1949年の移民労働者勧告(改正)(第86号)
1949年07月01日
移民労働者に関する勧告(第86号)
(1949年改正)
国際労働機関の総会は、
国際労働事務局の理事会によつてジユネーヴに招集され、且つ千九百四十九年六月八日を以てその第三十二回会議を開催し、
この会議の会議事項の第十一項目に含まれている第二十五回総会により採択された千九百三十九年の移民労働者勧告及び千九百三十九年の移民労働者(各国間の協力)勧告の改正に関する提案の採択を決議し、且つ
この提案は勧告の形式によるべきものなることを決定したので、
千九百四十九年の移民労働者勧告(改正)として引用することができる次の勧告を千九百四十九年七月一日に採択する。
総会は、
千九百四十九年の移民労働者条約(改正)を採択したので、
その規定を勧告により補足することを希望し、
次の通り勧告する。
Ⅰ
1 この勧告において、
(a) 「移民労働者」と称するのは、自己の計算以外において使用される目的を以て一国から他国へ移民する者をいい、且つ移民労働者として通常認められる者を包含する。
(b) 「募集」と称するのは、次のものをいう。
(i) 一領域における者を他の領域における使用者のために雇入れること。又は
(ii) 一領域における者に他の領域における労務を提供することを約すること。
及び出移民を探し求め、且つこれを選考すること並びに出移民の出発準備を含む(i)及び(ii)に掲げられる活動に関連する措置を執ること。
(c) 「移入」とは、この条(b)の意味において募集された者の一領域への到着又は入域を確保し又は容易にするための活動をいう。
(d) 「職業紹介」とは、この条(c)の意味において移入された者の労務を確保し又は容易にするための活動をいう。
2 この勧告において、出移民の領域の政府又は権限ある機関に関係ある事項は、避難民又は移動者である移民については国際文書の条件に従い設置され、且つどこの政府の保護も受けない避難民及び移動者の保護について責任を有する機関に関係ある事項として解釈されなければならない。
3 この勧告は、次のものに適用しない。
(a) 国境労働者
(b) 自由職業に従事する者及び芸術家の短期間の入国
(c) 海員
Ⅱ
4(1) 労務のすべての可能性を発達させ及びこれを利用し、且つこのために労働力の国際的配分特に労働力の過剰な国からその不足している国への労働力の移動を促進することは、加盟国の一般政策でなければならない。
(2) 各加盟国により執られる措置は、その国における労働力事情を充分考慮し、且つ政府は、移民労働者に関するすべての一般問題について使用者及び労働者の適当な団体と協議しなければならない。
Ⅲ
5(1) 移民を援助し、且つ特にこれに精確な情報を提供するため各国において設けられる無料施設は、次のものにより経営されねばならない。
(a) 公の機関
(b) 営利の目的を以て運営されない一又は二以上の任意的機関であつて公の機関により承認され、且つ右機関の監督に服するもの、又は
(c) 一部は公の機関、且つ一部はこの項の(b)に掲げられる条件を具備する一又は二以上の任意的機関
(2) かかる施設は、出移民、入移民、目的地における衛生状態を含む雇用及び生活条件、出身国又は出移民国への帰還、並びに一般的に移民としての資格においてこれに関係あるその他の問題に関し、移民の自国の国語若しくは方言又は少くともかれらが諒解することができる用語を以て、移民及びその家族に助言しなければならない。
(3) かかる施設は、管理上の手続の履行及び移民の出身国又は出移民国への帰還に関連して執られるその他の措置に関し、必要に応じ、移民及びその家族に便宜を供しなければならない。
(4) 移民の適応性を促進する目的を以て、入移民国において現存する一般状態及び労働の方法について移民に知らせ、且つその国の用語で移民を教育するため必要の場合、準備的講習会を設けなければならない。出移民国及び入移民国は、かかる講習会を設けることに相互に同意しなければならない。
