ILO統計局ブログ:働く貧困層
働く貧困層に陥る可能性は若者の方がはるかに高い
絶対的な貧困率、働く貧困層率は順調に低下してきているものの、年齢集団や性、国による大きなばらつきがあります。
2019年10月16日
「貧困撲滅のための国際デー(10月17日)」に合わせて前日の16日に発表されたILO統計局のブログ記事は、働いていても貧しい「働く貧困層」の問題を取り上げています。
就労は多くの場合、貧困から抜け出す道を提供します。しかし、働いていても、公式(フォーマル)の仕事でない場合や、低賃金、短時間労働などを理由として、貧困線を上回る収入を得られない人々がいます。絶対的な貧困率、働く貧困層率は順調に低下してきているものの、年齢集団や性、国による大きなばらつきがあります。国連の定める「貧困撲滅のための国際デー」はこの状況に光を当てる機会を提供します。
2018年現在のILOの推計では、世界の就労者の約4分の1が極度のあるいは中程度の貧困層に分類されます。ブルンジやマダガスカルではこの数字は約9割に達し、インドやバングラデシュでもほぼ半分が該当します。一方で、国際的な貧困線を用いるとほとんどの欧州諸国では実質ゼロになります。
働く貧困層率が高い国はアフリカに多く、この地域では若者(15~24歳)の働く貧困層率が39%、25歳以上で31%になります。働く貧困層率は、アラブ諸国では若者が推定13%、25歳以上で7%、最も低い欧州・中央アジアでも若者が2%、25歳以上が1%になります。これは地域横断的に若者の方が働く貧困層に陥る可能性が高いことを意味します。2018年の世界平均では極度の貧困世帯で暮らす若者就労者が14%、25歳以上が7%になっています。つまり、働く貧困層に陥る可能性は若者の方がより年長の労働者の2倍になると言えます。
世界中の政策策定者が、生活が苦しい労働者を助ける最も効果的な方法を探し求めています。十分に発達した強力な社会的安全網が張り巡らされている国もあるものの、社会的保護に関するILOの報告書によれば、少なくとも一つの社会給付によって保護されている人々でさえ世界人口の半分にも達していません。これは保護が届いていない人が40億人ほどに上ることを意味します。勤労世代の保護率は限定的である上、財政強化や緊縮政策の一環として勤労世代の保護の切り下げに走っている国もあります。
働く貧困層が依然として広く見られる現状は、所得保障を強める助けになる社会的保護制度の必要性を強調します。働く貧困層に関する概説資料は、適切な社会保障と人間らしく働きがいのある仕事を全ての人に保障しない限り、就労だけでは十分な貧困対策にならないと説いています。
就労は人々を貧困から脱却させる媒介物となるべきであるものの、これは仕事の質が十分であった場合に限り、通用する理論です。貧困と就労の関係は、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)がどれだけ労働市場で確保されているかによって大きく左右されます。これは2030年までに極度の貧困をなくすことを目指す持続可能な開発目標1の第一段階を達成するために、政策策定に携わる人々が考慮に入れるべき事項ではないかと思われます。
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以上はILOの労働統計データベースILOSTATの2019年10月16日付英文ブログ記事の抄訳です。ILOSTATには、データそのものに加え、データ生成に携わる人々向けの資料やイベント案内、ニュースレター、解説資料、ブログ記事なども掲載されています。