ILOブログ:若者の就労
正しくない技能を備えて大学を卒業した私に起こったこと
この投稿記事では、文系出身の若者が、若者にとっても、そして企業・経済にとっても理系科目の学問が重要であることを見出した自身の経験を記しています。
2019年12月11日
| シンクヤング職員デリラ・キダヌさん |
若者の就労促進に向けた国連機関全体にわたる取り組みである「若者のための働きがいのある人間らしい仕事グローバル・イニシアチブ」の下には、国際機関に加え、各国政府、労使団体、市民団体、若者団体、民間企業など幅広いパートナーが結集しています。イニシアチブは2019年12月11日に、若者の就労に関する政策や事業計画の設計、実施、モニタリング、評価に関連した学びの円滑化を目指し、経験共有のための知識ファシリティーを立ち上げました。同日付のILOブログ投稿記事で、若者の意思決定過程への関与を推進し、若者に影響を与える重要な問題に関する質の高い調査研究で意思決定に携わる人々を支援するケニアの非営利団体シンクヤングの職員デリラ・キダヌさんは、理系の学問という使用者の求める技能を習得しなかったために就職活動で苦労した自身の経験を振り返り、技能ギャップの問題とミスマッチ是正のための活動の重要性を記しています。
多くの新卒者同様、キダヌさんも大学を出てすぐに、科学や工学、数学などの理系学部出身者ほどに就職先の選択肢がないことに気づきました。使用者が求める技能を身に付けていることがいかに大切かを苦い経験から学びました。
調整が必要なのは学生側の学問分野選択だけではありません。キダヌさんが住むケニアでは、ほとんどの大学がまだ、情報通信技術(ICT)関連技能に対する需要の増大に対応したカリキュラム構成を提供するに至っていません。この分野の卒業生は3年後に1万7,000人に達すると見られますが、2022年までに企業が求めるICT専門職は9万5,000人に上ると推定されており、この差を埋める必要があります。
これはケニアやアフリカだけの問題ではなく、世界の企業トップの最低でも79%が重要な技能が得られないのではないかと懸念しており、アフリカに限ると、この割合は87%に上昇します。
キダヌさんは幸運でした。雇用と技能に関する関心を満たす良い仕事を見つけることができたのです。シンクヤングで働き始めて間もなく、利潤や成長統計よりもこの技能不足が企業や経済に影響を与えていることを理解するに至りました。誤った技能の習得は新卒者が就職できない最大の理由の一つであるため、かけがえのない人的資源に与えられるダメージの方がはるかに大きいと言うことができるかもしれません。このミスマッチを正すことができたら、得られる利益は莫大なものとなるでしょう。
世界的に若者は震え上がるほどの就労に関わる課題に直面しています。今後20年の間、アフリカでは毎年、1,500万~2,000万人の若者が労働市場に新たに加わります。同時に、技術の進歩はデジタル経済における労働需要を押し上げると予想されるため、就労問題に対する取り組みを助けることになるでしょう。必要なのは、政府及び労使団体と協働して若者に職を生み出すような環境を形成しつつ、将来を見据えた正しい技能を備えた持続可能な人材補給路を形成することです。
需給ギャップを埋める方法は色々あります。自己学習、科学技術分野の起業支援施設、オンラインコース、ワークショップなど、全てが役に立つ可能性があります。ILOは2017年に「若者のための働きがいのある人間らしい仕事グローバル・イニシアチブ」の下で国際電気通信連合(ITU)と連携し、2030年までに500万人の若者にデジタル技能を身に付けさせることを目指す「仕事のためのデジタル技能キャンペーン」を開始しました。具体的な活動には、デジタル技能を学校カリキュラムの主流に据えることや包括的な実務研修制度の確立、デジタル技能を中心とした職務に若者を雇うよう官民の雇用創出機関に奨励することなどが含まれています。若者が主導するデジタル分野の起業家育成にも重点が置かれます。
キダヌさんのような非理系出身者も望みが絶たれているわけではなく、再訓練や技能向上の機会が提供されており、その一つとして「若者のための働きがいのある人間らしい仕事知識ファシリティー」を挙げることができます。非理系出身者として学童を中心に理系の教育や訓練を増加させることを広報提言しているキダヌさんは、「新しいことを学ぶのに年齢は関係ない」と結論づけています。
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以上はシンクヤング職員のデリラ・キダヌさんによる2019年12月11日付のILOのブログ「Work in progress(進行中の仕事)」への英文投稿記事の抄訳です。