論評:先住民族世界会議
先住民族指導者と世界の指導者の出会いがILOに意味すること
2014年09月18日
| オエルツILO法務専門官 |
1989年のILO総会における先住民・種族民条約(第169号)の採択、国連の先住民問題に関する常設フォーラムの開設、2007年の「先住民族の権利に関する国連宣言」の採択といった、国際的な先住民族の権利の認識と参加の促進をもたらした、過去30年間における重要な歩みの一つとして、ニューヨークで開かれている国連総会の枠内で9月22~23日に各国首脳と先住民族代表が初めて顔を合わせる先住民族世界会議が開かれます。会議では世界のリーダーらによる先住民族の権利に対する公約の再確認が行われると共に先住民族の権利の実現に向けて先住民族と協力して国内で行う具体的な行動に関する誓いが示されることが期待されます。会議はまた、国連諸機関が各国で展開する先住民族関連活動の強化に向けた歩みを始動させるものと思われます。
マルティン・オエルツILO法務専門官は会議を前に作成された9月18日付の論評記事でこの重要な展開のILOにとっての意義を分析しています。
第169号条約は先住民族の問題に特化した法的拘束力のある国際文書であり、採択されて以来、中南米・カリブ諸国を中心とする多くの国で、さらなる民主化、人権尊重、包摂的な社会、平和に向けた変化を推進してきました。世界会議の準備交渉段階でこの条約のさらなる批准を各国に奨励することで合意が形成されています。既に、バングラデシュ、フィンランド、エルサルバドル、インドネシア、パナマ、フィリピン、スウェーデンなどで批准に向けた積極的な動きや検討が進んでいます。コンゴ民主共和国も最近策定した国家行動計画(2014~17年)の中で、第169号条約を、排除と貧困にさらされている先住民族の状況を改善する上でカギを握る要素としています。
コンゴ民主共和国からの報告:先住民族の権利の新たな地歩を政治的な意思によって形成(英語) |
コンゴ民主共和国は2011年に、アフリカの国として初めて先住民族の権利の保護及び促進に関する法を制定しました。国連先住民族パートナーシップ(UNIPP)の事務局員を務めるILOのモルセ・フロレス職員は今年7月に同国を訪問し、法を巡る動きや第169号条約准提案に関する国会議員らの議論を傍聴し、先住民コミュニティーを視察しました。 |
第169号条約は、先住民族に影響するかもしれない法律・行政措置について先住民族と協議する国家の義務について規定しています。また、意思決定プロセスにおける先住民族の参加に向けた実効性のある仕組みも求めています。継続的な支援、経験交流、奨励を要するこういった規定の実施は、先住民族と政府の間の実りある関係の構築、先住民族の権利とその正当なる希望の完全な実現及び持続可能な開発のための重要な投資です。ILOは会議準備段階の協議過程において、先住民族の伝統的な職業、技能、知識は、自営業としての独立、企業や協同組合設立の基礎を提供する可能性があり、先住民コミュニティーの完全な参加を得て策定・実施された地元の基盤構造プロジェクトは、当該コミュニティー内での小企業や就労機会の創出を伴う可能性があることを指摘してきました。しかし、土地その他の資源、基礎的な社会サービスの利用機会が得られないことは、先住民族にはしばしば移住以外の選択肢がないことを意味し、先住民族の文化やニーズに沿って先住民族と協力して策定・実行される教育や職業訓練の機会がないことは労働市場において先住民族の若者を相当に不利な立場に置くなどといった問題があります。
会議において、ILOは第169号条約の批准及び実施を助け、社会正義とすべての人へのディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を促進するために、政府、労使団体、先住民族の人々、国連諸機関と自らの活動の経験を共有する予定です。
先住民族世界会議(ニューヨーク・2014年9月22~23日)にライダーILO事務局長が出席
先住民族世界会議にはガイ・ライダーILO事務局長が出席しました。22日に開かれた、先住民族の権利の実施に向けた国連諸機関の活動を発表する円卓討議に出席した事務局長は、25年前に採択された先住民及び種族民条約(第169号)が技術支援の提供と定期的な遵守モニタリングの両方に関し、ILOに特別の責任を付与したことを紹介した上で、会議の成果文書案がこの条約のさらなる批准を呼びかけていることを歓迎し、ILOには支援の用意があることを発表しました。先住民の人々は貧困、差別、搾取の悪循環に陥る危険性がありますが、事務局長は、秘められた潜在力として、先住民の職業、技能、知識が企業や協同組合の設立の基礎となり得る資産であることに注意を喚起しました。そして、成果文書案で提案されているように、国連パートナー及び先住民の人々と協力して、国連先住民族パートナーシップ(UNIPP)での経験を基礎に国連システム全体にわたる行動計画を策定し、先住民族の権利実現に向けた各国の努力を支援していく意向を明確にしました。
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以上は次の英文論評、ブログ記事、声明の抄訳です。
- マルティン・オエルツILO法務専門官による2014年9月18日付論評記事-先住民族指導者と世界の指導者の出会いがILOに意味すること
- モルセ・フロレスILO職員による2014年9月18日付ILOブログ投稿動画-先住民族の権利の新たな地歩を政治的な意思によって形成
- 先住民族世界会議におけるガイ・ライダーILO事務局長の2014年9月22日付声明