6 加盟国は、出移民についての制限に関する管理規定及び出移民に与えられる便宜並びに出移民を希望する者の種類に関する適当の詳細を含む、出移民に関する法令及び規則に関する情報を要求に基き国際労働事務局及びその他の加盟国に提供しなければならない。
7 加盟国は、管理規定、必要な場合における入国許可証、希望される入移民の数及び職業的資格、移民労働者の入国に関する法令及び規則並びに移民に与えられる特別の便宜及び入移民国の経済的及び社会的組織への移民の適応性を促進するための措置を含む、入移民に関する法令及び規則に関する情報を要求に基き国際労働事務局及びその他の加盟国に提供しなければならない。
8 出移民、入移民又は移民の雇用が許される条件を変更する措置については、出移民する準備をしている者に間に合うように知らせるため、これが公布と実施との間にできるだけ合理的期間を置かなければならない。
9 前項に掲げられる主な措置を適当の時に充分知悉させるための措置を講ずべく、右の知悉方法は、移民に最も普通に知られている用語によらなければならない。
10 移民は、次のことのために適当であるが如き措置によつて、これを容易にしなければならない。
(a) 移民労働者が入移民国に到着の際必要な場合に適当な宿泊設備、食物及び被服を供されることを確保するため
(b) 移民労働者をして入移民国において要求される資格を得しめるよう必要な場合に職業訓練を確保するため
(c) 通貨の移出及び移入に関する国内の法令及び規則により許される限度を考慮し、移民労働者の所得及び貯金であつて移民が希望するその一部の移送を許可するため
(d) 永久的移民については、通貨の移出及び移入に関する国内の法令及び規則により許される限度内で、移民労働者が希望する場合その資金を入移民国へ移送することを取計うため
(e) 移民及びその家族員を学校に通わせるため
11 移民及びその家族員は、レクリエーシヨン及び福利施設を利用することにおいて援助されるべく、且つ入移民国における最初の定着期間中特別の施設を利用させることを確保するため必要な場合措置を講じなければならない。
12 政府の監督の下に行われる集団移民については、医的援助は、内国人と同様の方法でかかる移民にこれを拡張しなければならない。
Ⅳ
13(1) 移民のため必要な場合には、加盟国は、使用者のために移民労働者の募集、移入又は職業紹介を行う仲介者が使用者よりの証明書又は使用者のために行動していることを示すその他の書類を得なければならないことを要求しなければならない。
(2) この書類は、出移民国の公用語を以て作成し又はこれに翻訳し、且つ使用者、仲介者が行う募集、移入又は職業紹介及び提供される労務(報酬を含む。)に関するすべての必要な詳細を掲げなければならない。
14(1) 移民労働者の技術的選考は、移民が必要な労働を遂行する資格があることを確保すると同時にできるだけ少なく移民を制限するが如き方法を以てこれを行わなければならない。
(2) かかる選考の責任は、次のものにこれをまかせなければならない。
(a) 公の機関、又は
(b) 適当な場合には、出移民領域の権限ある機関により適法に許可され、且つ移民の利益のため必要の場合には入移民領域の権限ある機関により監督される民間機関
(3) 選考に従事する権利は、当該領域の法令及び規則により、又は出移民領域の政府と入移民領域の政府との間の協定により規定されるが如き場合及び条件において、その選考の行為が行われる領域の権限ある機関の事前の許可をうけるものとしなければならない。
(4) 移民労働者は、できる限り出移民領域から出発するに先立つて、入移民領域の権限ある機関の代表者により職業的及び医学的選考のため、検査されねばならない。
(5) 募集が相当大規模に行われる場合には、関係ある出移民領域及び入移民領域の権限ある機関の間の密接な連絡と協議のため、取極が結ばれねばならない。
(6) 本節の前各項に掲げられる行為は、移民志望者が募集される場所にできる限り近い所で行われねばならない。
15(1) 永久的に移入された移民労働者にその家族を同伴し、又はその家族が移民の許に後から赴くために与えられるべき許可のための措置は、協定によりこれを講じなければならない。
