SCORE
成功のカギは二つのC:コミュニケーション(communication)と協力(cooperation)
全面的な参加と効果的なコミュニケーションの仕組みは第一線の労働者の潜在力を解放し、生産性を高める可能性があります。職場の包摂性がもたらす利益を示す主導的な事例として、ILOのSCORE計画に参加するある中国企業の例をご紹介します。
2018年04月04日
ILOの「競争力と責任ある企業を支える(SCORE)計画」は実践的な訓練と工場内における相談対応を支援して中小企業の生産性と労働条件の改善を図っています。中国におけるSCORE計画は国家安全生産監督管理総局(SAWS)と共同で実施されています。
SCORE計画を取り入れた企業の一つである高盟新材社は1999年創業の接着剤メーカーです。2011年4月に深セン証券取引所のChiNextに上場して品質、安全性、経営面の公式認証を全て取得しましたが、上場後に経営改善努力が鈍ったため、状況改善を目指してSCORE計画に参加することにしました。
SCORE計画は、職場内協力、品質管理、よりクリーンな生産と生産性、人材管理、労働安全衛生の五つのモジュールで構成されています。第1のモジュールである職場内協力はこのプロジェクトの基盤をなし、職場内で尊重、信頼、コミュニケーションを築く助けになります。これによって従業員が共通の目標の周りに集結し、一丸となって企業改善に努力することになります。
このモジュールの要請に対応して、高盟新材社は第一線の労働者6人と管理職5人で構成される企業改善チームを設けました。チームは毎週ミーティングを開き、労働安全衛生や品質管理、職場内協力などについて話し合いを行います。最初に労働者が問題を解決するための提案を出し、次に管理職がこれを実行する資金・資源を提供します。この種の第一線の労働者と管理職との直接的なコミュニケーションはこれまで同社では見られなかったものです。
保守部門から参加する労働者のジャン・シュエビンさんは最初のミーティングではたくさん出席していた管理職が、「みんな少しぎこちなく、場違いな感じがしました」と振り返ります。ジャンさんはまた、自分の提案が実行されるか懐疑的でもありました。しかし、会議後すぐに、彼の提案の多くが採用され、社内の多くの問題が解決されました。今では、「会社のため、そして自分自身のために、自分をもっと表現できるように感じています」と語っています。SCOREのウー・ゼンリー指導員も、同社の最大の問題点の一つはコミュニケーション不足であったことを認め、交流のチャンネルが築かれた今となっては、ゴミや職人芸、労働条件、作業環境などの問題に直面している労働者は、対策案と共にそれを提起する積極性を得たと説明しています。
ミーティングに加え、「1人1提案」方針も導入されました。これは、従業員一人一人に職場の問題と解決策の特定を奨励するものです。企業改善チームの書記を務めるバイ・シャンさんが毎週社内全体から提案を集め、その実用性、創造性、影響力に応じて点数を付け、最高点をとったものには報奨が出されます。
会社の正門に貼り出される改善提案の表はわずか2カ月の間に11件から58件へと急増しました。ある研究所の技術者は標本抽出工程で用いられている試薬の量を制限し、相当量の無駄をなくすことを提案しました。この提案は採用され、会社に年間最大3,000元(約5万円)の節減をもたらしました。生産ラインで働く別の労働者は生産工程における間違いを防ぐため、生産機材に印を付けることを提案しました。この解決策はバルブに赤、緑、黄色の矢印を書くという簡単なものでした。「一般に、提案は直接的で、簡単に適用でき費用を節減できるようなものです」とバイさんは説明します。提案を採用するようになってから企業の全体的な経営は直ちに改善しました。また、提案の公開は、ますます多くの労働者が自分の考えを表現して企業の業績改善に従事することを促しています。
今ではSCORE計画導入の利益は労使どちらの目にも明らかです。ジャンさんは「『1人1提案』方針は、自分の提案が会社を改善するだろうと考えることによって、私たちが企業の経営にもっと前向きに関与する動機を形成してくれています」と語っています。ザン・メン安全部長も、「前はどこに問題があるか見つけるのに苦労していたものですが、今では誰もが積極的に問題点を報告するだけでなく、解決策も提案してくれています」と報告します。
SCOREは包摂性と労働者関与の企業文化の構築を助けると、ウー指導員は説明しています。
以上はILOアジア太平洋総局による2018年4月4日付の北京発英文広報記事の抄訳です。