ILOブログ:労働安全衛生世界デー

次世代労働安全衛生の構築

 労働安全衛生世界デーの準備活動の一環として、先月私は中南米を訪れて若者労使から労働安全衛生事項に関する話を聞いてきました。2018年の世界デーは、職場で負傷する確率が不均衡に高い15~24歳の若年労働者の職場における安全と健康の改善に焦点が当てられています。

2018年04月27日

ヤレド・ブロッホILO労働安全衛生上級広報官

 今年の労働安全衛生世界デー(4月28日)は、職場で負傷する確率が不均衡に高い15~24歳の若年労働者の職場における安全と健康の改善に焦点が当てられています。世界デー前日の2018年4月27日付でILOのブログ「Work in progress(進行中の仕事)」に投稿した英文記事で、ヤレド・ブロッホILO労働安全衛生上級広報官は、前月の中南米出張で出会った若者労使の労働安全衛生に対する取り組みを紹介しています。以下はその抄訳です。 うに紹介しています。

 ブロッホ広報官は3月の出張でコロンビア、アルゼンチン、ウルグアイの3カ国を訪問しました。

 最初の訪問地コロンビアでは脆弱な就業形態の若者(15~24歳)が約1,200万人に上り、若年労働者の労働基本権の保護が大きな問題になっています。ILOと協働する非政府組織(NGO)「フスティシア・イ・リベルタ(正義と自由連帯センター)」は、コロンビア労働者中央連合(CUT)及びCUT加盟組織であるヤシ労働者組合と共にサンタンデルとセサールの二つの県の労働者の安全と福祉の向上及び団体交渉促進活動に従事しています。フスティシア・イ・リベルタは少数の職員とボランティアを用いて、地域の広大なパーム油プランテーションで働く労働者に、労働者の権利に関する研修と広報提言活動における支援を提供しています。

農業労働者の労働災害率、職業病罹患率は全世界的に高くなっています。 © Maxime Fossat / ILO

 ブロッホ広報官がサンアルベルトで出会ったヤシ農園で働く若者らは、安全衛生研修も必要な保護具の支給も受けずに危険な条件下で働いている現状を報告しました。請負労働者であるため、社会保障は限定的であるか全く加入しておらず、傷病時の医療費は自分で負担しなくてはならず、団体交渉を行うことも禁じられているそうです。町で開かれた組合の集会で出会った若者のホルヘさんは、勤労生涯に足を踏み入れたばかりの頃、ヤシの枝と共に親指もなたで切り落としてしまいました。ホルヘさんは事故が自らの自尊心と生計を立てる能力にいかに影響を与えたか詳しく語ってくれました。

 先月、地域の外注業務を請け負う労働者を代表する組合である農業関連産業請負労働者一般組合(UGTTA)がフスティシア・イ・リベルタの支援を受けて飛躍的な前進を成し遂げました。コロンビア最大のパーム油生産者であるINDUPALMA社の労働者の直接雇用契約交渉に成功したのです。これでホルヘさんのような労働者は、真の雇用主と直接契約を結び、安全衛生研修や年金、社会保障給付を受けることができるようになります。

 2番目の訪問地であるアルゼンチンでは18~24歳の若者が労働力の4割近くを構成しています。ここではアルゼンチン建設労働者組合(UOCRA)が次世代労働者を対象とした研修や広報提言を行う若年労働者事業を展開しています。UOCRAは、若年労働者が安全であり続け、労働安全衛生防止活動で積極的な役割を演じるために必要な安全衛生研修を若年労働者に備えさせることに専念した特別部隊として、若者タスクフォースを設けています。

 ブロッホ広報官は3日間にわたり、UOCRAの安全衛生集中入門プログラム、現場の職業訓練セミナー、専門職業能力育成講座に参加する複数の若者に話を聞きました。UOCRAの補助職員ディアナさん(21歳)は「若年労働者の意思決定への参加がカギ」と指摘しています。

 ILOは間もなく、安全で健康的な新世代労働者の構築を目指すSafeYouth@Workプロジェクトをアルゼンチンで開始しますが、UOCRAモデルは防止を基盤とした労働安全衛生を若年労働者の研修の主流に組み込む方法に関する前途有望な好例であると言えます。

 最後の訪問地ウルグアイでは、最近開始されたILOのSafeYouth@Workプロジェクトと労働安全衛生全国評議会(CONASSAT)の協力事業の一環として提供された、労働安全衛生と若年労働者に焦点を当てた研修コースを修了したばかりの労働監督官の一団に証明書を授与する労働・社会保障省の職員に同行しました。若年労働者特有の職業上のリスクに関する調査研究を行い、技術・職業教育訓練プログラムの中に労働安全衛生の内容を組み込む作業を行っているこの共同事業は、産業イニシアチブを補足して、若年労働者が市場価値のある職務技能の育成を図りつつ労働安全衛生に関する技能と知識を得るのを確保することになります。

 病院拡張工事を視察中にバークス建設会社の労災防止専門家であるマウリシオさん(22歳)から聞いた言葉は、「すべては作業チームとの効果的なコミュニケーションにかかっている」というものでした。現場では21歳の若い石工見習いとより年長の労働者がチームを組んで働いていました。これは新人の若者が現場に入った瞬間から職場における先輩からの指導と知識共有が行われるよう確保するための会社の戦略の一部だそうです。

 ジュネーブのILO本部への帰途、今回の訪問を振り返ったブロッホ広報官は、安全で健康的な作業環境を今日実現するには多くの課題があるものの、仕事の未来は多くの有能な手に委ねられていると感じるに至りました。