(2) 移民に同伴し又は移民の後より赴くことを許可された家族の移動は、出移民国及び入移民国の双方により特にこれを促進しなければならない。
(3) 本節において、移民労働者の家族とは、妻及び未成年の子供を含むものとする。移民に扶養される家族を含むことの要請については好意的考慮を払わねばならない。
Ⅴ
16(1) 一領域に居住することを許可された移民労働者及び移民に同伴し又は移民の後より赴くことを許された家族は、できるだけ、その国の国民と同一条件において雇用を許されねばならない。
(2) 移民の雇用が制限されている国では、これらの制限は、できる限り、
(a) その国に一定期間定住している移民には適用されないものとしなければならない。尤も右の一定期間の長さは原則として五箇年を超えてはならない。
(b) 移民自身に適用されなくなると同時に移民に同伴し又は移民の後より赴くことを許された妻及び労働年令の子供にも適用されないものとしなければならない。
17 移民労働者の数が相当多い国においては、かかる労働者の雇用条件は特別の監督下にこれをおくべく、かかる監督は、事情により、特別の監督施設又は労働監督官その他この業務専門の他の官吏がこれを行うものとする。
Ⅵ
18(1) 移民労働者が一加盟国の領域に常時的に入域を許可される場合には、該加盟国は、できる限り、かかる移民及びその家族が資産の欠乏又は雇用市場の状態のためにその領域から移動させることを抑制しなければならない。但しそのための協定が関係ある出移民領域と入移民領域との権限ある機関の間に締結されている場合は、この限りではない。
(2) かかる協定は、次のことを規定しなければならない。
(a) 該移民が入移民領域に滞在する期間を考慮すべく、且つ原則として五箇年を超えてその領域に滞在するいかなる移民もこれを移動せしめてはならないこと。
(b) 移民は、失業保険給付を受ける権利を全部行使していなければならないこと。
(c) 移民は、特にその財産を処理するため余裕の与えられるよう適当な予告を与えられねばならないこと。
(d) 移民及びその家族の輸送のため適当な措置が講ぜられたこと。
(e) 移民及びその家族が人間らしい方法で取扱われることを確保するため必要な措置が講ぜられたこと。
(f) 移民及びその家族の帰還費及びその最終目的地への家事用品の運送費は、移民の負担になつてはならないこと。
19 移民労働者の募集、移入及び職業紹介の行為について使用者及び労働者の団体に協議するため、関係ある領域の機関は、適当な措置を講じなければならない。
Ⅶ
20 移民労働者又はその家族であつて、その出身国の国籍を保有している者が出身国に帰る場合においては、その国は、その国又は地方における以前の居住又は雇用に関する条件をこれらの者に免除することにより、貧民救済金及び失業救済金を与え且つ失業者の再就職を促進するため、現行措置の恩典をこれらの者に賦与しなければならない。
Ⅷ
21(1) 加盟国は、適当な場合において条約及び勧告に定められた原則を適用する方法を定むべき双務協定によつて、千九百四十九年の移民労働者条約(改正)及びこの勧告の前数節を補足しなければならない。
(2) かかる協定を締結するに当つて加盟国は、移民労働者の組織並びに避難民と移動者とを含む移民の輸送及び雇用の条件の規律のため適当な条項を設ける上において、この勧告の附録の模範協定の規定を参酌しなければならない。
〔附 録〕
[条文中の太字(表題を除く)は主として永久的移民に関し、括弧内は専ら避難民及び移動者に関する。]
避難民及び移動者の移民を含む労務のための一時的及び永久的移民に関する模範協定
第 一 条 (情報の交換)
1 入移民領域の権限ある機関は、出移民領域の権限ある機関に対し〔又は避難民及び移動者については、如何なる政府の保護もうけない避難民及び移動者の保護の責を有する国際文書の条項に従つて設置された機関に対し〕次にかかげる事項について定期的に適当な情報を提供しなければならない。
(a) 移民及びその家族の入国、就職、居住及び定着に関する法律上及び管理上の規定
