デジタル・プラットフォーム労働者

広報動画-デジタル労働プラットフォームで働く人々が自らの経験を語る

 デジタル・プラットフォームは世界各地で女性や若者、障害者、これまで疎外されてきた集団を中心に新たな機会を開きつつある一方で、かつては明確だった雇用者と自営業者の区別を曖昧にしてきています。実際にプラットフォーム経由で仕事を請け負っている人々に話を聞いてみました。

2022年01月12日

 過去10年で5倍に成長したデジタル労働プラットフォームは今日の世界でありふれた事象となり、私たちの日常生活の一部と化してきています。新型コロナウイルスの世界的大流行が始まってからその姿は一層顕著になってきています。ウェブサイトのデザインからソフトウエアの開発、アルゴリズムの訓練など、プラットフォームを通じて企業が新たに外注するようになった仕事は幅広く、作業組織や労働規制のあり方を変えつつあります。「変容する仕事の世界におけるデジタル労働プラットフォームの役割」を副題に掲げるILOの定期刊行物『World employment and social outlook (WESO)(世界の雇用及び社会の見通し・英語)』の2021年版は、デジタル・プラットフォームが世界各地で女性や若者、障害者、これまで疎外されてきた集団を中心に新たな機会を開きつつある一方で、かつては明確だった雇用者と自営業者の区別を曖昧にしてきていると指摘しています。ほとんどの場合、プラットフォーム労働者の報酬は低く、日常生活はアルゴリズムに規定され、社会的保護や有給休暇、最低賃金、団体交渉などといった伝統的な雇用に伴う利益が得られません。世界各地のプラットフォーム労働者の実際の声を聞いてみましょう(地図中の名前をクリックするとYouTube動画をご覧になれます)。

◎セルビアのデュシャン・ミヤイロビッチさんのデジタル・プラットフォームでの暮らし(文字起こし作業に従事する歯科学生)

 セルビアの首都ベオグラードに住むデュシャンさん(現在27歳)は、基本的に経済的な事情からフリーランスの活動を始めることを余儀なくされました。歯科大学の年間授業料は非常に高く、追加的な収入源を見つける必要があったのです。デュシャンさんは次のように語っています。

 人々がセルビアを気に入っているのはここではほとんどの人が無償で働くのを知っているからです。「そうだ、セルビア人がいる。搾取してやろう」といった感じです。これは良くもあれば、悪くもあります。例えば私が引き受けた仕事あるいは申し出の中には、英米のような高額所得国の人はたぶん引き受けないようなものがあります。でもその支払いは自分には適切であったため、引き受けました。だから良い面と悪い面があると言えます。健康保険から年金まで、あらゆる給付が全て自己負担です。だから自分の年金額は多分他の人よりずっと低くなると思います。

 仕事に満足しているか、ですか? ええ、差し当たりいい生活を送れるだけの収入になっているので満足しています。今後もこの仕事を続けるつもりかという点に関しては、分かりません。たぶん、もしかしたら他の国に行ってそこで歯科関係の何かの仕事の機会を見つけようと考えるかもしれません。でもセルビアでは今のところこの仕事はしないと思います。

◎パキスタンのアリ・ザインさんのデジタル・プラットフォームでの暮らし(ウェブサイト開発者)

 パキスタンの主として首都イスラマバードで暮らしてきたアリ・ザインさん(23歳)がこのネットワークに参加した主な動機の背景には仲間内の圧力があります。ほとんどの友人がフリーランスに移行する中、低予算のプログラミングの仕事を時には趣味のように、無償で引き受けてきました。その後、フリーになり、これを一生のキャリアにできると考え今に至っています。4~5年経って今はフリーとして成功していると考えるザインさんは次のように語っています。

