1919年の鉛中毒(婦人及児童)勧告(第4号)
1919年11月28日
鉛中毒に対する婦人及児童の保護に関する勧告(第4号)
国際労働機関の総会は、
亜米利加合衆国政府に依り千九百十九年十月二十九日華盛頓に招集せられ、
右華盛頓総会の会議事項の第三及第四項目の一部たる「婦人及児童使用の件、健康上有害なる作業」に関する提案の採択を決議し、且
該提案は勧告の形式に依るべきものなることを決定し、
国際労働機関の締盟国をして立法其の他の方法に依り之が実現を為さしむる目的を以て考慮せしむる為、国際労働機関憲章の規定に従ひ、千九百十九年の鉛中毒(婦人及児童)勧告と称せらるべき左の勧告を採択す。
1 総会は、母性の機能に及児童の身体の発育に対し生ずる危害を慮り、婦人及十八歳未満の年少者を左の工程に於て使用せざることを国際労働機関の締盟国に勧告す。
(a) 亜鉛鉱又は鉛鉱の製錬に於ける炉作業
(b) 鉛を含有する灰の取扱、処理又は製錬及鉛の脱銀作業
(c) 鉛又は古亜鉛の大規模の鎔融作業
(d) 白ろう又は百分の十より多く鉛を含有する合金の製造
(e) 密陀僧、金密陀、鉛丹、白鉛、橙黄又は硫酸鉛、「クローム」酸鉛又は硅酸鉛(「フリツト」)の製造
(f) 蓄電池の製造又は修繕に於ける混合又は煉合の作業
(g) 前各号の諸工程を行ふ作業室の掃除
2 尚鉛化合物の使用を包含せる工程に於ける婦人及十八歳未満の年少者の使用は、左の条件に従ひてのみ之を許可することを勧告す。
(a) 塵埃及煙気を発生の其の場に於て除去する為各所の排気設備を為すこと。
(b) 器具及作業室を清潔にすること。
(c) 鉛中毒の一切の場合之に対する補償に付官憲に届出を為すこと。
(d) 前記の諸工程に使用せらるる者の定期健康診断を行ふこと。
(e) 充分且適当なる更衣室、洗滌所及食堂の設備竝特殊の防護衣を供すること。
(f) 作業室に飲食物の搬入を禁止すること。
3 尚無毒物を以て可溶性鉛化合物に代用し得べき工業に在りては、可溶性鉛化合物の使用を厳重に取締るべきことを勧告す。
4 鉛化合物が百分の〇・二五の塩酸溶液中に於て溶解すべき鉛化合物重量(金属鉛として計算して)の百分の五より多くを含有するときは、本勧告に於て之を可溶性と看做すべし。