(b) 需める移民の数、種類及び職業上の資格
(c) 移民の生活及び労働条件、特に職種及び雇用地域別の生計費、最低賃金、若しあるとすれば補足手当、利用しうる雇用の性質、若しあるとすれば従業賞与、社会保障制度、医的援助、移民とその工具及び所持品との運送に関する規定、住宅条件、衣食の供給規定、移民の貯金及びこの協定により支払われるべき金額の移送についての措置
(d) 若しあるとすれば移民のための特別施設
(e) 移民のための普通教育及び職業訓練のための施設
(f) 移民の急速な順応を促進する為の措置
(g) 帰化のため必要とされる手続及び書式
2 出移民領域の権限ある機関〔又は避難民及び移動者については、如何なる政府の保護もうけない避難民及び移動者の保護の責を有する国際文書の条項に従つて設置された機関〕は、利害関係のある人又は団体に対し、この情報を知らせなければならない。
3 出移民領域の権限ある機関〔又は避難民及び移動者については、如何なる政府の保護もうけない避難民及び移動者の保護の責を有する国際文書の条項に従つて設置された機関〕は、入移民領域の権限ある機関に対し、次にかかげる事項に関して適当な情報を提供しなければならない。
(a) 出移民に関する法律上及び管理上の規定
(b) 出移民志望者の数及び職業上の資格並にその家族の構成
(c) 社会保障制度
(d) 若しあるとすれば移民のための特別施設
(e) 移民の慣れている環境及び生活条件
(f) 資本移出に関する現行規定
4 入移民領域の権限ある機関は、この情報に対し、関係ある人又は機関の注意を喚起しなければならない。
5 上掲1より4までに掲げた情報は、両当事国より国際労働事務局にも伝達されねばならない。
第 二 条 (欺瞞的宣伝に対する措置)
1 両当事国は、夫々の領域について、出移民及び入移民に関する欺瞞的宣伝に対する国内の法令及び規則の許す範囲に於けるあらゆる実際的措置をとることに同意する。
2 この目的のため、両当事国は、適当な場合には、関係他国の権限ある機関と協力して行動するものとする。
第 三 条 (管理上の手続)
当事国は、移民及びできうる限りその家族の出発、旅行、入国、居住及び定着に関する管理上の手続の実行を迅速且つ簡便にするため、措置をとることに同意する。かかる措置は、それが必要な所では通訳事務の規定を含むものとする。
第 四 条 (書類の効力)
1 当事国は、移民及びその家族について出移民領域の権限ある機関〔避難民及び移動者については、如何なる政府の保護もうけない避難民及び移動者の保護の責を有する国際文書の条項に従つて設置された機関〕が、(a)公民としての身分、(b)法律上の身分、(c)職業上の身分、(d)普通教育及び職業訓練、及び(e)社会保障制度への参加について書類が入移民領域に於て認められるために充たされるべき条件を定めなければならない。
2 当事国は、かかる承認の申請をも決定しなければならない。
〔3 避難民及び移動者については、入移民領域の権限ある機関は、出移民領域の権限ある機関が国定のパスポートの代りに出した旅行証明書並びに特に国定の条項にしたがつて出された旅行証明書(例えば一九四六年十月十五日の協定によつて定められた旅行証明書及びナンセン・パスポート)の効力を認めなければならない。〕
第 五 条 (移民の条件及び基準)
1 当事国は、共同して次のことを定めなければならない。
(a) 年令、肉体的能力、健康並に経済活動の諸分野及び種々の職種に対する職業上の資格に関しての移民及びその家族の必須条件
(b) 同伴又は後より来ることを許される移民の家族の範囲
2 当事国は、この協定の第二十八条の規定に従つて、次のことを決定しなければならない。
(a) 一定期間中に募集される移民の数及び職種
(b) 募集の地域並びに職業紹介及び定着の地域〔但し避難民及び移動者については、募集地域の決定は、如何なる政府の保護もうけない避難民及び移動者の保護の責を有する国際文書の条項に従つて設置された機関に保留される。〕
