女性のエンパワーメント
自分の道を見つける:ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を通じて力を付けた自らの物語を語るパキスタンの女性たち
カナダの任意資金協力を受け、パキスタンの女性の技能と就業能力を高め、職場における男女平等を促進することを目指して展開されたILOのプロジェクトが幕を閉じました。この動画では、仕事の世界における場所を自分で切り開いたプロジェクト受益者たちの鼓舞される物語が語られています。
2018年01月11日
カナダの外務・貿易開発省と連携して2010年から6年間にわたってパキスタン各地で実施された南アジア最大のジェンダー・プロジェクト「人間らしく働きがいのある就労のための男女平等促進(GE4DE)プロジェクト」が2016年10月31日をもって成功裏に幕を閉じました。この広報動画では各地の受益者がプロジェクトがいかに自らの暮らしを変えるに至ったかを語っています。
パキスタンの労働市場は近年改善してきていますが、いまだに女性は男性に比べて不利な立場に置かれています。男性の労働力率が82%であるのに対し、女性の労働力率は24%に過ぎず、働く女性のほとんどどが農業や非公式(インフォーマル)経済で働いています。女性の技能・教育水準は一般に低く、女性の受ける訓練のほとんどが使用者の需要に応えていないだけでなく、保育設備の欠如や職場内ハラスメント(嫌がらせ)の存在など、女性の労働環境はしばしば好ましくありません。パキスタン社会にはまた、女性は専門的な職業に就くべきでないとの考えも根強く見られます。
このような現状に鑑み、プロジェクトは、1)女性の平等な就労機会を促進する国の仕組みの強化、2)都市及び農村部の特定地区における貧困女性の技能と就業能力の向上、3)働く女性に係わる問題について啓発する報道機関の能力強化の三つを活動の柱に掲げ、各地の労働局職員にジェンダー主流化訓練を提供し、職場の男女平等慣行について使用者の意識を高め、自らの職場の男女平等を支える慣行を訴えて導入するよう労働組合員のリーダーシップを育み、オンライン苦情申立ての仕組みなど職場の男女平等を改善する仕組みを設計し、「農村経済エンパワーメントのための訓練(TREE)方法論」を用いて6,300人を超える男女に就業可能な技能についての訓練を提供し、ビジネススクールのカリキュラムの主流にジェンダー問題を組み込み、被服製造などの産業技能規格を作る地元専門家を養成し、女性の雇用と働く女性に係わる国際的な義務とパキスタンの政策枠組みに関する報道機関の理解の向上を図り、様々な広報資料や刊行物などを発行し、情報共有の機会を促進しました。
プロジェクトの結果、政府の政策や慣行におけるジェンダー主流化が進み、職場のハラスメントを扱う連邦オンブズパーソン事務所にオンラインの苦情申立ての仕組みが設けられました。ILOの支援を受けて作られた「性差に対応した労働監督ツールキット」は国連の賞を受け、ILOのパラリーガル指導員研修を受けた女性は指導員として各地に法的知識や仕組みを根付かせています。
女性が顕著な役割を担う家事労働者の労働組合などが初めて設立され、加入した労働者は組合の問題解決力を評価しています。セクシュアル・ハラスメント(性的嫌がらせ)に関する労使関係セミナーの開催など、使用者団体も女性の職業能力開発や職場内ハラスメントへの取り組みといった男女平等促進措置を導入しました。
訓練を受けた女性は5,000人を超え、その8割が生産的な就労を果たしました。技能訓練を受けて男性中心の職であるパティシエになる夢の実現に踏み出した若い女性もいれば、縫製業で身を立てられるようになった下肢に障害のある男性もいます。女性では唯一技能賞を受けて評価された女性もいれば、教育を続けることを選んだ人もいます。プロジェクトの支援を受けて、村に1台の冷蔵庫で清涼飲料水やアイスの販売を始めた女性は、男性の教育はその人1人の教育であるのに対し、女性の教育は家族全体の教育につながると語っています。周囲の目を気にせずに子どもの学校の送迎や縫い物の受注・配達にバイクで飛び回り、縫製業で成功した女性は、地元の人々と協力して小学校を作り、支援した子どもたちの親から感謝されることの充実感を述べています。紡績・縫製などで起業した女性は、雇用を生み出すことによって地域社会の貧困を撲滅する夢を語っています。
800人以上のジャーナリストに性差に対応した報道方法に関する研修が提供されました。研修後に女性の経済的貢献を扱ったドキュメンタリー映画を作ってILOから賞を受けた女性ジャーナリストは、報われない仕事をしている女性を取り上げて報奨されたことに元気づけられたと語っています。このように数多くのプロジェクト受益者が教育訓練の重要性を語り、一歩を踏み出した選択の正しさを証言しています。