南南・三角協力

第2回ハイレベル南南協力会議ILOイベント出席者が語る南南協力の重要性-レベッカ・グリンスパン・イベロアメリカ事務局長/マリア・ビクトリア・アロンソペレス・チップセーファー創立者

 2019年3月20~22日にブエノスアイレスで開かれる国連の第2回ハイレベル南南協力会議(BAPA+40)の枠内で、ILOは21日に「仕事の未来、若者の就労、南南協力」をテーマとするサイドイベントをサウス・センターと共催します。イベントに参加するレベッカ・グリンスパン・イベロアメリカ事務局長とSDGヤングリーダーのマリア・ビクトリア・アロンソペレスさんに会議に向けた思いを尋ねました。

2019年03月18日

 2019年3月20~22日にブエノスアイレスで開かれる国連の第2回ハイレベル南南協力会議(BAPA+40)の枠内で、ILOは21日に途上国の政府間組織であるサウス・センターと「仕事の未来、若者の就労、南南協力」をテーマとするサイドイベントを共催します。労使代表と共にイベントに参加するレベッカ・グリンスパン・イベロアメリカ事務局長とSDGヤングリーダーのマリア・ビクトリア・アロンソペレスさんは、会議に向けた抱負を次のように語っています。

レベッカ・グリンスパン・イベロアメリカ事務局長

 仕事の未来世界委員会の委員でもあったグリンスパン事務局長は、若者の直面する課題に留意しつつ、南南開発協力の観点から1月に発表された世界委員会の報告書について発表を行います。会議に先立って行われたインタビューで、事務局長は、BAPA+40会議について、開発協力の動きに関して過去40年間に見られた重要な変化について考察し、様々な重要な協力分野における影響力ある行動主体としての地位を築いた多くの途上国経済から学ぶ機会を与えてくれるものと位置づけた上で、世界委員会の報告書と南南協力について次のような見解を示しました。

 南南協力の際立った成長は国際経済取引のデータからも明らかです。この動きは、国際的な影響力を獲得し、その結果として地球規模の責任を引き受けた新しい多様な行動主体グループに光を当てることになりました。南南協力は、団体行動と連帯を基盤にするという、開発に関する同じ哲学を共有する「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の枠内で中心的な役割を演じています。協力を通じて「持続可能な開発目標(SDGs)」の枠組みの下で努力を結集し、それを体系化することによって、個々の目標の達成において戦略的となることを許す相乗効果の利点が活用されています。南南協力の活動方法もまた、学ぶことのない富裕国も教えることのない貧困国も存在しないとの原則を基礎に、連帯に基づく水平な関係で共に協働するという2030アジェンダの哲学を反映しています。

 イベロアメリカの協力の最も貴重で独特の特徴の一つは、その活力と自身の経験から学ぼうとの意欲です。2006~15年の期間にイベロアメリカ諸国が参加した南南協力の事業計画、プロジェクト、活動は7,335件近くに及びます。この8割が二国間形式、13%が三角協力形式で実施され、残りの少ないながらそれでも相当数が地域レベルで実施されています。イベロアメリカ事務局(SEGIB)はこの膨大なデータを活用し、地域の南南協力年次報告を編纂し、既に11版まで重ねています。報告書の主役は域内諸国一つ一つであり、事務局が設けた世界唯一のオンラインプラットフォームを通じて経験の共有が図られています。報告書は各国が特定の課題に対して適用したますます幅広い解決策を紹介し、効率性を探求し、影響を分析する手段になっています。報告書は熱意をもって真剣に協働活動に従事した場合、どれだけのことが達成できるかを示す最善事例となっています。教えるべきこと、学ぶべきことがたくさんあるため、会議に参加できてとてもうれしく思います。

 1月に発表された世界委員会の報告書は、仕事の未来への移行を成功させる手段として「人間中心アジェンダ」を提案しています。この活動は労働者の技能への投資、労働に係わる制度機構の現状に合わせた更新、持続可能なディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の促進の三つの分野を基盤としています。報告書は、未来の主役となるべきであるものの、現在は不完全就業や非公式(インフォーマル)経済の影響を激しく受けている若者に強い焦点を当てています。

 科学技術はそれを利用できる機会のある人、つまり利用できる訓練を受けた人の力になるとの前提に立った報告書は、若者に対する投資の中心を、将来的に良い仕事を得るために必要な技能の指導と教育に置いています。これにはオンラインとオフラインの学習を組み合わせた教育やゲーム要素などの近代的な刺激を活用した教育などの最新のツールを用いた教育、リーダーシップやコミュニケーション、チームワーク、創造的問題解決力などのソフトスキルを教える教育などが含まれます。

