ILOブログ:世界ユース技能デー
良質の見習い研修は人生を変えるような体験
ILOがタンザニアで実施している見習い研修プログラムは働きがいのある人間らしい仕事につながる技能を若者に教えています。
2018年07月13日
| 労働基盤型学習・見習い研修制度・学習歴認定ILOチームのアシワニ・アッガルワル・リーダー |
タンザニアのバルナバ・バルンギさんは学費を払えなかったために高等教育に進むことができませんでした。そこで、ダルエスサラームの街頭で魚売りをして家族の生活を助けていました。何事もなければ一生そのままの可能性が高かったのですが、ILOが支援して設計されたタンザニア初の見習い研修プログラムのことを知って人生が変わりました。
この非常に魅力的なパイロットプログラムは、国内屈指のホテルと国立観光専門学校で学ぶ機会を与えるものでした。参加者は高い資格を習得し、学費を支払う代わりに給付金を受けることができるとのことでした。プログラムに応募したバルンギさんには業界を主導するホテルチェーンであるホテルサザンサンでの研修の機会が与えられました。
見習い研修期間を終えたバルンギさんはホテルにシェフとして採用されました。今は若者のロールモデルとなり、自分でシェフのための学校を開くことを夢見ています。
職を得ることができたのはブルンジさんだけではありません。タンザニアは若者の失業率が高いのですが、パイロットプログラムに参加したすべての研修生が仕事を見つけることができました。
これは4年前のことです。その後このプログラムは拡大を続け、国内の他の地域でも実施されるようになりました。現在、建設業、皮革業、アパレル産業における見習い研修プログラムの開始も計画されています。
「ILOのような大規模な国連機関で働いていると日常に流されて自分の仕事の価値と影響力を見失う場合があります」と語る、労働基盤型学習、見習い研修制度、学習歴認定を扱うILOチームのリーダーを務めるアシワニ・アッガルワルは、自分の携わったこのホテル産業の見習い研修プログラムの修了生の記事をタンザニアの一流紙で目にして、「文字通り、泣き崩れた」と振り返ります。
7月15日の世界ユース技能デーは、今日のように変化の激しい労働市場においては若者が技能を最新のものに維持することがかつてないほど重要になっている事実を私たちの思い起こさせます。伝統的な訓練機関を基盤とした職業教育・訓練制度は必ずしも使用者が求める最新の知識と技能を学習者に与えることができません。そこで、若者と年長者の両方に機会の道を開く潜在力を秘めた見習い研修制度が一層重要になってきているのです。
ILOの見習い研修パイロットプログラムの参加者はすべて、見習い研修への参加を若者に強く勧めると答えています。その理由としては、◇良質の見習い研修は、最新の設備を備えた実際の職場で働くことを通じて学べるから、◇学習しながら収入を得ることができるから、◇質の高い研修を受けることができるから、◇見習い研修生の権利を保護する契約が存在するから、◇より高いレベルの資格を習得できるから、◇研修修了後にまともな仕事に就けるから、といったものが挙げられています。
見習い研修の利点はよく知られているものの、十分に確立した大規模なプログラムがない国も多く、一つの国のプログラムを別の国へ輸出して復元しようとの試みは成功を見ていません。そこで、質の高い見習い研修制度の整備または強化のための方法に関する助言を政府や社会的パートナー(労使)から求められることがますます増えてきています。このような需要に効果的に応えるため、ILOのイニシアチブは最先端の調査研究を行い、革新的な知識製品や手法を開発し、政労使の能力構築を図ることに重点を置いています。このようにして開発された『良質の見習い研修制度のためのILOツールキット』は、良質の見習い研修制度を構築する要素として次の六つを挙げています。
- 有意義な社会対話
- 堅固な規制枠組み
- 明確な役割と責任
- 資金負担の公平な取り決め
- 労働市場との関連性の強さ
- 包摂性
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世界ユース技能デーを前にした2018年7月13日付のILOのブログ「Work in progress(進行中の仕事)」への投稿記事で、アッガルワル・チームリーダーはこのように紹介した上で、若者を人間らしく働きがいのある仕事へと移行させ、企業が将来的に必要な人材を見つけることを支援する良質の見習い研修制度の促進はILOの最優先事項の一つと説いています。以上は、この英文投稿記事の抄訳です。