男女平等

理系産業における男女平等に向けた道を敷設

 フィリピンの女性は数学、科学、技術、工学といった理系産業で取り残されていると感じています。ILOがJPモルガン・チェース財団の支援を受けて展開している「理系人員における女性プロジェクト」は、女性労働者が自らの潜在力を十分に開花させ、キャリア目標を達成するために必要なソフトスキルを得るのを支援しています。

2021年02月11日

 フィリピンの女性は数学、科学、技術、工学といった理系産業で取り残されていると感じています。ILOがJPモルガン・チェース財団の支援を受けてインドネシア、タイ、フィリピンで試行している「理系人員における女性の即戦力化・育成計画(理系人員における女性プロジェクト)」は、女性労働者が自らの潜在力を十分に開花させ、キャリア目標を達成するために必要なソフトスキルを得るのを支援しています。

 理系産業で働く女性は低技能職に就いている場合が多く、昇進の可能性も低くなっています。フィリピンでは自動化によって職を失う可能性が女性は男性の2.4倍になるとILOでは推定しています。

 科学技術と工学の世界企業であるエマソン社のマニラに拠点を置くフィリピン支社でサプライチェーン(供給網)の解析を扱うチームのリーダーとして働くエンジニアのサンディー・ノッチェさんは、理系分野で7年以上の実務経験があり、こういった課題を身をもって経験しています。この産業における女性の代表性を高める必要性を感じ、状況を変える決意を固め、理系人員における女性プロジェクトがエマソン社と提携して実施している「イン・ビジネス・ソフトスキル訓練プログラム」に参加する機会に飛びつきました。

 理系関連産業で働く女性にキャリア開発に向けた力をつける手助けを行うよう設計されたこの研修の初回のものは、新型コロナウイルスが流行し始める前の2019年に女性エンジニアを対象に実施されました。イン・ビジネス訓練は受講者が互いに経験を共有して学び合うことを許す革新的な双方向型手法を用いています。ビジョン設定、チームワーク、人前で話すなどのモジュールで構成され、女性従業員に実践的な技能と先輩からの助言に当たるメンタリングを提供します。

 時間管理や創造的思考、ネットワーキングといったソフトスキルは職業上の成功に必須ですが、先輩からの助言の欠如や男女差別を理由として女性は置き去りにされる場合が多くなっています。遠隔勤務と適応性が規範となった新型コロナウイルスの時代には職場におけるソフトスキルの重要性は高まる一方です。

 「訓練は規範を逸脱し、革新的な取り組みの着想源となり、この世界をより良い場所に変える新たな考え方を促進してくれました」と語るサンディーさんは、ILOのソフトスキル・モジュールを職場に導入し、女性労働者が自らのキャリア目標を達成する力をつける手助けをすることによって訓練を一段階引き上げました。向こう数カ月間の訓練には50人以上の待機者がおり、勢いはさらに増しています。

 エマソン社の女性エンジニア・グループの1人であるサンディーさんは、ILOのソフトスキル訓練がいかに「一緒になって誰もが革新的な解決策に到達することを可能にするような環境を形成」しつつ、「将来のために必須である決定的に重要なスキル」を学ぶ機会を与えてくれたかについて、他の人々と意見を共有しています。

 女性が理系産業で頭角を現すことを支援するという公約はエマソン社の経営陣にも共有されています。エマソン・南アジア部門の代表取締役も務めるアミット・パイタンカル・フィリピン・エマソン支社長は、次のように述べています。「弊社は多様性を支え、包摂を旨とする職場形成を約しており、一人ひとりが尊重されているように感じ、潜在力を全て開花できるような文化の醸成に常に努めています。弊社の従業員が自分の仕事を通じて自らを花開かせ、良い方向に向けた違いをもたらす機会を得られるよう、情熱と熱意をもって弊社の人員支援、従業員育成を手助けしてくれているサンディーのような従業員、そしてILOのようなパートナーに感謝しています」。

 東・東南アジア太平洋担当のチャールズ・ボドウェルILO企業開発専門官は、「理系関連産業におけるソフトスキルの男女間格差の縮小」を「とりわけ新型コロナウイルスの時代に職場における男女平等を達成するカギを握るもの」と位置づけた上で、「コロナ禍の打撃を強く受けている、代表性の低い集団の支援が、より良い仕事の世界の構築のためには決定的に重要であり、同時にまた、格差の解消や一人ひとりの潜在力支援はビジネスにおいて正に理にかなっています」と評価しています。

 「女性のエンパワーメントを通じて理系分野における男女間格差に橋を架けることは、職場だけでなく地域社会でも男女平等を促進する上で決定的に重要」と指摘するサンディーさんは、性差が才能や技能を規定しないような未来を夢見ています。これは農家の生まれながら辛抱強く頑張れば誰でも成功できるとの強い信念を抱いていた父親、そして愛情をもって物事に接し勇敢であるよう教え込んでくれた母親のおかげとして感謝しています。サンディーさんは今日、限界を打ち破り、良い方向に向けた変化を促すアイデアや革新的な取り組みの着想源となり、それらを勇敢に推進できる力を他の人々につけさせることを目指しています。

 以上はILOフィリピン国別事務所による2021年2月11日付のマニラ発英文広報記事の抄訳です。