雇用創出
雇用創出に向けたパートナーシップ:ボスニア・ヘルツェゴビナからの報告
ボスニア・ヘルツェゴビナの地域雇用パートナーシップは、長期失業者に雇用を創出し、企業に高技能労働力を提供する前途有望な手法であることが立証されました。
2018年04月19日
欧州委員会は1990年代後半に、地域や地方自治体レベルで地元特有の雇用面の課題に地元で解決策を見いだすために、地方自治体、労使の社会的パートナー、企業、教育・訓練機関が協力して、状況に合った個別の介入策を考案するという地域雇用パートナーシップ(LEP)の手法を編み出しました。ILOも西バルカン諸国で採用しているこの手法は複数のパートナーの補完的な役割から利益を得ています。
ILOが欧州連合(EU)の資金協力を受けてボスニア・ヘルツェゴビナで2016年2月から実施している予算440万ユーロの地域雇用パートナーシップ支援プロジェクトは2019年1月まで続く予定ですが、2017年11月に行われた中間評価で参加者から5点満点の平均4.57点という高い評価を受けました。プロジェクトは長期失業者その他の脆弱な集団に職業訓練を提供していますが、受講者599人中86人が既に新たな職を得ています。
共に30代のアレン・カミクさんとエミル・スラチナさんもこのプロジェクトの最初の受益者の中に含まれています。カミクさんは2年前に失業するまでは機械工として働いていました。機械工学の修士号を保有するスラチナさんも1年以上前に職を失いました。2人はサラエボ市の一部であるノビグラードの地元職業安定所と協力して地元のグラフィックデザイン会社であるCEBOS社が提供したコンピュータ数値制御(CNC)を用いてコンピュータを操作し、プログラムを作成する方法を学ぶ3ヶ月間のオン・ザ・ジョブ・トレーニング(OJT)を受けました。CEBOS社は店舗内装用の商品を手がけていますが、地元で熟練労働者を見つけることができませんでした。そこで、地元の職業安定所、中等学校、その他の企業と連携し、長期失業者を将来的な従業員に育て上げる地域パートナーシップに関心を持ちました。2人は訓練期間満了後直ちに同社に採用されました。
実際、訓練を受けた5人全員がその後就職しています。マケドニア旧ユーゴスラビア共和国でILOの同国調整官を務めるエミール・クリスタノボスキー専門官は、これは「民間部門で需要が高い技能を教え、ただちに参加者の就業能力を高めることによって、OJTはボスニア・ヘルツェゴビナの労働市場における空隙を埋めることを示すもの」と説明しています。地域雇用パートナーシップの手法は、地元の資源・資金や専門知識を動員し、政策策定の分権化を図り、革新的手法を奨励する良い手法であることが立証されています。
クリスタノボスキー調整官が最も驚いたことは、参加者を募る競争公募の幅広い周知にILOのプロジェクトチームが払った多大な努力でした。2、3ヶ月にわたって国内16都市で46回開かれたプロジェクト説明会には計687人の出席者がありました。反響は大きく、最終的に157件の応募がありました。厳正な審査・選考手続きを経て15件の提案が選ばれ、実行用の助成金が交付されました。15件全体で計2,000人に訓練機会が提供され、600人以上が新たに職を得ると期待されます。女性や若者、少数民族、帰還民、国内避難民、その他の不利な立場にある就職困難者に向けて、加工産業や農業、観光業、情報工学などの分野における職業訓練が提供されています。
クリスタノボスキー調整官はプロジェクトチームが関係者を継続的に導き、支援することが必要不可欠と語っています。パートナーシップ参加者は提供される訓練に大いに満足しています。既に次の段階の可能性を考えている調整官は、この事業計画が継続するとしたら、成功物語を宣伝し、パートナーシップ参加者同士の経験交流にもっと努力を費やすよう提案するつもりです。女性の労働市場へのより良い包摂を達成するためにもっと努力する必要性も指摘しています。そして、ボスニア・ヘルツェゴビナの地域雇用パートナーシップ計画は地元労働市場のニーズに個別に応える分散した対応を通じて雇用を創出する好事例であるとして、国内全土に広げるだけでなく、他国へも普及させることを提案しています。
以上は2018年4月19日付のサラエボ発英文広報記事の抄訳です。