社会的保護
発想を変えて公的保険制度を大きく一押し:ガーナからの報告
ILOの「影響力ある保険ファシリティー」は、ガーナの国民健康保険制度が費用を節減し、利用者向けサービスを向上させるのを手助けしました。
2018年08月14日
今年で創設10周年を迎えたILOの「影響力ある保険ファシリティー」は、保険部門、政府、それぞれのパートナーが保険の影響力を完全に発揮して世帯の脆弱性を低減させ、企業の強化を図り、公共政策の改善を促進するよう支援しています。ファシリティーの支援は多岐にわたっていますが、その一例として、最近、ガーナの国民健康保険制度が費用を節減し、利用者向けサービスを向上させるのを手助けしました。
ガーナの国民健康保険制度は国民すべてをカバーするという野心的な目標を掲げていますが、加入者数は2、3年前から人口の約4割で伸び悩んでいます。加えて、課税その他の収入源による追加的な財源開拓力が限られているため、他の多くの国民健康保険制度同様、財政的な課題に直面しており、運営費や保険金などは賢く支出する必要があります。そこでILOの「影響力ある保険ファシリティー」の支援を受けることとしました。
プロジェクトの準備段階で保険の加入と更新の手続きが運営の主な障害の一つであることが判明しました。手続きは各地に存在する国民健康保険庁の事務所のどこかに加入者本人が出向いて行わなくてはならず、しばしば建物を何重にも行列が取り巻き、暑い日中に行列に並ぶことを避けるために施設の外で夜明かしする人さえ出ていました。職員はしばしば手一杯で、長い待ち時間は多くの人から加入や更新の意欲を失わせていました。この時間と費用がかかる手作業の手続きは加入者と保険庁の両方に相当の損害を引き起こしていました。そこで革新的なデジタル解決策が求められました。
保険庁は現在、利用者が単なる携帯電話やスマートフォンを使って加入資格を更新できるシステムを試行しています。ファシリティーは当初資金を提供し、可能な技術解決策の概念形成を行い、事業が軌道に乗るよう技術的な支援とプロジェクト運営に対する支援を提供しました。
最近、ジュネーブのILO本部でこのような経験を報告したガーナ国民健康保険庁のリディア・ジャーネ=セルビー運営担当副長官は、このプロジェクトが運営効率を高めることによって経費を節減できる可能性を秘めており、資金の漏出を大幅に減らせる可能性があり、全国的な規模で見ると、この節減額は保険庁の赤字を有意義な形で縮小し、業績向上が見込まれると発表しました。「3万ドルの予算を用いてたった6カ月間で国民健康保険制度にとっては状況を変えるきっかけとなるようなものが達成されたことに私は心地よい驚きを覚えています。低コストでこの高い影響力は驚くべきものです」とジャーネ=セルビー副長官は感想を述べています。
ILOの影響力ある保険チームを率いるクレイグ・チャーチル・リーダーもプロジェクトの成功は非常に印象的と評し、「何がわくわくさせられるかと言って、地区事務所における登録のための行列を短くすることを目的として始められたことが、費用節減や増収、不正問題対策の点でずっと大きな影響力を持つものに転じた点」と語っています。さらに、「ガーナの社会保障プロジェクトへの我々の関与は、公共政策プロジェクトを含む我々の介入方法の多様性、そして比較的少額の金銭的支援がいかに大きな結果を生む可能性があるかを示す好例」と評価しています。
以上は2018年8月14日付のジュネーブ発英文広報記事の抄訳です。