3 入移民領域の技術的必要を充たすために必要とされ且つ入移民領域の条件に容易に順応しうる移民を募集するため、当事国は、移民の技術上の選考をなすための基準を決定しなければならない。
4 これらの基準を作成するに当つて、両当事国は、次のことを考慮に入れなければならない。
(a) 医的選考に関しては、
(i) 移民がうける身体検査の性質(一般的身体検査、X光線検査、実験室検査等)
(ii) 明らかに、ある職業に於ける雇用不能を構成する疾病及び身体障害の表をつくること。
(iii) 国際保健条約に規定され且つ一国から他国への住民の移動に関する最低健康規定
(b) 職業的選考に関しては、
(i) 各職業又は職業群について移民に要求される資格
(ii) 十分な数の資格ある労働者を募集することが困難な特定職業の必要を充たすために、労働者に対して類似の資格又は能力を要求する代替職業を列挙すること。
(iii) 心理的技術試験の発展
(c) 移民の年令を基準とする選考については、一方に於ては種々の職業の要求を、他方に於ては一定年令の個個人の能力の相違を考慮に入れるために、年令基準の適用については、柔軟性が認められねばならない。
第 六 条 (募集、移入及び職業紹介の機関)
1 移民及びその家族の募集、移入及び職業紹介の活動に従事する機関又は人は、夫々の領域の権限ある機関によつて〔又は避難民及び移動者については、一方に於て如何なる政府の保護もうけず、他方に於て入移民領域の権限ある当局の保護もうけない避難民及び移動者の保護の責を有する国際文書の条項に従つて設置された機関によつて〕両当事国の承認を得た上で指定されなければならない。
2 次の諸項の規定の留保の下に、募集、移入及び職業紹介の活動に従事する権限は、以下にかかげるものに制限されなければならない。
(a) これらの活動が行われる領域の公共職業安定所又は他の公の機関
(b) これらの活動が行われる領域の公の機関ではないが、当事国間の協定によつて該領域に於て活動することを許可されたもの
(c) 国際文書の条項に従つて設置された機関
3 更に又、当事国の法令及び規則が許す限りに於て、当事国の権限ある機関の承認と監督をうけて、募集、移入及び職業紹介の活動は、次にかかげるものによつても行われうる。
(a) 将来の使用者、又はそのために活動するその業務に使用される者
(b) 民間機関
4 募集、移入及び職業紹介の管理費は、移民の負担としてはならない。
第 七 条 (選考試験)
1 出移民志望者は、出移民領域において適当な試験をうけなければならない。この試験は、できる限り移民に不便をかけないものでなければならない。
2 移民選考機関に関しては、当事国は、次のことに同意しなければならない。
(a) 出移民領域に於て選考活動をなすことを入移民領域の権限ある機関によつて許可された公の機関又は民間団体の承認及び構成
(b) 選考試験の機関、選考試験の行われるべき場所及び試験に由来する経費の割当
(c) 選考を行うに当つての両当事国の権限ある機関、特にその職業安定所の協力
第 八 条 (情報と移民の援助)
1 体格検査及び職業検査の後、集合所又は選考所に収容された移民は、かれが雇われる仕事の性質、雇用の場所、かれが割り当てられる企業、旅行手続並びにかれが赴こうとする国及び地域の衛生及びそれに関係した事項を含む生活及び作業条件について、尚かれが必要とするあらゆる情報をかれが理解する国語で与えられなければならない。
2 目的国及び若しあれば収容所又は居住地に到着した場合には、移民及びその家族は、その国におけるかれらの作業、居住及び定着のために必要とするあらゆる書類並びに生活及び作業条件についての情報、指示、助言及び入移民国の条件に順応するためにかれらが必要とするその他の援助をうけなければならない。
第 九 条 (教育及び職業訓練)
当事国は、入移民国に関する一般情報、入移民国の国語の教育及び職業訓練を含む、移民のための教育課程の編成について、その活動を調整しなければならない。
第 十 条 (被訓練者の交換)
当事国は、被訓練者の交換を助長すること及びこのような交換の条件を個別的の協定に於て定めることに同意するものとする。
