1939年の徒弟制度勧告(第60号)
1939年06月28日
徒弟制度に関する勧告(第60号)
国際労働機関の総会は、
国際労働事務局の理事会によつてジユネーヴに招集され、且つ千九百三十九年六月八日を以てその第二十五回会議を開催し、
この会議の会議事項の第五項目に含まれている徒弟制度に関する提案の採択を決議し、且つ
この提案は勧告の形式によるべきものなることを決定したので、
千九百三十九年の徒弟制度勧告として引用することができる次の勧告を千九百三十九年六月二十八日に採択する。
総会は、
職業訓練の組織化に関し適用されるべき原則及び方法を掲げた千九百三十九年の職業訓練勧告を採択し、
各種の訓練方法中徒弟制度は、特に当該企業において行われ、且つ親方と徒弟との間の契約関係を伴うを以て特別の問題を提起するに鑑み、
徒弟制度の効果は、徒弟制度を規律する条件並びに就中親方及び徒弟の相互的権利義務の条件の定義及び遵守に大いに依存するに鑑み、
各加盟国が次の原則及び規則を考慮に入れなければならないことを勧告する。
1 この勧告において「徒弟制度」と称するのは、使用者が年少者を雇用すること並びに徒弟が使用者の義務において労働する義務がある予め定められた期間中その一業態のために組織的に徒弟を訓練し又は訓練させることを契約を以て約束する制度をいう。
2(1) 右の訓練制度を必要と認める業態においては、徒弟制度をできるだけ有効ならしめるため措置を講じなければならない。右の業態は、各国においてその業態に必要とされる熟練の程度と実際的訓練期間の長さとを考慮してこれを指定しなければならない。
(2) 前項に掲げられる措置は、全国を通じ各業態において必要とされる熟練の程度と徒弟制度の方法及び条件とに付て画一性を確保するため充分な調整を行う条件の下に、法令若くは規則により、徒弟制度の監督責任を有する公の機関の決定により、労働協約により又は右の種々の方法の結合により、これを講ずることができる。
3(1) 前項に掲げられる措置は、次に関し決定をしなければならない。
(a) 徒弟を採用し且つ訓練するため必要とされる使用者の技術的及びその他の資格
(b) 年少者の徒弟制度への入門を規律する条件
(c) 親方及び徒弟の相互的権利義務
(2) かかる措置を為すに当つては、特に次の原則を考慮に入れなければならない。
(a) 徒弟を採用する使用者は、自ら充分な訓練を施す資格を有するか又はその業務に使用される他の者であつて必要な資格を有するものをしてかかる訓練を施させることができる者であることを要し、且つかかる訓練が施されるべき企業は、当該業態において習得すべき適当な訓練を徒弟に確保するのに必要な条件に適合するものでなければならない。
(b) 年少者は、所定の年令に達するまでは徒弟として入門することを許されないものとし、右年令は、就学義務が終る年令未満であつてはならない。
(c) 徒弟として入門するために必要な一般教育の最低基準が就学義務期間の終りにおいて通常達せられる所よりも高い場合においては、右の最低基準は、各種業態の種々の要求を適当に考慮してこれを定めなければならない。
(d) 徒弟としての入門は、すべての場合において健康診断を受けることを条件とし、且つ当該業態が特別の体質又は精神的能力を必要とするときは、右は、これを明瞭にし且つ特別の検査を受けるものとしなければならない。
(e) 適当の機関に徒弟を登録するため及び必要な場合にはその人数を制限するため措置を講じなければならない。
(f) 徒弟の一使用者より他の使用者への移動が徒弟制度の中断を避けるため若しくは徒弟の訓練を完成するため又はその他の理由のため必要又は望ましいとみとめられる場合には、右移動を容易ならしめる措置を講じなければならない。
(g) 徒弟期間(見習期間を含む。)は、技術又は職業学校において徒弟が受ける事前の訓練を適当に考慮して、予めこれを定めなければならない。
(h) 徒弟期間の満了において及び必要な場合には徒弟期間中徒弟の試験を行い、又試験を行う方法を定め且つこれが成績に基き証書を授与するため措置を講じなければならない。かかる試験において必要とされる資格は、同一の業態に対し画一的の方法を以てこれを定め、且つかかる試験の結果として授与される証書は、全国を通じて認められなければならない。
(i) 徒弟制度を規律する規則が遵守されていること、施される訓練が充分であること及び徒弟制度の条件において合理的な画一性が存在することを特に確保するため、徒弟に対する監督制度を設けなければならない。
(j) 徒弟契約の様式及びこれに含まれる条件についての要件は、例えば標準契約の作成の如きものによりこれを明瞭にし、且つ前記(e)に掲げられる機関に契約を登録するための手続は、これを定めておかなければならない。
4(1) 徒弟に支給されるべき現金又はその他のものが如何に定められるべきやに関し並びに徒弟期間中の報酬の増加率に関し、徒弟契約中に条項を設けておかなければならない。
(2) 当該事項に関し何等の法令若しくは規則もないか、又は法令若しくは規則が徒弟に適用されない場合においては、徒弟契約中に次に関する条項を設けておかなければならない。
(a) 疾病中における(1)に掲げられる報酬
(b) 有給休暇
5(1) 徒弟制度の関係当事者特に使用者及び労働者の団体は、徒弟制度の監督に付責任ある公の機関と協力すべきことが望ましいであろう。
(2) 徒弟制度の監督に付責任ある機関と一般及び職業教育機関、職業指導施設、公共職業紹介所並びに労働監督機関との間において密接な協力を維持しなければならない。
6 この勧告は、海員の見習には適用しない。