 最初の動機は就学中の大学の授業料を稼ぐことでしたが、今は夢だと考えていた車を所有しています。だからとても満足しています。WordPress、簡単なWordPressのウェブサイトから始め、今は完全なパッケージ、ブランディングのパッケージを提出しています。デジタル・マーケティングやアフィリエイト・マーケティング、暗号取引も手がけています。ブランド構築、ロゴデザイン、WordPressのウェブサイト、セキュリティー、クリック報酬型広告(PPC)など、企業に対してほとんど完全な解決策を提供しています。そして、これは簡単なWordPressのウェブサイト、簡単な1、2ページのウェブサイトから始まったのです。それが今は多くの新興企業向けにビジネスを創出するまでになっています。だからこの期間に自分はずいぶん伸びたと思います。

 プラットフォームに対する提案ですか? たくさんあります。最も重要なのはフリーランサーに対するもの同様、顧客についてもふるい分けの手続きが存在すべきだというものです。ふるい分け業者や評価者、検定者など、ルールを破らないようにあらゆる審査を行う仕組みが存在します。実際、顧客自身がルールを破っていますから顧客についても同じ仕組みが存在すべきです。いつもではありませんが、顧客は時々、売り手を操作しようとします。いい人も悪い人もいます。そこで、同じ目的のふるい分けが必要だと思います。最後に、サービスが必要だと思います。医療サービスや医療保険、フリーランスの人々にも疾病休暇が必要だと思います。それは少なくとも私は、フリーの人々はこれらの事業にサービスを提供し、事業が回るようにしており、買い手はフリーの人々がいなかったらどこにも仕事を持って行く場がないと考えるからです。ええ、この2点が最も大切なことだと思います。

◎インドのアビマニュ・ビンドさんのデジタル・プラットフォームでの暮らし(翻訳業)

 基本的に翻訳者としてアップワーク(Upwork)で働くインドのアビマニュ・ビンドさん(35歳)は、ある日新聞で当時オーデスク(oDesk)と呼ばれていたオンライン・ウェブサイトを目にしました。アクセスしてみて自分のプロフィールを作成すると、当時得ていた定期収入よりも高い、簡単で便利な仕事を見つけることができました。そこで本業の傍ら、副業として働き始めました。そして、ある時点で、オンラインの仕事をフルタイムでやっていこうと決心しました。ビンドさんは次のように語っています。

 コロナ禍がやって来た時、ほとんどのプロジェクトはコロナによって取り下げられたため、ほぼ2~3カ月、何のプロジェクトも得ることができず、昔の貯蓄を切り崩してやっと生きてきました。自分の技能に関連するプロジェクトは何も掲示されず、非常に打撃を受けました。オンラインの仕事は基本的に在宅就労であるため、多くの課題があります。例えば好きな時に一人で働ける事務所のような個室がないと、外の騒音など、集中を乱されるあらゆるものを感じることになります。3、4歳の幼い子どもがおり、コロナのせいで学校がやっていないのでずっと家にいて、「パパ、あれやって、これやって、それやって」といったふうに邪魔され続けています。インターネット接続も問題です。そこで、このインタビューのために、特別にここに移動しました。

 オンラインで働くことを選んだ場合、十分な顧客がいない時に収入を失うという完全な危険があります。安全もありません。幾つかの安全が確保されるよう、オンライン労働に何らかの安全網が加えられることを望みます。例えば、収入からの控除ですが、控除してくれもよいのですが、私たちの名前で投資してもらい、後で必要になった時に支払ってもらうとかです。オンライン労働に関してはこの種の安全性を追加する必要があります。基本的に全ては安全性の問題です。がんばっているオンライン労働者向けの安全措置を望みます。

◎フランスのセルジオ・サントスさんのデジタル・プラットフォームでの暮らし(ソフトウエア・エンジニア)

 ポルトガル生まれでフランスで暮らすセルジオさん(38歳)は、生活費がフランスより低く、時には時給1ドルまで下がる、より低い時給で働ける他の国の人々との熾烈な競争にさらされています。でもそれを非難できず、非難されるべきはそれを許すプラットフォームであるとして、次のように語っています。