 この分野でもイベロアメリカには貢献できるものが多く存在します。学生の流動化を促進する欧州連合(EU)のエラスムス計画から得られた結果のうちでこれに最も関連するものの一つは、この種の教育流動性を経験した若者は失業率が低く、賃金が高いという点です。そこで、イベロアメリカ事務局でもイベロアメリカ・キャンパスという同種の計画を開発中です。これはソフトスキルの促進に非常に役立つ豊かな経験を求めて大学生が大西洋を横断して交流することを許すものです。

 世界委員会が提案したこの新しい教育生態系における政策の立案は南南協力によって非常に豊かになるものと考えられます。これは私たちの創意工夫が必要な分野、経済的な観点から見て効率的で教育面から見て有効な様々な手段を試みるべき分野です。この分野に関しては、南南協力の視点から経験とアイデアを共有し、各国が最善の解決策を見つけて自国の状況に合わせて適応できるよう、取り組みを体系的に報告書にまとめた方が良いと思われます。

 最後に、仕事の未来の問題を地域の政治・立法課題に含む必要がありますが、これは一緒に進めなくてはなりません。新たな権利を形成し、古い権利を新しい状況に合わせて更新する必要もあります。中でも強調されるものとして、生涯学習の権利の普遍化、仕事を移る際の社会的保護の権利、そして全ての人に保障されたディーセント・ワークの権利を挙げることができます。この権利は、尊厳ある賃金、労働安全衛生、仕事と家庭の調和、公正な労働時間に関して前世紀に達成された成果を組み込んだ上で、それらを自律的な労働形態がますます増え、生涯を通じた仕事がますます減るであろう新たな労働環境に適応させることによって、就業上の地位や勤続期間にかかわらず、全ての人にディーセント・ワークを保障するものとなるでしょう。

 イベロアメリカ事務局とは、中南米のスペイン・ポルトガル語圏諸国に加え、スペイン、アンドラ、ポルトガルが参加する国際多国間機関です。人間開発を推進する指導者として広く認められているグリンスパン事務局長は、不平等と貧困の削減、男女公平、SDGsの達成及び開発の手段としての南南協力などの重要な問題に、中南米を始めとした世界各国の注意を大いに喚起してきました。

南側諸国の若人よ、自らの仕事の未来のために力を合わせよう

マリア・ビクトリア・アロンソペレス・チップセーファー創立者

 SDGヤングリーダーの1人であるマリア・ビクトリア・アロンソペレスさんは、ILOブログ投稿記事で、自身の経験を元に、途上世界は若者にとっての機会がいっぱいと説き、南南・三角協力などを通じて望ましい仕事の未来を構築する集団的な行動を呼びかけています。

 多くの若者は世の中に違いをもたらしたいとの意欲とエネルギーをもっているため、途上世界は若者にとっての機会に満ちています。多くの場合、地域社会が抱える問題に対する解決策は見た目より簡単ですが、誰かの一押しが必要です。影響力のあるベンチャーやプロジェクトを生み出すことほど報われるものはありません。

 電気技師としての学位を取得した後、小型衛星を扱う仕事をしていたアロンソペレスさんは、2012年に、国際電気通信連合(ITU)が若手イノベーター対象のコンペとして特定地域の問題を解決する技術的な発明を募集していることを知りました。2001年に目撃した、ウルグアイを始めとした域内諸国で大流行し、経済に深刻な打撃を与えた家畜の口蹄疫を思い出し、宇宙工学の知識を用いて作り上げた、家畜の異常を遠隔で監視するシステムでコンペに優勝しました。アロンソペレスさんは優勝賞金で家畜の首輪に設置した追跡装置から送られるデータを用いて家畜の行動を分析する監視プラットフォームのチップセーファーを設立しました。チップセーファーは異常の検出や家畜の盗難対策になるだけでなく、生産工程に関して農家がより良い決定を行う手助けも提供します。

 南側諸国は力を合わせて技術革命の波に乗り、このような革新的な解決策を活用して課題を克服し、より持続可能でより良い未来を達成すべきです。これこそが南南協力の意図するところだと思います。変化の推進者として若者もこれに参加する必要がありますが、若者の失業者は世界全体で6,500万人に上るなど、若者は依然として多くの課題に直面しています。

 間もなく開かれる第2回国連ハイレベル南南協力会議(BAPA+40)の枠内でILOが主催する若者の仕事の未来に関するイベントは、この問題を技能開発政策、グリーン・ジョブ、社会対話の三つのアングルから検討し、南南・三角協力の中に若者の就労に関する政策を効果的に組み込む方法について会議参加者に提案を示すことを目指します。このイベントで私は未来の仕事の世界が若者に提示する課題、そして南南協力が若者の人間らしく働きがいのある仕事の促進にどのような影響を与え得るかについて話す予定です。

 科学技術は世界に革命を起こしていますが、仕事の世界も例外ではありません。全ての利害関係者が望ましい仕事の未来を構築する責任を引き受け、集団的な行動を取るべきですが、南南・三角協力もその解の一部である必要があります。

 以上は次の2点の英文広報資料の抄訳です。