雇用集約型投資計画

東チモールにおける包摂的な農山漁村開発に向けた道の敷設

 東チモールが開発目標を達成するには、人口の7割が住む農山漁村地域における持続可能で包摂的な就労と成長を促進する必要があります。これを手助けするために、ILOの基盤構造事業は女性や障害者に農林業部門における就労機会の発掘に努めています。

2019年09月05日

 人口の7割が農山漁村地域で暮らす東チモールが開発目標を達成するには当該地域における持続可能で包摂的な就労と成長を促進する必要があります。ILOの基盤構造事業はその助けになっています。

 欧州連合(EU)の資金協力を受けてILOが主導する「農山漁村へのアクセス向上農林業(ERA農林業)プロジェクト」は、農山漁村開発と社会的包摂の促進を目指しています。

 この道路維持・復旧事業の労働力は沿道の共同体から募集されます。この事業計画は賃金支給を通じた地域経済の底上げ、労働者の技能構築、個人、とりわけ障害者のような最も脆弱な層がより公式(フォーマル)な就労によって経験を得る機会の提供によって地元社会に利益をもたらしていると、プロジェクトのアルベール・ウリヨ・マネジャーは説明します。

 障害者の包摂と男女平等に特に重点を置くことは、工事を実施する40あまりの請負業者と地元共同体との間で締結される覚書に組み込まれています。包摂的な取り組みは「開発のための道路(R4D)計画」から取り入れられた社会防衛枠組みの一部であり、業務と賃金、性差、障害、セクシュアル・ハラスメント(性的嫌がらせ)絶対不可といった、安全衛生、均等、児童平等に関する規定などが含まれています。

 東チモール東部のバギア村で暮らすルイ・グテーレスさん(32歳)は、稲作と畜産を組み合わせる苦しい暮らしの中で3人の子どもをやっとのことで育てています。もっと定期収入が得られる仕事が欲しいと思っていましたが、2018年9月に村の中を通る道路建設プロジェクトのことを耳にした時には採用される可能性は低いと思いました。

 生まれつき右足が不自由なグテーレスさんは、「人は皆、違うけれど、障害者であるということは、全く状況が違います」と語っています。それでもなお、プロジェクトのことをもっと知りたいと思い、もしかしたらチャンスがつかめるかもしれないと期待して、村の説明会に参加しました。説明会では、ERA農林業プロジェクトの一環として、東チモールの請負業者によって地域の道路90キロ以上の維持・復旧工事が行われることを知りました。そして、請負会社の一つであるカイダダーレ・ウニペッソアウ株式会社に未熟練労働者として雇ってもらうことができました。

 「毎月の定期収入はとてもうれしいです。おかげで今は家族のニーズも満たされ、昔と違って日々のニーズが満たされているため、暮らし向きもよくなりました」と語るグテーレスさんは、収入の残りを用いて、売店のような小規模事業を始める計画を立てています。

 ERA農林業プロジェクトのもう一つの社会目標は、延べ45万日分になる日雇い労働機会合計の3分の1を女性に確保することです。受益者の1人であるマリア・アンジェリナ・グテーレスさん(27歳)は別の請負業者であるジャトノ・ウニペソアウ株式会社で現場監督として働いています。これまでに労働基盤型道路維持の訓練を受けたことがなかったため、働き始める前はこの仕事の課題にどう取り組むか心配でした。しかし、ドンポスコ研修センターで2カ月間の研修を受け、事業運営・契約管理の技術を学び、今は監督業務遂行に必要な技能を備え、同僚からもその能力を認められています。

 東チモールの女性は、公式の就労機会が限られている可能性がある農山漁村ではとりわけ、労働力に占める割合が低いままです。女性の能力についての認識や家庭責任、ある種の仕事の肉体的な要求度の高さもまた、女性が家の外で仕事を探す意欲を失わせている可能性があります。

 事業計画には効果的な技能移転を確保するコーチングや先輩によるメンター指導も盛り込まれています。プロジェクトは2017年6月の開始以来、市場や僻地へのアクセスを向上させる道路工事プロジェクトの効果的な実施・監督についてカイダダーレ社を含む請負会社25社に訓練を提供しました。しかしながら、より技能水準が高い女性や技術的な分野への就労に関しては依然として女性を阻む課題が残されています。ERA農林業プロジェクトはバウカウ村で計46人に現場監督の研修を提供しましたが、女性はマリアさんを含み3人だけでした。理数系分野の学問に進む女性の増加と技術分野への女性の参加を奨励する努力を要する厳しい課題ですが、これは雇用や所得補助、技能、農林製品市場へのアクセスを育むことになります。包摂的で持続可能な開発の過程で地元住民に力を付与することがカギを握っています。

 農山漁村の基盤構造の開発は、持続可能な開発目標2「飢餓をゼロに」の達成目標の一つです。

 以上はILOアジア太平洋総局による2019年9月5日付のバギア発英文広報記事の抄訳です。