 仕事の申し出はまるでよく耳にするような下向きの競争です。一つの措置、提起し得るたった一つの訴訟でもあれば、顧客が自分の国の最低賃金を下回る支払いを請負人にすることはできなくなると私は考えます。それによって地元の人を探すことが奨励され、地元の人々を失業者として放置し、学んだことや有する知識を下回る仕事を探させるようなことがなくなるでしょう。それでも海外の人を雇うことを選ぶのならば、それはそういった人々がまともな生活様式を享受するのを可能にすることでしょう。その方が一層よく、それはそれらの人々の国の経済を向上させることでしょう。それは顧客による別の国への投資に当たります。

 人々はまた、フリーであることの経費が見えていません。フリーの人々は自分自身のハードウエアに投資する必要があり、電気代やインターネット料金を支払い、自宅で働くためにこのような空間、人間工学的な空間が必要であり、自分で税金を支払い、休暇や健康保険は自己負担であり、その他にも関連するものがたくさんあることを忘れています。10ドルの時給を請求しても受け取れる金額は10ドルではなく、アップワークその他のプラットフォームが請求する手数料があります。だから例えば私のようにフリーで働く人の多くは、休みが取れません。ちょうど赤ん坊の面倒を見るようなものです。赤ん坊が生まれると、赤ん坊の眠る時間が自分の眠る時間になります。仕事があれば働きますが、ない時は休息時間になります。あるものをやる、以上です。

◎ケニアのマーシー・オソンゴさんのデジタル・プラットフォームでの暮らし(翻訳業及び資金調達業務)

 ケニアのナイロビに住むマーシー・オソンゴさん(28歳)は次のように語っています。

 私の理想的なオンライン・プラットフォームでの定例的働き方ですが、まずはプラットフォームにログインします。時給払いを希望する顧客の場合は、時給払いとはアップワークの場合、デスクトップを使って要した時間を追跡する必要があることを意味しますが、つまり、プラットフォームに入り、仕事を追跡するアプリケーションを開き、その顧客との仕事を始めます。顧客と働く時間に応じ、そのニーズに対応できるよう1週間あるいは1日単位で時間をまとめます。例えばアップワークの場合、ある顧客について8時間働かなくてはならない場合、それは厳密に8時間です。それを超えても支払われませんから。顧客の条件に沿って働く必要があります。顧客が好きな時間に働く自由を与える状況の場合もあります。この種の仕事の場合には、単に朝目を覚ましてコンピュータにログインし、作業を完成させて提出します。固定料金だからです。好きな時に働く自由があります。

 私の労働条件を改善してくれるであろう一つのことは、全てのフリーランサーに仕事に入札できる機会が与えられることです。特定の時間帯や特定の地域に特に限定するのではなく、同じ土台に立ってどれだけのことができるかを証明できる機会が誰にでも開かれることです。自分自身は長くフリーでやっていくだろうと思いますが、もちろん必ずということは言えません。8時から5時の仕事に戻る機会が与えられたらきっとその機会に乗るでしょう。でも同時に、フリーを完全に辞めることはないだろうなと思います。フリーの活動は常に続け、フリーでも働く時間的余裕を持ち続けるようにすることでしょう。

◎コロンビアのラウラ・カルドナさんのデジタル・プラットフォームでの暮らし(生物学者)

 コロンビアのラウラさんはこの4年余りフリーランスとして働いてきました。ラウラさんは次のように語っています。

 健康には2種類あることを忘れてはいけません。一つは身体の健康でもう一つは精神の健康です。身体面に関しては複数の問題を抱えています。たぶんそれが関係しているのは、何とかすべきなのですが、1日中座って過ごしているからです。時々1日が終わると例えば足がとてもだるく感じます。コロナ禍が始まった頃、え~と、あれ、何と言うのでしたっけ、正確な名称が分かりませんが、手に問題があったので一種のリストバンドを使わなくてはなりませんでした。1日中クリックしていたのでクリックすると痛みがありました。これが一つの問題です。精神面では、そう、「リラックスが必要だから20分休みましょう。深呼吸しなくては。これは自分のためになっていない」と自分に言い聞かせて作業を止めなくてはいけませんでした。ええ、何かしら問題がありました。良くなったり、悪くなったりと言ったように。この狂ったような状況下では誰もが気分の浮き沈みがあると思います。私は両方を経験しました。