第 十 一 条 (輸送条件)
1 居住場所から集合所又は選考所への旅行中又はこれらの場所に滞在中も、移民及びその家族は、出移民領域の権限ある機関から〔又は避難民及び移動者については、いかなる政府の保護もうけない避難民又は移動者の保護の責を有する国際文書の条項に従つて設置された機関から〕必要とする援助をうけねばならない。
2 出移民領域及び入移民領域の権限ある機関は、移民及びその家族が集合所又は選考所からその労務場所への旅行中、又、若しあるとすれば収容所に滞在する間、各々その管轄権内に於て、かれらの健康と福祉を保護し、且つかれらに援助を与えなければならない。
3 移民及びその家族は、人たるに相応しい方法で、且つ現行の法令及び規則に則つて、輸送されるものとする。
4 両当事国は、この条の規定の適用の条件について協定するものとする。
第 十 二 条 (旅費及び生活維持費)
当事国は、移民及びその家族の、居住場所から目的場所までの旅行の費用並びに旅行、病気又は入院中の生活維持費及び所持品の運送費をまかなう方法について協定するものとする。
第 十 三 条 (資金の移送)
1 出移民領域の権限ある機関は、移民及びその家族が外国に定着する最初の期間に於て必要とする額をかれらの国から引出すことを、できる限り且つ外国通貨の移入及び移出についての国内の法令及び規則に従つて、許可し且つその便宜を図らなければならない。
2 入移民領域の権限ある機関は、移民がその貯金及びその協定に従つて支払われるべき他の金額を出移民領域に定期的に移送するのを、できる限り且つ外国通貨の移入及び移出についての国内の法令及び規則に従つて、許可し且つその便宜をはからなければならない。
3 上掲の1及び2に掲げられた資金の移送は、現行の公定為替率で行われなければならない。
4 両当事国は、資金がその権利者になるべく遅滞なく利用されうるよう、資金の移送に関する管理手続の簡素化及び迅速化のため必要なあらゆる措置を講じなければならない。
5 両当事国は、移民がかれの国又はかれが出移民した領域に残つている家族の維持のため、資金の一部を送金する必要があるか否か、またあるとすれば如何なる条件に於てであるかを決定しなければならない。
第 十 四 条 (順応及び帰化)
入移民領域の権限のある機関は、移民及びその家族がその気候、経済及び社会の状態に順応するのを容易にし、且つかれらが帰化するのを容易にするための措置を講じなければならない。
第 十 五 条 (生活及び労働条件の監督)
1 移民の衛生状態を含む生活及び労働条件を入移民領域の権限ある機関又は正式に認められた機関が監督するための規定が設けられなければならない。
2 一時的移民については、当事国は、この監督を実施するに当つて入移民領域の権限ある機関又は正式に認められた機関に協力するため、それが適当な場合には、出移民領域の〔又は避難民及び移動者については、いかなる政府の保護もうけない避難民及び移動者の保護の責を有する国際文書の条項に従つて設置された機関の〕権限ある代表を定めなければならない。
3 当事国によつてその長さを定められる一定期間、移民は、その雇用条件に関する問題について特別の援助をうけるものとする。
4 移民の雇用及び生活条件についての援助は、適当な場合には任意的機関と協力して、入移民領域の正規の労働監督機関を通じてか、又は移民のための特別機関を通じて与えられるものとする。
5 出移民領域の代表〔又は避難民及び移動者については、いかなる政府の保護をもうけない避難民及び移動者の保護の責を有する国際文書の条項に従つて設置された機関〕とかかる機関との協力のため、適当な場合には、措置を講じなければならない。
第 十 六 条 (紛争の解決)
1 移民と使用者との間に紛争が起つた場合には、移民は、入移民国の法令及び規則に従つて、適当な法廷に訴え出るか又は他の方法でその不平を提訴することができる。
2 当局は、この協定から発生する紛争を解決するのに必要な他の機構を設けなければならない。
第 十 七 条 (均等待遇)
