広報記事:グローバル・サプライチェーン
働く妊婦の権利保護:レソトにおけるベターワーク計画
2015年09月17日
米国労働省の資金協力を得て、ILOと国際金融公社(IFC)は2010年5月からレソトでベターワーク(より良い仕事)計画を実施しています。ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の機会を創出することによって最終的に貧困を削減することを目標とするこの事業計画は、第1期を終えた2013年12月現在、15の衣料品工場と一つの履物工場に導入され、米国向け輸出品を製造する工場の84%、衣料産業で働く労働者の65%を対象としています。
若い女性が労働者の大半を占めるアパレル産業ですが、母性保護の問題は長く看過されてきました。例えば、ある衣料品工場で検品係として働くマモンツェン・ハバハバさん(31歳)は、2014年1月19日に3番目の子どもを3.6キロの未熟児で出産しました。妊娠時の工場労働者の権利を知らず、出産まで働き続けられると思っていたハバハバさんは、妊娠を上司に告げず、妊娠後期に入っても9時間の日中勤務中、何とか立ったままで過ごしました。妊娠が誰の目にも明らかになってもなお、椅子を支給されることはなく、彼女自身もあえて請求しませんでした。7カ月目で出産休暇を申請し、産休に入って4日目に出産しました。
同じ工場で働いていた7年前の第一子出産時にはベビーシッター代を払えなかったために仕事を辞めなくてはなりませんでした。今回は家計が苦しかったために産後2カ月で職場に復帰しました。上司や職場の同僚から12週間の出産休暇があることは聞いていましたが、2013年10月に法が改正され、このうち有給期間が6週間に延長されたことは知りませんでした。職場復帰時に支払われた給与は改正前の2週間分だけでした。
このような状況は他のアパレル工場でも見られます。そこで、レソトのベターワーク計画は、妊娠時の労働者のニーズと権利が確保されるよう努力しています。具体的には、同計画の「労働者の生活スキル計画」の一環として、母性保護研修が提供されています。この事業の下、工場の人事マネジャーに法の理解と遵守に向けた研修が提供されているだけでなく、同僚に母子保健について教えるピア教育者の養成も行われています。この問題を深く掘り下げるために、妊娠中の労働者特有のニーズをより良く理解することを目指し、17の工場の労働者フォーカスグループと話し合いが持たれました。話し合いからは妊娠中の労働者の権利とニーズに関する意識が相変わらず低いことが明らかになりました。ハバハバさんのように法改正や胎児に悪影響を与える可能性がある職場内の健康・安全上のリスクを知らない労働者も多く、妊娠した労働者の作業負荷は必ずしも軽減されていませんでした。その上、多くの労働者が収入途絶を恐れて産後1カ月で職場に復帰していました。
2カ月で復帰したハバハバさんは、扶養家族が1人増えたため、労働法によって哺育中の女性の超過勤務が禁止されているにもかかわらず、残業を引き受けるようになりました。超過勤務の禁止や有給出産休暇についての法の改正を最近知ったハバハバさんは、職場代表委員に苦情を提起しました。問題はまだ解決を見ていませんが、産休から復帰した女性に支払われる給与はそれ以後6週間分になっています。給与の大半がベビーシッター代で消えているハバハバさんは、「敷地内における補助金付託児施設設置などの工場の改善は、新生児を持つ働く女性の金銭的負担を減らす助けになるのに」と語っています。
レソトのベターワーク計画は、ハバハバさんのような労働者のより良い保護を目指して労使と協力して工場における活動を掘り下げることを計画しています。既に勤続1年以上の女性には6週間の有給出産休暇が確保されるといった進展が見られます。ベターワーク・レソト計画のクリスチナ・クルツ部長は組合、使用者、政府といったパートナーと協力して法の強化と遵守促進に努めていることを報告し、この計画について、「地球規模の衣料品サプライチェーンの一部をなすこのレソトの基幹産業におけるディーセント・ワーク創出に向けた第一歩」と表現しています。
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以上はマセル発英文広報記事の抄訳です。