 保険は何も支払われませんし、何の給付も受けられません。例えば、ここコロンビアで働いている彼氏は契約があり、どこかに行くとある種の割引がありますが、私にはそんなものは何もありません。賞与のような、時々一部の企業が従業員に支払うようなものも何もありません。

◎メキシコのアルフォンソ・モラレスさんのデジタル・プラットフォームでの暮らし(配達業)

 アプリを使って配達運転手として働くメキシコのアルフォンソ・モラレスさん(32歳)がこの働き方を始めた動機は勉学のためでした。学校に通っている間、柔軟にできる仕事を必要としたためです。自分でスケジュールを管理できる利点は、働きながら学業やソーシャル・サービスなどを続けられる点です。それがこの種の仕事を引き受けた動機です。モラレスさんは次のように語っています。

 他の仕事のようになると思っていましたが、現実は違っていました。雨の中、配達している最中に事故を起こし、滑って怪我をした時、アプリ側は自分たちを人間として気にかけていないことに気付いたのです。というのも私の状況を聞く前にされた最初の質問が、「料理はどうした」だったからです。現実はそんなものでした。私たちは労働者として、人間としてさえ見られていません。配達をするただの道具であって、それ以上でもそれ以下でもありません。それが既に突き当たった現実です。しかもそれは1回ではなく、事故には2回遭いました。どちらの場合も対応は同じで、あちらが一番気にかけていることを聞かれました。最初に聞かれたのは、「料理は、注文はどうなった」でした。最悪だったのは、手助けしてくれる人が送られてきたのですが、その人はただ料理を受け取り、配達しました。私の状況をフォローアップしてくれるものではありませんでした。

 配達員は誰でもワッツアップ(WhatsApp)のグループを作り、同僚や他の配達員の参加を募ることができます。そのグループに一定の真剣さがあれば、知らない者同士でも助けが得られます。そして、誰かが事故に遭えば、知らない人でも、近くにいれば助けることができます。私たちはこんな風に活動しています。私は組合の結成を希望するグループの一員ですので、同じことを行いました。自分たちでワッツアップのグループを作りましたが、もう少し統制の度合いが高く、私たちの組織の参加者、そして私たちのことを知らない人々でも支援を求めてやってくることができます。

 私の仕事を改善するために変えたいことですが、それは会社が私たちを労働者と認めることです。実際には働き続けるためにアプリ側の命令に従っています。だから私が最も希望しているのは、これが法律上、仕事として認められることです。

◎米国のエリザベス・ロウさんのデジタル・プラットフォームでの暮らし(金融業専門家)

 エリザベス・ロウさんは次のように語っています。

 どうしてこうなったか分かりませんか、私はたまたま62歳です。私は仕事に熱心で、仕事をするのが好きです。

 対人面の要素を除くと、これは実際、少なくとも事務所でフルタイムの仕事をするのと同じくらい集中して行う作業です。もちろん事務所の方がもう少し協同といった面があり、それはそれで心から楽しいのですが。同じプロジェクトに他の人と一緒に取り組み、ある種の相乗効果が発揮されて、素敵な協力体制が育まれるといったことをある種懐かしく思い出します。でも費やす時間、仕事にさく時間や脳波の所要量の点から言うと、たぶん同じだと思います。私はまた出張が多かったのですが、今は裏庭やコーヒーメーカーのところに頻繁に足を運ぶといったように大きな違いがありますがね。つまり時間の構成が完全に異なる部分はたくさんあります。

 数年前、私が専門コンサルタント会社で働いていた頃、営業マンを抱えていましたが、その時間は私たちが取り組んでいる50万ドル、100万ドルのプロジェクトの中に組み込まれていました。小さなプロジェクトに取り組み、時間単位で入札する場合、前面に置く仕事の中からは、その仕事を獲得し、長話をして自分を売り込むための経費、そのための時間は消えてしまい、請求することはできません。競争圧力が高いため、水増しすることはできません。つまり、本質的に自分で自分の仕事のために補助金を出しているのです。変なことですが。

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