南南・三角協力

川の横断が南南間の問題を答えに変えた

 ギニア、リベリア、シエラレオネ内を流れるマコナ川を渡る時には命を自分の手に委ねます。この3カ国の女性企業家はこのような危険を生活の糧にして、厳しい商売に従事しています。

2018年11月27日

ニャイボル・ンゴンブMRU上級プログラム担当官

 南南・三角協力に携わる関係者が一堂に会し、南側諸国の開発問題に関する解決策を展示し、南南・三角協力の成功事例や学んだ教訓に関する情報を共有し、新たな協力の道を探り、パートナーシップの取り組みを開始する場として、2008年から毎年開かれている国連の南南開発グローバル・エクスポが、2018年は11月28~30日の日程でニューヨークの国連本部で開かれます。「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の枠内でディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)をすべての人に実現するというディーセント・ワーク課題を促進・実施する重要な手段として南南・三角協力を捉えているILOは、エクスポ初日に開かれる解決策フォーラムで、ベターワーク(より良い仕事)社会的保護の土台児童労働・強制労働平和と強靱性のための仕事労働安全衛生といった五つの分野で実施されている旗艦計画の中から成功物語を紹介します。

 参加者の1人として活動報告を行うマノ川連合(MRU)事務局のニャイボル・ンゴンブ上級プログラム担当官はILOのブログへの投稿記事で、ILOの支援を得て実施されている活動を紹介しています。コートジボワール、ギニア、リベリア、シエラレオネの代表で構成される国際組織であるMRUは、地域の経済成長、社会進歩、文化の発達を加速させることを目指しています。

 ギニア、リベリア、シエラレオネ内をくねくねと流れるマコナ川は、長く深く、川幅は広く、人々は丸木船の渡し船に乗って国境を行ったり来たりしています。10人も乗ればいっぱいになる渡し船に、乗客は小麦粉や米、パーム油などの荷物の間に、救命胴着も着けずに身を小さくして乗り込みます。シエラレオネでは国境を越えて商売を行う行商人の最大7割が女性であり、この過酷な商売に従事する女性企業家にとってこのような危険は日常の一部です。川岸から行ける範囲のところに市が立つ日には、女性たちは朝早く家を出て、時には何度も川を渡って荷物を渡し終えた後、トラックに積み込んで長いでこぼこ道を移動します。遠くまで出かけた時には帰宅は日が落ちてからになります。

 このような障害にもかかわらず、経済的に重要な女性たちですが、収益が多い可能性がある市場を評価し、そのような市場に行く助けになる可能性がある事業育成・金融サービスを得ることは困難です。ほとんどあるいは全く読み書きができない者も多く、ビジネススキルや専門的なスキルもありません。このような課題を認識したMRUは、同じような状況にある他の女性たちと結びつければ、つまり、南南協力がこういった女性たちの一助になるのではないかと考えました。そこで、女性企業家の一団を、より組織化されているタンザニア北部のアルーシャ市にある東アフリカ共同体(EAC)事務局、そしてタンザニアとケニアの国境にある、通関手続きが1回で済むナマンガ・ワンストップ国境施設の視察に連れて行きました。ILOと協同で作成したガイドブックのおかげで、女性たちは経費や関税表、移民法、移住手続きなど、必要な知識をすべて得ることができました。MRUはその後、ILO及び「ビジネスにおける女性東アフリカ・プラットフォーム」の専門家の助けを得て、EACが試行錯誤を経て導入した手法をMRU地域に適用しました。女性が必要なすべての情報を、簡単に、利用しやすい形でその場で入手できるようモバイルアプリも開発しました。ILOは企業家研修支援、国境を横断して行う商売の経済、法律、社会面の情報提供、事業公式(フォーマル)化の方法に関する助言などを行っています。

 MRU地域で国境を横断して商売を行う女性たちは、今では自分の事業を強化する方法についてずっと多くの知識を得、適正価格や法、正しい関税率を知り、だまされる可能性も減りました。ガイドブックはまた、幅広い金融サービスを得る助けにもなっており、これによって他の利害関係者との、より専門的なパートナーシップ、金銭的なパートナーシップへの道が開かれることが期待されます。

 もう一つのずっと幅広い恩恵として、MRUの女性行商人とタンザニア及びケニアの商売人との協力関係が、先進国あるいは多国間機関による協力計画や協力プロジェクトへの支援といった形で、南南・三角協力に加わる国の増加につながった点が挙げられます。

 ンゴンブ上級プログラム担当官は以上のように記した上で、ILOの解決策フォーラムで、他の途上国経済のアイデアを土台として自分たちのプロジェクトがいかにMRUの女性に力を付け、地域社会を強化し、より多くの開発機会へと道を開いたか、つまり南南・三角協力がいかに実践的かつ実体的な違いをもたらし得るかを世界の人々に知らせる機会を与えられたことを喜びとし、他の多くの国やプロジェクトがこの経験から学び、それぞれの問題に適用することへの期待を述べています。

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 以上は、MRU事務局のニャイボル・ンゴンブ上級プログラム担当官が、ILOのブログ「Work in progress(進行中の仕事)」に2018年11月27日付で投稿した英文記事の抄訳です。