論評:欧州の社会モデル

欧州の社会モデルがまだ通用する理由

2014年03月19日

 包摂的な経済成長、高い生活水準、働きがいのある人間らしい労働条件を促進する包括的な社会政策集合として、欧州の社会モデルは戦後欧州社会の形成に重要な役割を演じてきました。2008年から始まった世界金融・経済危機の最初の段階では、社会的保護のような要素が成長、失業、貧困の影響を緩和する助けになり、社会対話を通じて労使が設定した労働時間短縮のワークシェアリング制度が一時解雇を減らすことができたというように、この重要性は明らかでした。しかし、財政赤字と国家債務水準に対する懸念の高まりから2010年以降多くの国が財政強化政策に走り、2011年に欧州連合(EU)27カ国の公的社会支出は前年比約1.5%減を記録しました。この結果、欧州の社会モデルを巡る状況は国によって大きく異なるものの、その主要な柱のすべてに大きな影響が出ています。ILOも欧州委員会も欧州社会モデルの幾つかの要素は市場のグローバル化に伴う競争の熾烈化や欧州社会の高齢化といった課題に直面し、改革が必要なことを認めていますが、財政強化政策があまりにも急速に変化を押し進めてしまったのではないかとの疑いがあるのも事実です。EU、国際通貨基金(IMF)、欧州中央銀行(ECB)というトロイカの直接の影響下にある国々では賃金や団体交渉における変更の導入によって単位労働コストを引き下げるよう求められ、しばしば社会的保護制度は切り詰められ、就業率を高めるために労働市場の改革は加速され、公共支出の削減は公共サービスの質や範囲に影響を与えています。社会的保護の水準と対象範囲の削減と結びついた労働市場の柔軟化は貧困、人的資本、平等といった側面に負の影響を与え、2012年に欧州では働く貧困層(ワーキング・プア)が就業者全体の9.1%に達しています。

 ILOの近刊『The European Social Model in times of economic crisis and austerity policies(経済危機と緊縮政策の時代における欧州社会モデル)』の編者であるダニエル・ボーン=ホワイトヘッド上級労働経済専門官は、今年2月にブリュッセルで開かれた欧州社会モデルの将来に関する会議で論じられた事項をこのように紹介し、EU自体がその歴史において中心的な役割を演じてきた社会モデルに関して力強い見解を表明し、それを維持するために必要な決定を採択することの重要性を指摘しています。

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 以上はダニエル・ボーン=ホワイトヘッド上級労働経済専門官による英文論評の抄訳です。

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