1 入移民領域の権限ある機関は、移民及びその家族に対し、かれらが従事しうる雇用について、法律上又は管理上の規定又は労働協約により、内国人に与えられるものに劣らない待遇を与えるものとする。
2 かかる均等の待遇は、国籍、人種、宗教又は性による差別なく、合法的に入移民領域内にある移民に、次にかかげる事項について、適用されるものとする。
(a) かかる事項が法令及び規則に規定され又は管理機関の監督をうける限り、
(i) 報酬(若し報酬の一部をなすときは、家族手当を含む。)、労働時間、週休日、超過労働協定、有給休日、その他家内労働の制限、最低年令規定、婦人労働及び年少者の労働を含む雇用に関する規定
(ii) 労働組合の組合員資格及び団体交渉の利益の享受
(iii) 入移民国民の不利益とならぬ限り、学校、徒弟及び職業又は技術訓練の課程又は学校に入ること。
(iv) 娯楽及び厚生措置
(b) 被用者に関し支払われるべき雇用税、賦課金又は醵出金
(c) 衛生、安全及び医的援助
(d) この協定に掲げられる問題についての法律上の手続
第 十 八 条 (営業、就業及び不動産取得権)
均等の待遇は、次の事項にも適用されるものとする。
(a) 国の法令及び規則の許す範囲に於て営業し及び就職すること。
(b) 都市又は農村の財産を取得し、所有し及び譲渡すること。
第 十 九 条 (食料の供給)
食料の供給に関して移民及びその家族に適用される待遇は、同一職業の内国人に与えられるものと同じでなければならない。
第 二 十 条 (住宅条件)
入移民領域の権限ある機関は、必要な住宅が利用しうる限り、移民及びその家族が衛生的にして適当な住宅をもつことを保証するものとする。
第 二 十 一 条 (社会保障)
1 両当事国は、別の協定に於て、移民及びその扶養家族に社会保障制度を適用する方法を決定するものとする。
2 かかる協定は、特別の居住資格が内国民に適用されている場合を除き、入移民領域の権限ある機関が内国民に与えているものよりも悪くない待遇を移民及びその扶養家族に保証する措置をとることを規定するものとする。
3 協定は「千九百三十五年の移民年金権保全条約」及び同改正条約の原則を十分に考慮して作成された移民の既得権及び取得の中途にある権利の保全のための適当な取極を具現するものとする。
4 協定は、入移民領域の権限ある機関が一時的移民及びその扶養家族に対し、内国民に与えているものよりも悪くない待遇を与える措置をとることを定めるものとする。但し、強制年金制度の場合には、移民の既得権及び取得の中途にある権利の保全のため、適当な取極が設けられるものとする。
第 二 十 二 条 (雇用契約)
1 模範契約制度が用いられている諸国に於ては、移民のための個人雇用契約は、経済活動の主要分野について当事国の起草した模範契約に基くものとする。
2 個人雇用契約は、関係模範契約に規定された雇入及び雇用の一般条件を定め及び移民の理解する国語に翻訳されるものとする。契約の写一通は、出移民領域からの出発に先立つて、又は関係両当事国間の同意があれば入移民国に到着した時収容所に於て、移民に渡されるものとする。後者の場合には、移民は、出発に先立ち、彼が雇入れられる筈の職種その他の労働条件、特にかれに保証される最低賃金について、かれ個人にか又は彼を一員とする移動者群に関係ある書類により、書面で知らされるものとする。
3 個人雇用契約は、次にかかげる如き必要な情報を含むものとする。
(a) 労働者の氏名、出生年月日、出生地、家庭に於ける地位、居住地及び募集地
(b) 作業の性質及びそれが行われるべき場所
(c) 労働者が就こうとする職種
(d) 通常の労働時間、超過労働、夜業及び休日労働に対する報酬並びに賃金支払方法
(e) 若しあるとすれば、賞与、補償金及び手当
(f) 使用者が報酬より控除を行いうる条件及び程度
(g) 使用者が給食する場合には、食事条件
(h) 契約の期間並びにその更新及び破棄の条件
(i) 入移民領域への入国及び居住が許可される条件
(j) 移民及びその家族の旅費をまかなう方法
(k) 一時的移民の場合は、母国又は出移民領域の何れか適当な方への帰還費をまかなう方法
