職業訓練勧告、千九百三十九年の徒弟制度勧告及び千九百五十年の職業訓練(成年者)勧告に代わるものとする。