(l) 契約が事前に解消される原因
第 二 十 三 条 (雇用の変更)
1 入移民領域の権限ある機関がある移民の募集された雇用がかれの肉体的能力又は職業的資格に相応しないと考える場合には、該機関は、その移民をかれの能力又は資格に相応し且つ国内の法令及び規則に従つて使用しうる雇用に紹介するために便宜を供するものとする。
2 若し失業するとすればその期間、移民及びかれが同伴し又はかれの後より来ることを許可された扶養家族を維持する方法は、別の協定により定められなければならない。
第 二 十 四 条 (雇用の安定)
1 契約期間の満了する前に、移民労働者がその雇われて従事している企業又は経済活動部門に於て冗員となる場合には、入移民領域の権限ある機関は、その移民を国内の法令及び規則に従つて使用しうる他の適当な雇用に紹介するため、契約の規定に従つて便宜をはかるものとする。
2 移民が失業保険又は扶助制度に基く給付を受ける資格のない場合には、移民が失業している間のかれ及びその扶養家族の維持は、かれの契約条項と矛盾しない限りに於て、別の協定により定めなければならない。
3 この条の規定は、移民の契約が使用者により満期前に解消される場合、その契約に含まれる規定による給付をうける移民の権利を害するものではない。
第 二 十 五 条 (強制送還に関する規定)
1 入移民領域の権限ある機関は、移民が病気又は災害の故に職に従い得なくてそれを希望するのでなければ、かれ及びかれが同伴し又は後より来ることを許されたその家族は、出移民領域に帰らしめられないことを約する。
2 入移民領域の政府は、政治的理由によりその出身国に帰ることを望まない避難民、移動者又は移民をその募集された領域とは別のその出身領域に送還しないことを約する。但し、かれらが入移民領域の権限ある機関と、いかなる政府の保護もうけない避難民及び移動者の保護の責を有する国際文書の条項に従つて設置された機関の代表との双方に対し書面による要請でこの希望を表明した場合には、この限りではない。
第 二 十 六 条 (帰国旅行)
1 入移民領域の政府の後援する計画により移入された移民が、その責任でない理由によつてやむなく雇用をはなれ、しかもかれがつきうる雇用に国内の法令及び規則の故に、紹介され得ない場合には、その帰国旅費は、次の如く規律されるものとする。
(a) 移民及びかれに扶養される者の帰国旅費は、いかなる場合にも移民自身の負担にはならない。
(b) 補足双務協定は、この帰国旅費をまかなう方法を定めるものとする。
(c) 如何なる場合にも、よしんばこのための規定が双務協定に含まれていない場合にも、募集に際して移民に与えられる情報には、本条に掲げられる事情において帰国旅費を支払う責任がいかなる人又はいかなる機関にあるかを明示しておかなければならない。
2 本協定第二十八条に基き協定される協力及び交渉の方法に従つて、両当事国は、当該者の帰国旅行を編成し、且つかれらが往路に於てうけた衛生及び福祉条件と援助とをその旅行中かれらに確保するため必要な措置を定めなければならない。
3 出移民領域の権限ある機関は、かれらの到着に際し、次にかかげるものには関税を免除しなければならない。
(a) 動産
(b) その仕事を遂行するため、労働者が普通所有する携帯可能の工具及び装具で、相当期間当該者が従来所有し及び使用しており、且つ、その職についている間かれらが使用する意図を存しているもの
第 二 十 七 条 (二重課税)
両当事国は、移民労働者の所得に対する二重課税をさけるための措置を別の協定に於て定めるものとする。
第 二 十 八 条 (協力方法)
1 両当事国は、本協定の条項を実施するため必要な協議及び協力の方法を定めなければならない。
2 両当事国の代表が要請した場合には、国際労働事務局は、かかる協議及び協力に加わるものとする。
第 二 十 九 条 (最終規定)
1 当事国は、本協定の有効期間及び解消のための予告期間を定めなければならない。
2 当事国は、本協定の満了後も有効なるべき本協定中の規定を決定しなければならない。